【GM用】シナリオ
ダブルクロスth3
~Contention between organizations~
【オープニングフェイズ】
・シーン1 襲撃!マスター・レイス!!:PC①
あなたが自分の所属するT市A区の支部3階でこの間あなたが対処した事件の報告のため事務作業をしていると、正面玄関の方が何やら騒がしい。
喧騒はあなたが纏めていた資料の作成を中断させるほど大きくなっていた。階下からエージェントや職員の悲鳴が聞こえる。
あなたの目の前に現れたのは、UGNのデータベースで見たことのある顔「マスターレイス05(イプシロン) ヨハン・C・コードウェル」だった。
ヨハン:父上の意思だ!この支部にも吹き飛んでもらうぜ!!
ヨハンは圧倒的な力で支部の歴戦のエージェントをいとも簡単になぎ倒しながら、あなたの目の前に立ちはだかる。彼の歩いた道筋は赤く炎上しており、支部は間もなく炎に包まれるだろう。
ヨハン:「おい!そこのお前(PC①)!ここのヘッドを出せ、いい加減雑魚の相手も面倒になってきたんだよ。支部長を差し出して、さっさと楽になれよ!!」
PCはここで戦闘を行うこともできる。支部長の居場所(4階支部長室)を告げず、戦闘を行うと宣言した場合、戦闘の処理を簡易的に行う。ラウンド進行通りに進めるが、ヨハンは待機を宣言した扱いとなり、行動値0として扱う。PC①の攻撃は[イージスの盾]などのエフェクトによってはじかれる(判定不要・PCから理由を求められた際にエフェクト名を根拠として出せばよい)。ヨハンはPCの攻撃直後に[極大消滅破]を宣言PC①に5D10のダメージを与える。メインプロセスは[炎神の怒り]を演出として使用し、PC①の周りを炎で包む。
クリンナッププロセスにヨハンは耳元につけた通信機からの通信を受けた後、瞬間退場を使用して、PC①の前から姿を消す。
ヨハン:「雑魚はお呼びじゃねーんだよ!!吐く気がないならお前なんざに、興味はねぇ。あいにく父上からさっさと片付けろとのご命令だ。支部長の居場所はもうわかった。命拾いしたな!!ハッハッ!!」
戦闘を選択しなった場合には、ヨハンには上記通信が戦闘を介さず入る。
その後燃え盛る支部の中で、PC①は意識を失ってしまう。意識を失う直前、薄れゆく意識の中で、ヨハンの声が聞こえる中シーンカット。
ヨハン:チクショーー!!逃げ足の速いヤツめ!!
(PC①はA区内のUGN病院に搬送される)。
・シーン2 UGNなんで:PC②
PC①のシーンから2時間後。あなたは自分の上司であるJG(ジャパニーズ・ガーディアン):三ツ谷雄二に呼び出される。場所はT市S区支部支部長室。
三ツ谷:「PC②氏、本日はご足労頂きありがとうございます。わたくし、UGN勤続15年、UGN S区支部支部長及びT市支部統括支部長代行の三ツ谷雄二です。先ほど、我々と同じT市を守るUGN支部のひとつであるA区支部が何者かによる襲撃を受けて、炎上しました。支部長の井出の康矢氏は現在行方不明。生存は絶望的とも言われています。」
「なんでも少数の襲撃者によって壊滅させられてしまったようですね。私としては遺憾という他ありません。しかし、こういった時だからこそ、我々は団結しなくてはなりません。UGNなんで。」
「既に事後処理を中心に行う消防班を向かわせました。貴方には、より専門的な案件をお願いしたいと思います。」
「UGN T市A区支部を襲撃及び壊滅させたものが何者であり、その目的がなんであるか。それを明らかにする諜報任務を貴方に与えます。」
PC②が承諾すると三ツ谷は席を立ち、先に支部長室の扉を開ける。
三ツ谷:「私はね。貴方には期待しているんですよ。A区支部の生き残りがUGNの息のかかったA区の病院に搬送されています。まずはそこから調べていけばよいでしょう。迅速な解決をお願いします、UGNなんで。」
