アイドル『山田』、職探しする 〜本のサプライチェーン編〜

シームルグ

第1話:町の本屋さん

アイドル『山田』さんの転職(就職?)活動、1日目。

まずは、いつも漫画買ってる本屋さんに突撃インタビューに行きました!


※本文はフィクションであり、インタビュー内容はまったくの妄想であります。


〜〜〜〜

山田「店長さん、こんにちは!いつもお世話になってます!」

店長「こんにちは。いつもご贔屓ひいきにありがとうございます(元気な子だなぁ)」

山田「店長さんに教えてもらいたいことがあります!」

店長「ん?何かな?」

山田「私、就職先探してるんですけど、このお店ってどんなお仕事ありますか?」

店長「(いきなりなだなぁw)えっと、うちは社員募集してなくて、アルバイトしか募集してないけど、それでも仕事内容知りたい?」

山田「(え?社員じゃないならダメじゃん・・・でも、他のお店なら社員募集してるかもだから聞いておこうかな)はい!どんなお仕事してるか知りたいです!教えてください!!」

店長「(元気だなぁw)じゃ、大雑把だけど教えるね。まず、本屋さんって何をするお店だと思いますか?」

山田「え?本を売るお仕事じゃないんですか?」

店長「そう。それが本屋さんのお仕事。では、本を売るためには何をしないといけないかな?」

山田「(学校っぽいw)とかですか?」

店長「正解!そして、それだけ聞くとすごく簡単そうだよね。でも、周り見てもらうとわかるけど、本屋って通路狭いよね」

山田「はい。すれ違うの大変だし、時々鞄を本にぶつけそうになります」

店長「ってことは、本を運ぶのに台車とか使えなくて手で抱えて運ぶことになるんだ」

山田「え?本抱えるって結構重くないですか?」

店長「そう。重いの。それをレジの向こう側の倉庫からえっちらおっちら抱えて運ぶの。倉庫も狭いんだよぉ。」

山田「うわー。それは大変ですねぇ。」

店長「それだけじゃなくてね、倉庫の本もね、裸で置いてるわけじゃなくてねダンボール詰されて置かれてるんだ。そのダンボールを一つずつ開封して、必要な冊数だけ各ダンボールから取り出して棚まで運ぶと。そして、本が売れるたびにすると」

山田「(私無理だー)そんな大変なお仕事だったんですね・・・。もっと気軽に考えてました。」

店長「とまぁ、ツライ体力勝負はこんな感じ。で、ここからが本屋さんの面白いところなんだけど」

山田「(え?まだ仕事あるの・・・)」

店長「を作ったりします。例えばもうすぐ夏だから夏をテーマにした小説、漫画とかを集めて並べたり、どこがオススメなのかを書いたPOPって言われる紙貼ったりします。」

山田「星型に切り抜いたカラフルな紙に手書きで色々書いてるアレですね!」

店長「そう、それ!あれ書くの楽しいんだ。時々アルバイトさんにもお願いするけど絵の上手い人がイラスト描いてくれると華やかになるんだよね。それで売れ方全然違ってくるから本当本屋さんの醍醐味なんだよね!!」

山田「(店長テンション高っ(((((・_・;))そ、そうなんですねぇ。ひょっとして他にもお仕事あります?」

店長「うーん、あとは本の仕入れとかかな。毎月発売される本の一覧が取次とりつぎ会社から送られてくるんだけど、うちのお店なら何冊売れそうだからその分したりかな。」

山田「(取次?まぁ、いっかw)そういえば売れなかった本はどうするんですか?」

店長「売れなかった本は取次会社に返品するよー。本は再販制度っていう法律で価格守られてるから返品した分丸っと帰ってくるんだ。」

山田「じゃ、たくさん発注しておいてタワーとか作って面白い棚作って、売れなかった分いっぱい返品すればいいですね♪」

店長「って思うでしょwそれがダメなんですよw」

山田「え?なんでですか??」

店長「みんな同じこと考えてやっちゃうと返品された本で溢れちゃうでしょ。だから、取次会社さんは本屋さんの実績に基づいて配本する冊数を調整するんですよ。いっぱい売ってる本屋にはいっぱい配本してくれるってことかな。」

山田「そっかぁ、残念。」

店長「少しずつでも実績積んでいけばやりたいこといっぱいできるから楽しいよwまぁ、基本的に薄利多売な商売なので万引きとかあるとすごい困るし、その対策でしてて手間かかるし、お客さんも気軽に立ち読みできなくて不便になるしで難しいこともあるけどね。」

山田「(ふわー大変そうだ・・・)」

店長「こういう厳しい状況を盛り上げるために本に特典つけたりする出版社さんも増えてきて本屋さんのお仕事も色々変わっていく時期なのかも。新しい風を起こすためだし、本屋さんもしたりするのも苦じゃないよ。」

山田「(さらに大変そうだ・・・)」

店長「と、色々語ってしまったけど、本屋さんのことなんとなくわかったかな?」

山田「はい!色々勉強になりました!」

店長「うん、そう言って貰えると語った甲斐があったよ。ところで、うちでは社員募集してないって言ったけどなんか山田さん見てると元気でるし、そういうの本屋さんには必要だと思うんだよね。」

山田「(・・・ぇ?)」

店長「山田さん、うちで働いて見ないかい?」

山田「(いやいやいやいや・・・ないっしょ)あ・・・ありがとうございます。でも、私、ちょっと自信が・・・。」

店長「最初は戸惑うこととかあるかもしれないけど丁寧に教えるよ!」

山田「いえ、やっぱ私、向いてないと思うので、ごめんなさーい(脱兎のごとく)」

店長「やーまーだーさぁーーーん!」

山田「(もう、あのお店いけないや)」


以上、第2話に続く。


[町の本屋のお仕事まとめ]

・本を棚に並べる

・倉庫から出し入れする

・POPを作る

・テーマ棚を作る

・発注する

・ビニールで包む

・特典を同封する

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