天使が見守る都市の闇

私は見守る

空から見守る

見守る価値のない街を見守る

人は醜い

出来もしないことを夢だと語り

出来もしないことに同じ人間を犠牲にする

まだ中学に入ったばかりの子どもたち

その子たちは大人の都合で弄られ

捨てられる

彼ら彼女らからとった力を

自分の力と勘違いして破滅する


こんな都市に価値はない

すぐにでも笛を吹いて

終わらせてやりたい

でも神様からの指令は絶対

だから私は我慢して

空から

価値のない街を見守る


姉が私のところへくる

どうしたのと聞く

なにがと聞く

だってあなた

泣いてる

これは

と言葉が詰まる

なぜ泣いているのだろう

こんな街を見て

可愛そうと

同情してしまったのだろうか

天使は人に同情してはいけない

優しいねと姉は言う

違うと怒鳴る

姉は抱き付き

いいんだよと言う

なにがと涙声で聞く

羽を返上していいんだよという

いやだという

だって

私は抱えて行くから

星の悲しみとともに

良き人の悲しみも

抱えて

私はこの星を

見守る

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