ナルシストは受け付けません。

ちな

episode1 新木くん

澄んだ青空、眩しい太陽、心地よい風、

全てが俺のためにある。


……なんて、彼は考えているんだろう。

外で体育の時間、サッカーをしてる新木翼くんを見て小さくため息をついた。


荒木翼くんは、


イケメンで成績優秀で、その上スポーツ万能。全てにおいて完璧な彼はとてつもなく自信に溢れている。だから、とてつもなくナルシストなのだ。

窓から入りこむ風で揺れる前髪を押さえて、また彼に視線を戻すとばちっと目が合う。



「(……なんで目が合うの)」



最悪だ。

なんて思いながら、私は直ぐに目を逸らした。

授業中、なんとなく見つけてしまった彼を見つめていた私が悪いけど、目が合ったら彼はまた勘違いするだろう。私が荒木くんを好きだと。


別に勘違いされるのはいい。

彼の中で思ってくれてればいい。


でも彼は、何故かきちんと断ってくるのだ。わざわざ呼び出してまで。

…まあ本当に彼のことが好きな子が振られてるわけなのだが。



ただ、私は断じてそういう連中とは違う。

イケメンは大好きだが、残念なイケメンはお断りだ。


しかもそんなイケメンに振られるなんて耐えられない。


ぶんぶんと頭を振って考えることをやめると突然先生から名指しされる。



「赤城~、次の文章を読め」

「え、あ、はい…!」


「座って読んでいいぞ」



急な事に思わず立ってしまって、みんなからの注目を集める。自然と顔に集まる熱を隠すように教科書とにらめっこして読んだ。

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