閑話
幾たびか太陽の周りを地球が周り。
さて西暦二千年のことだ。ノイズが生まれた。
正確には漸く子宮から出られるだけ成長したので取り上げられたのだが、とにかく彼は誕生した。アジア系の少し褐色の肌の赤ん坊だった。髪も瞳も黒い。
サタンはこの赤ん坊をいたく可愛がって、ヒトと同じ速度でしか成長できなかった彼を甲斐甲斐しく世話した。乳母もいらぬほどに。
薄暮達に言わせれば、親バカだ。
だが様々な異教の女神やらからの株が上がったこともここに記しておこう。
基本的な子育てから解放される頃に下世話な言い方をすれば、やたらサタンはモテるようになった。そもそも見目とて半分はとても良いし、西洋の地獄の多くが彼の領地だ、財産もある。そこに亡き妻の子供を自らの手で育て、その間は女に見向きもしないという美徳も加わった。
そのせいか現在……ノイズが十八になった年は、少々羽目を外してもいいかな、と思うようになったサタンである。(彼は妻に会うまでは遊び人だったし)
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