PC②が支部長室を退出したら、シーンカット。
・シーン3 魔女の使い魔:PC③
シーン2と同じころ、T市K区支部の支部長室。あなたは上司で支部長のリン・ファンに呼び出されていた。部屋に到着しても支部長の姿はなく、ファンの執事であるロー・センウェがいるのみである。
ロー:「これはこれは、PC③様。お嬢様は会議が少々長引いておられます。少々、こちらにかけてお待ちください。」
ローは紅茶とクッキーを出し、もてなしてくれる。間もなく、支部長室の扉が開かれる。
ファン:「待たせたなぁ。PC③。わりぃなぁ、霧谷がなかなか通話に出なくてよぉ。」
ロー:「先程、T市付近の支部長クラスに一斉に連絡が来ました。この支部の隣にあるA区支部が襲撃されたと…お嬢様は、そちらの会議に出席されていたのですよ。お嬢様しっかりと、内容は理解できましたか?」
ファン:「センウェ、相変わらず口の悪い男よ。妾は魔女であるぞ。たかが会議ぐらいでこの力を使うまでもないわ。資料の整理や、推理などは使用人どもにやらせればよい。」
「と、いうわけだPC③。妾の忠実な使用人として、今回の襲撃事件の捜査を行うことを許可しよう、ありがたく思うがよいぞ!」
ロー:「PC③様。どうかお気を悪くなさらずに。お嬢様は、ああは仰っていますが、ご自身では何一つできない小娘でございます。どうか、優秀なエージェントであるあなた様力添えでお嬢様をお支えください。現在発足間もない我らの支部は、他の支部に後れを取るわけにはいかないのでございます。」
「こちらにわたくしが調べました情報をまとめておきました。まずは、A区の病院に向かい生き残ったUGNエージェントと接触するのがよさそうですね。よろしくお願いします。」
PC③が承諾・退出した時点でシーンを終了する。
【ミドルフェイズ】
・シーン4 霧谷からの警告:PC①
PC②・PC③は強制登場。3名がそろった時点で霧谷のイベントが発生する。
PC①が目覚めたのはUGNの息のかかった病院A区立市民病院であった。幸い軽いやけどと煙を吸い込んだだけであり、入院などは必要ないようである。医師は一通りの説明を終えると席を外す。
このタイミングでPC②とPC③はPC①の病室に登場すること。
PC①の端末に霧谷雄吾から通信が入る。
霧谷:「お加減はいかがですかPC①さん。おや、PC②さんにPC③さんまでいらっしゃるのですか?それでは、一緒にお話を聞いていただきましょう。もともと、お二人にもご連絡するつもりでいましたから。」
「今回はUGNとして甚大な被害を出してしまいました。特にT市という場所でこのような事件が起こったことは、深刻に受け止めねばなりません。」
「皆さんもご存じかと思いますが、T市にはA区、S区、K区の3つの区があり、市の南東部でそれら3区の境界が交わる地域があります。この地域にはかつてとあるFHセルの研究所があり、地下にレネゲイドの産業廃棄物ともいえる撤去困難な層があることが分かっています。これにより、当該区域ではレネゲイド関連事件が頻発していると考えられています。幸いT市諸支部の皆さんの活躍のおかげで、現在まで大事に至る事件は起こっていませんが、FHが過去の遺産を求めて本格的に当該区域を奪取しに来ているという情報が上がっています。」(地図を示しながら話す。)
「そして、ここからが大切なところなのですが、現在T市には3つの支部があります。これはT市が政令指定都市に指定されたことによる人口増加を危惧して、支部を増設したのが原因ですが、危惧していたような人口爆発はT市では起こりませんでした。そこで、現在日本支部ではT市にある支部の統廃合が盛んに議論されています。具体的には、最も大きく構成員も優秀な方の多いA区支部にS区・K区両支部を吸収してもらうつもりだったのですが、三ツ谷支部長とリン支部長の反対でこれは現在まで実現していません。」
「ここ最近では、3支部とも自らの支部の功績をアピールしようと、レネゲイド事件が多発する境界地区の管轄争いの体を表してきて、ほとほと頭の痛い限りです。そんな時に今回の襲撃が起こりました。また、隣接するY市支部などの諜報機関がT市の支部長のどなたかが、FHに情報を流しているという無視できない情報も上がってきました。」
「私はどの支部長の方も信頼していますが、それが元で、今回多くの犠牲を出してしまいました。私は各支部のエージェントの中でもあなた方を特に信頼しています。今回の襲撃を手引きした者、裏切り者の支部長が誰なのかを暴いてほしいのです。お願いできますか。」
PC達が依頼を承諾した。
霧谷:「ありがとうございます。つらい役目をお願いしてしまい申し訳ありません。」
「そういえば、行方が分からなくなっていた井出支部長が先程そちらの病院に搬送されたそうです。全身に傷を負っているようですので、しばらくしてから話を聞きに行ってみてください。」
PC達が依頼を拒否した。または一部拒否するものがいた場合は、GMとして霧谷の依頼を受けるようほのめかしてみよう。一部プレイヤーのみが合意の上でそのような行動をとることは制限しないが、その場合はグレーの支部長の味方をするという、相応のロールプレイを要求するとよいだろう。
【情報収集フェイズ】
このシーンでは各PCが順番に情報収集を行う。1巡した時点でシーンを改め、再度の登場判定で求めること。なお、PCからシーンの要求があった場合には柔軟に応じてよい。
*特殊ルール
『告発』
PCがFHと通じているダブルクロス(裏切り者)を断定した場合にPCに宣言させてよい。このルールでPCが支部長本人に告発を行った場合、必要な根拠が揃い正しいダブルクロスを告発した場合に限りトリガーシーンへと移行する。間違っていた場合や根拠の希薄な告発を行った場合、PCは以降の判定に以下の不利益を受ける。宣言は1人から可能であり、不利益効果は宣言の内容に同意していたシーンに登場していたPCに与えられる。(持続する不利益はトリガーシーン開始時に解除される)。
井出(重度の間違い):井出の信頼を失い、以降2ターンD-1の補正を受ける(重複あり、下限値1)。
井出(軽度の間違い):井出の信頼を失い、以降1ターンD-1の補正を受ける(重複あり、下限値1)。
三ツ谷(重度の間違い):三ツ谷の信頼を失い、以降2ターン[情報:UGN]の判定の達成値に-3の補正を受ける(重複あり)。
三ツ谷(軽度の間違い):三ツ谷の信頼を失い、以降2ターン[情報:UGN]の判定の達成値に-2の補正を受ける(重複あり)。リン(重度の間違い):リンの逆鱗に触れ、2D10のダメージを受ける。
リン(軽度の間違い):リンの怒りに触れ、1D10のダメージを受ける。
・a-1:A区支部襲撃事件に関しての詳細
情報UGN:8
A区支部を襲撃したのはヨハン・C・コードウェルただ1人である。しかし、各フロアはあっという間に制圧され、ヨハンの襲撃はわずか30分程で終了していた。
A区支部長井出康矢は4階の支部長室でヨハンに発見されるが、直後に窓ガラスを破り脱出した。それにより井出は気絶していた。現在はA区の区立病院に収容されている。
なお、A区の支部は旧T市支部の建物をそのまま使用しており、セキュリティ関連は更新されていなかった。
・a-2ヨハン・C・コードウェルに関して
情報裏社会:9
アルフレッド・J・コードウェル博士の指示に忠実に従うFHのマスターエージェント。今回の作戦ではUGNのボディーアーマーをつけて、変装するなど周到に準備をしたようだが、[宮廷道化師]井出康矢を取り逃がした。このことをしょぼくれて報告したが、コードウェル博士は「計画通りだ。」と言って彼の失態を不問に付したという。
・b-1:井出康矢の来歴
情報UGN:9
T市支部の解体及び区ごとの支部設立にあたって、日本支部から派遣されてきた支部長で、支部長を務めるのはA区が初めてだが、T市の支部長を統括する立場にある。日本支部で出世を重ねたキャリア組であり、プライドは高い。A区は南北に長いため、支部付近であり繁華街のある南部はしっかりと抑えていたが、人口の少ない北部での事件では対応が遅れることがたびたびあった。境界区域はA区の管轄であると思っており、他の支部に手柄を持ってかれることを極度に恐れていた。
・c-1:三ツ谷雄二の来歴
情報UGN:9
T市支部の元支部長。現在は官庁街が多いS区の支部長を務める。UGN日本支部の発足当時からのエージェントであり、長年日本のUGNを支えてきた。厳格な性格で自他共に厳しい。彼に左遷された人間も多く、ジャームに対しては容赦なく粛清を取るなど彼に反感を持つ者も多い。境界区域に関しては、彼がT市支部の支部長であった頃にFHセルの壊滅作戦を行ったため、現在まで禍根を残してしまったことに後悔の念を抱いており、積極的な介入を行う。
・d-1:リン・ファンの来歴
情報UGN:11or知識経済:8
中国財界の大物であった父を持つ。彼女自身が庶子であったこと出生の際にレネゲイドに感染したために、日本の親類に預けられる。ロー・センウェはこの時から彼女に使える忠実な僕である。日本で過ごすうちに、日本文化を誤った形で解釈し、自らを魔女と称する変人へと成長した。成長後T市の分割に伴ってK区の支部長に抜擢された。政策決定などは主にローが行っており、彼女自身は対外的な象徴の役目を果たす。
T市の再統合が現実味を帯びてくると、ローの差配により重要地点である境界地区への介入を強める。これはローがようやく社会的地位を確立したリンが再びその地位を失うことがないように、T市統合後の支部長の地位を手に入れられるように根回しをしている一環である。
・e-1 T市の歴史
知識T市:7or知識地理:9
約5年前に人口が基準を満たしたため政令指定都市に制定され、1市が3区へと別れた。これにより、UGNも支部の配置を見直し、T市支部を解体、新たにA区、S区、K区の3支部を設置した。しかし3年ほど前から人口が減り始め、1年前から支部の不要論がUGN内で囁かれるようになった。各支部長は表向きは友好・協力関係を保っているとされる。しかし、T市支部長代表を旧T市支部支部長の三ツ谷を差し置いて井出が務めていることから三ツ谷と井出、新入りでありながら野心的にT市の主導権を握ろうとするリンと他の2支部長の不仲論は特に絶えることがない。
・e-2 T市の歴史2
情報UGN:10
6年前、当時出向中であった三ツ谷支部長時代のT市では現在の境界地域にアジトがあったFHセルの殲滅作戦が行われた。このFHセルは研究セルであり、鉱物などに含まれるレネゲイドを刺激する物質に関して研究を行っていた。このとき、T市支部は万全の準備を持って臨んだため、有害な化学物質の流失は避けられたが、FHセル・リーダーの自殺的行為によって、賢者の石由来の成分が地中に固着してしまった。それ以来、この地域では不自然な割合でのオーヴァード化・ジャーム化が発生している。三ツ谷はこのことに責任を感じ、UGN日本支部へ帰還を断ったと言われている。
・[a2b]-2[宮廷道化師]の不審な行動
情報裏社会:11
逃げ足に定評がある。今回の支部襲撃に関しても、30分間全く行動しなかったがヨハンと遭遇したとたん逃走している。また、その行動の身軽さを生かして、アンダーグラウンドに潜り情報を収集することに長けている。彼の執務室後から発見された文書にはUGNのデータベースにないものも含まれていた。
・[a2b]-3怪文書
情報裏社会:10and知識機械工学:12or情報web:12
この情報項目は複数のPCで調べることが可能(PC①が裏社会に成功した場合、PC②は裏社会をスキップして機械工学or webの判定が可能)。
この怪文書はネット上でFHが情報をやり取りする際の暗号文だとわかる。暗号を解読するとコードウェル博士がT市に存在する賢者の石由来の土壌(境界地域)を調査・利用するために、T市のUGN支部を全て骨抜きにできた場合その者にコードウェル博士が指揮するFHの管理セルにポジションを与えると書かれていた。あて名は[宮廷道化師]井出康矢である。井出はこの取引に応じるため、再びT市が1つの支部に統合され自身がその支部長になれるよう画策していたのだ。
・[a2c]-2[JG]の不審な行動
情報UGN:11
三ツ谷が自身の支部の防衛システムを刷新していた事実を発見できる。さらに他の2支部長の情報、特に境界地区への干渉と外部との接触を盗聴・記録していたファイルを見つけることができる。三ツ谷自身は2支部長のいずれかがFHに通じていることを察知していたものと思われる。しかし、三ツ谷が告発に至っていないところを見るに決定的証拠を得られていないと考えられる。特に他の支部から手に入れた暗号解読に苦心しているようだ。あるいは、彼自身がダブルクロスか?
・[a2d]-2[煉獄の魔女]の不審な行動
情報噂話:11
彼女自身というよりも、彼女の使用人である[紅茶の番人]ローが不審な行動をとっている。境界地区付近でのUGNエージェントの負傷には明らかに、ジャームや任務内でついたものとは異なる傷があり、裏切り者による暗躍ではないかと言われている。その噂が上がるたびに、付近にローが出撃あるいは目撃されているという記録があるが、確たる証拠は何もない。
・行動A-1井出康矢に会う(2ターン目以降)
「怪我人のわたくしに御用とは…お見舞いの品くらいはあるのでしょうね?」
交渉:7
b-1の情報を開示。
『告発』
情報a2b-2開示以前→重度の間違い「わたくしは被害者ですよ!どうして、疑うなんてことが…」
情報a2b-2開示以降→軽度の間違い「おやおや、なにか勘違いしているご様子で。上司を告発するだなんて、バカバカしい。」
情報a2b-3開示以降→トリガー
・行動B-1三ツ谷雄二に会う
「アポもなしに来るとは…井出支部長もリン支部長教育がなっていませんね。これは、マズいですね。UGNなんで。」
交渉:8
c-1の情報を開示。
交渉:11
e-2の情報を開示。
『告発』
情報a2c-2開示以前→重度の間違い「お帰りください。貴方とはもう話すことはありません。」
情報a2c-2開示以降→軽度の間違い「この組織は信頼が大切です。もし、本当に私が裏切り者だと思うなら、根拠を確定させてから来てください。UGNなんで。」
・行動C-1リン・ファンに会う
「ほう、飛び込みで妾に会おうとは…なかなか度胸のあるやつよ。聞こう、名を名乗れ!!」
交渉:8
d-1の情報を開示(ローがしゃべる)。
交渉:15
a2d-2の情報を開示(ローがいないorローを外してリンが話す)。
『告発』
情報a2d-2開示以前→重度の間違い「こんの無礼者ぉおお!!妾ならあんなめんどくさいことせず、こう拳の一振りで!」
情報a2d-2開示以降→軽度の間違い「お嬢様を疑うとは!相手を間違えれば、あなた方も塵となりますよ!」
【イベントシーン】
情報収集フェイズでa2b-3怪文書公開時点で、強制的にイベントが挟まる。
・シーン6 宮廷道化師の『告発』:Master
井出が病院のモニターで霧谷に連絡を取っている。
井出:「霧谷さん、私の調査結果をお知らせします。本当であれば、もっと裏付けを行ってから報告すべきことですが、今回のような襲撃があったからには、もうそうもいっていられません。」
霧谷:「わかりました。あなたのお話をお聞かせください。」
