生物教師は紅茶の匂い
百目鬼百舌
第1話 百目鬼百舌の独白
【
年齢不詳、外見から察するに二十代後半、身長は190cm、体重は100kg、ぱっつんぱっつんのスーツと白衣が特徴の自称ナイスガイ
【特徴】…………
目を覚ます、眼前には試験管や何らかの液体が入ったフラスコがあった。
どうやら、職場で寝ていたようだと椅子から立ち上がる。
いつも通りの視点にはなにも感慨を湧かせる事はないが、他者から見たら巨人と呼ばれる部類の肉体を動かした。
ペキッペキッと小気味良い音が理科準
備室に響居たような気がする。
「百目鬼せーんせ、オーハヨ」
理科準備室の扉を開け、まだ若い男の気の抜けた声が背後から聞こえた。
百目鬼は振り返ると同時に、腰に装備していたナイフを一線した、どうせこの声の主はこの程度では死なない。
舞い落ちる毛髪、どうやら前髪の何本かに掠った程度だったらしい。
「うわ、ちょ、せんせ!?」
視線をやる、そこにはやせ形のマスクをつけた不健康そうな青年【
「なんだ、啄木鳥か」
「なんだ…じゃないでしょー、なんだじゃー、昼休み終わるから起こしに来てあげたというのに!酷いなぁ!!!」
わたわたと動く彼を横目に、トレードマークの白衣を羽織り時計を見る、どうやらあと十分で昼休みは終わるらしい。
午前中に全ての授業が終わっている私には関係ないのだがね…
と頭を掻き、携帯端末を弄りながら準備室から出た。
「ほら、君も授業に行きたまえ…単位がヤバいだろう」
「うぇ!?たはは…バレていましたか…」
「サボろうとしても無駄だよ、だって」
と彼の後ろを指さす
そこには右肩に風紀委員と書かれた腕章を付けた少女が一人、その姿を見ると啄木鳥の顔が青ざめる。
彼は理解していた、逃げても捕まるのだと。
「それじゃ、後は頼むよ」
「おまかせを、必ず教室にぶち込みます」
そう言うと彼女は彼の首根っこを掴み引きずっていく、小柄な体のどこにそんなパワフルな力があるのだろうかと感心しながら窓を開け窓枠に足をかけた、ここは三階落ちれば一溜まりもないだろう。
「さて…」
どうやら啄木鳥が彼女に何か言ったらしい、彼女が私の方を振り向く。
「帰りますか。」
私は飛び降りた。
背後からは百目鬼先生!!!とドップラー効果付きで聞こえる、ちらっと振り返ると青ざめた風紀委員の少女と腹を抱えて笑う啄木鳥顔
「それでは、アデュー」
ズドンと重々しい音を立て、アメコミでよく見る3点着地をする、回りの学生達の反応は二つ、驚愕と呆れ
前者は恐らく新学生だろう、何しろ
この学園ではこんなこと日常茶飯事なのだから
【百目鬼百舌、特徴】
一人だけ 違う
たかだか三階から飛び降りた程度では驚いては行けないのだと膝についた土を払い歩き出した
「全く、この高校は飽きないなぁ」
と笑いながら
後ろに般若の面を付けた教頭の姿を見ないふりをして…
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