茜に染まる空に
ホウボウ
それでも私は
「私は……君のことが好き」
夕陽の差す窓、静かな部屋でずっと秘めてきた思いを打ち明ける。
どうしても今言わなければいけないと感じたから――
でも、君は何も返してくれない。
「いつ……いつ帰ってくるの?」
震える声で訊ねる。それが合図だったかのように、堰を切ったように涙が溢れ出す。
「それでも君は行くのね」
君はまた答えない。いや、答えられない。
それが私を傷つけると知っているから。
でも、その優しさが今一番私を傷つけ、苦しませている――
「さよなら、また会う日まで」
精一杯君に微笑む。
そして君は私に背を向ける。
二度と会うことはないと分かっていた。
でも私には、それを止めることはできなかった。
静かな部屋の中、ただただ頬を伝う涙を夕陽が照らしていた……
茜に染まる空に ホウボウ @closecombat
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