井出:「今回の襲撃はFHと結んだS区支部長三ツ谷及びK区支部長リンの陰謀です。以前から、私の管轄地である境界地域に二人の部隊が侵入していることはご報告していた通りです。今回はその調査過程で判明した事実をお伝えします。三ツ谷支部長の部下の方が私の支部に来た時に、盗聴をしていることに私は気づき、逆探知を試みました。結果、三ツ谷支部長は我々の支部の通信を全て傍受していたのです。そして、リン支部長は部下…彼女は使用人と呼びますが、に命じて私の部隊を襲わせています。私の部隊の傷跡を調べたところ、UGN製のそれもT市の支部に支給されているものと同じ繊維が付着していました。そして、二人が緊密に連絡を取りあい、それをFHに流していた証拠が、私の支部が襲われたことにあります。A区支部の防犯システムはT市支部のものを使っています、元支部長の三ツ谷ならその解除法も熟知しているはずです。そして、私がこの目で見たマスター・レイスはUGNのボディーアーマーを着て胸元にはK区のナンバーが入っていました。これはリンの差し金です。二人で徒党を組んで、私を生贄にFHへと鞍替えする気なのでしょう。」
霧谷:「確かに、一貫性のあるお話ですね。こちらでさらに調査を…」
井出:「いえ、事は一刻を争います!」
霧谷:「……わかりました。あなたを信じます。二人の職務を一時停止します。以下の三名には私がすでに別件で任務を与えています(PC達の顔と所属が表示される)。それ以外の3支部の全職員を、井出支部長あなたが指揮して今回の件の調査にあたってください。」
日本支部長霧谷雄吾の職権にて三ツ谷とリンは支部長職を停職とされ、A区支部、S区支部、K区支部の指揮権は調査が終わるまで一時的に井出に一任されることになった。
【トリガーシーン】
・シーン8 あなたがダブルクロス(裏切り者)だ!:PC②
場所は井出の病室。井出がPCの告発を受けるとクックックと井出は笑い出す。
井出:「ようやく気付きましたか!このわたくしがFHに通じていることに。UGNは今落ち目です。こんな組織にいてもこれ以上の出世は望めません。それならば、ステップアップのために組織を乗り換えるのは当然じゃないですか。私はFHの元でこの街を支配するのですよ!クーッククック!!」
「しかし、ここであなた方を消しておかなければ、ならないようですね。私のキャリアに傷がつきますから!!」
井出が手を振るうと突風が吹き窓ガラスが割れる。PC達は病室(4F)から落下する。
【肉体】:9
成功ダメージなし
失敗1D10のHPダメージ
井出:「さあ、私の計画の楽しい仕上げを始めましょう。」
【クライマックスフェイズ】
・シーン9 ダブルクロス’s・ナイフ:PC①
井出:「クックック!さあ、わたしの出世のためにあなた方にも、三ツ谷にもリンにも消えてもらいますよ!!」
衝動判定を行う
意思:9
失敗者は暴走のバッドステータースを受ける。
成功者も失敗者も2D10の侵食率を上昇させる。
[戦闘初期配置]
[宮廷道化師]井出康矢
10m
PC①,②,③
戦闘中
井出:「オーヴァードの能力を破壊活動にしか使えないなんて、芸がないですねぇ。」
「私でしたら、このように…避けることにも使えるのです。」
「回避は最大の攻撃です!!どんなに強力なオーヴァードでも、永遠に戦い続けることなんてできないのですから!!」
「街がどうなるか?そんなこと知ったこっちゃありません。わたしは私自身の地位を博士が保証してくれるなら、それでよいのですよ。たとえ、誰を蹴落としても、よい地位にいなければ、愛する者を守ることなんてできないんですよぉ!!」
デストロイ・ギガ・レイズ使用時
井出:「切り札は、最後まで取っておくから切り札なんですよぉ!!」
「避けられるものなら避けてみなさい!!」
敗北時
