トンネルを恋えて

Dary@だりゅーん

プロローグ

=== ヒロイン視点 ===


私は、夢を見てしまった。


私とあなたが重なり合って生きていく未来の姿の夢。


『あなたが 好き』

それが抑えられなくて…



一緒に遊ぶだけならだけなら、あなたが何処の人で、どんな立場の人でも良かった。


あなたと一緒の時間が私の宝物だから。


でも、もう堪えられない。


あなたを好きと言う気持ちを持つ事すら、あなたに許して貰えない事に、堪えられない。



そう、現実に目を向ければ、私たちの間には、溝と壁が立ちふさがってる。


福岡と福島。名前は、たった一文字違いだけど、これが私とあなたの距離。



17歳のあなたと、23歳の私。

今の私達にとって、歳の半周り違いは、地球を半周するよりきっと遠い。



でもね。


あなたの他には何も要らないの。

全てを投げ出して、飛びこんでいけるの。


あなたを好きでいる事をあなたが許してくれるなら。なんだってできる。


私を好きになってとは、言わないの。だってそれは、あなたの自由でしょう?


でも、私があなたの事を好きでいる事を妨げないで?



抑えきれない気持ちは、あなたの心を空に掴むだけ。


煮えたぎる思いは、時々そっと噴火して、あなたを逆に遠ざけていく。


だけど、私の大事な気持ちをアイスピックのように尖った言葉で、砕こうとしないで。それは、氷のように冷たい物じゃないのよ。



今日こそ、オンラインゲームのアカウントもLine全部消して、あなたの前から消えよう。


そんな事を考える日々に、堪えられないの。


今夜、仕事から帰ったら、もう終わりにしよう。


今夜こそ ――



=== 男側視点 ===


僕なんかを好きになるわけがない。きっとそれは、何かの間違い。


それか、恋に恋してるんだ。

そう、君は、失恋したばかりだろう?


穴埋めかい?


君の傷心を癒やすのに、僕を巻き込まないでくれないか?


僕は、僕の傷心だけで手一杯なんだ。


生まれて初めての告白だった。


だけど、君は、距離だの歳だのって、僕を子供扱い。


そうさ、確かに僕は、まだ学生。


君は、君にお似合いの相手が現れるさ。


だから、今更、僕を好きなんて間違っても思わないでくれないか?


君の将来の事も、ちっとは考えてるんだぜ?


好きとか嫌いとか辞めてさ。

友達でいようぜ?

楽しいしょ?

怖くないしょ?


だから、さっさと心折れてくんないかな ――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る