反転と蘇生
解散したバンドは再結成し、古い漫画も映画もリメイク。潔癖だった選択はあっさり覆される。永遠なんて、死のなかにさえ存在しない。
「もう絶交だよ」
千回目の絶縁は年末、駅のホームで行われた。屋根がないから雨が直撃、傘を持たない僕らはすべてに曝されていて、言わなくていいことを言い合って。
ああまたかなんて思っていたけど、いつのまにか六月。連絡がつかなくなって半年になる。きみの千回目の正直。
どしゃぶりの今晩、あのバンドの復活ライブに向かうよ。蘇生した音に慰められるまでもなく、僕は絶望していない。あらゆるものは覆される。怒りも執着も永遠でないなら、逆説的に別離は完全だ。死よりも乾いてしかし甘い。僕は千回目の復縁を求めないから、傘をさす。
(静岡文学マルシェ/ポストカードギャザリング参加作)
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