井出:「ク…クック、ここまで、あらゆるものから身をかわし続けてきたというのに…」
「わたしは、わたくしは…ここで終わるなど……私の愛する家族のためにも…」
「ここさえ切り抜ければ、私は…」
井出が何か奥の手を出そうとしたとき、彼を炎が包む。黒焦げになった井出はそのまま風に舞って散っていった…
ヨハン:「父上、すまねぇな。任務の達成が遅くなっちまったぜ!!」
コードウェル:「05(イプシロン)、塵になった者の報告など不要だ。」
ヨハン・C・コードウェルを伴ってアルフレッド・J・コードウェル博士が登場する。
コードウェル博士:「UGNの諸君。まずは任務達成おめでとうというところか…しかし、君たちはいつまでこんな茶番を続けるつもりかな?混迷するUGNにいては、いずれ君たちも、こんな塵芥に変わるだけだ。さっきのピエロが言っていたように、永遠に戦い続けられるオーヴァードなど存在しないのだからな。」
「運がよければ、また会おう。その時が遠い未来であることを祈るといい…」
コードウェル博士が[瞬間退場]、[瞬間退場Ⅱ]を使用し、ヨハンを伴って退場する([瞬間退場]のシナリオ使用回数の制限により、ヨハンは自力で[瞬間退場]を使用できない(笑))。
バックトラックを行う。
【エンディングフェイズ】
・シーン10 魔女の法廷:PC③
あなたはK区支部の支部長室に呼ばれていた。今日は使用人のローがいない。
ファン:「なぁ、PC③よ。妾はどうすればよいのか。…センウェが妾のことを思って、妾のことを思って…同士討ちを行っていただなんて…」
「センウェは今、UGN日本支部に拘束されておるわ…。妾は助けに行くべきなのであろうか?それとも、センウェと共に裁きを受けるべきなのだろうか?」
「少なくとも、何も知らず、何もできない妾が、この支部にとどまるのはよくないだろう。今朝、辞表を日本支部に送った。じきに[JG]がT市全体の支部長に推挙されるだろう。」
「お前はどうしたい?三ツ谷の元に行っても構わん。…それとも妾を支えてくれるとでもいうのか?なあ、妾はどうすればよいと思う?」
リン・ファンの問いに答えようとも、答えなくてもPC③の物語は続いていく。そこに彼女との絆が残るかどうかの違いがあるだけだ。
・シーン11 果たせなかった使命:PC②
あなたはS区支部の支部長室に呼び出されていた。正面に座るのは、三ツ谷雄二。UGN勤続15年、UGN S区支部支部長及びT市支部統括支部長代行の男だ。
三ツ谷:「PC②氏。私は思わぬ形で、過去果たせなかった責任を、果たす機会を頂きました。間接的とはいえ、それをもたらしてくれた貴方に私は感謝しています。」
「本来であれば、私は貴方にこれからもT市の復興に力を尽くして欲しいと思っています。しかし、私の過去の清算に貴方まで付き合う必要はありません。」
「ここに霧谷の雄吾氏への推薦状があります。あなたは優秀なエージェントです。ここに望むポストを書きなさい。」
「いいでしょう。これからも、PC②氏の活躍を祈っていますよ。」
三ツ谷の渡した推薦状は希望配属先の欄が空欄になっている。日本支部への昇進や海外への留学を望んでもいいだろうし、所縁のある地への転属を希望してもいいだろう。もちろん、T市支部と書くこともPCの自由だ。
・シーン12 これから…:PC①
あなたは霧谷に呼び出されて、モニターの前に立っている。
霧谷:「PC①さん今回はお疲れさまでした。ダブルクロス(裏切り者)は排除され、統合後のT市支部は三ツ谷さんが管轄してくださることになりました。」
「そこであなたは、これからどうしたいですか?」
所属する支部の無くなったPC①の選択肢は最も多彩だ。霧谷はそれを可能な限り尊重してくれるだろう。
-fin.-
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