入院顛末記
芹沢 右近
第1話
「奥歯が震えた手術前夜」
痔で緊急入院した私。
入院してしばらくすると、翌日には手術をすることを告げられる
「手術」...人生初めての手術だ。
手術前夜、看護士から、手術する前に準備することがあるので、今夜消灯直前に待っておいてくださいと言われる。
何を準備するのだろう?
その夜の消灯前、その看護士はやって来た。「では、こちらの部屋に一緒に来てください。」
入院している部屋からちょっと離れた使っていない入院個室へ案内された。
「これから、明日の手術の準備のために、お尻の剃毛をします。このベッドに横になって、壁側を向いて、パンツを下げて、私の方にお尻を突き出してください。」と指示される。
女性の看護士さんは、私よりいくつか年下、ここは病院の個室、そして二人きり。私は肛門をさらけ出し、それを看護士に向けた。
私も看護士さんも無言のまま、そして剃毛の音が病室に微かにこだまする。
なんなんだこの異様な空間と状況は。
私も物凄くはずかしいが、看護士さんもこんな仕事イヤだろうなー。
静かな病室で、私は看護士さんになされるがままに、肛門を拡げられ毛を剃られ、ただ横たわって壁を見ているだけ。なんだか自分が哀しくなってきた。
その時だった。
「ゴリュッッ!」
肛門から脳髄に衝撃が走った!
「あっ...」看護士さんは、しまったという声で呟いた。
看護士さんは、手もとを誤り、カミソリで私の肛門を傷つけてしまったのだ。
「ケッの穴から手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わしたるぞ」と言うフレーズがある。まさにその通り、ケツの穴を激しく傷つけられると、本当に奥歯がガタガタ鳴るんだね。
「だ、大丈夫でしたか...?」看護士さんが申し訳無さそうに聞いてくる。
私は痛みに堪え、壁に向かって涙を流しながら「は、はいぃ...だ、大丈夫ですぅ...」奥歯が震える中、声を振り絞って応えるしか選択肢は無かった。
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