「」未定
猪瀬癒月
第0話
いつ何時なにが起きるかなんて誰にもわからない。唯一知っている者がいるとすればそれは皆が「神」とでも呼ぶ存在くらいだろう。
信じられるのは自分と目の前で起きる出来事のみ、お化けだの幽霊だの見えもしないものは「そう見えただけ」であり実際にはいないものなんだろうなと。
……そう思っていたのに。
「
突然呼ばれた名前を俺は理解できなかった。シオリと呼んだ見慣れない女性は確かに俺を見ていた。俺に向かって呼びかけていた。
「え……?」
なぜか重たく動くたびに痛む身体、自分のとは思えないほど華奢な手足、長い髪の毛。何もかも分からない、状況が飲み込めない。
呼びかけられた名前にも疑問形で返すしかできない。
「私がわかる? お母さんよ汐李っ」
「落ち着きなさい、汐李は目を覚ましたばかりなんだから」
白い部屋、ベッドはカーテンで仕切られ大きな窓からは眩しい日が差し込んでいる。ここはどこなんだろう、俺に何が起きているんだろう……分からない、考えても何も浮かんでこない。
俺の様子に気づいたのだろう、母親と名乗った女性が怪訝そうに見つめてくる。
「どうしたの、汐李?」
俺はそこで初めて口を開いた。
「……あなた達は、誰、ですか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます