ねこがたり Ver.2.0

「おはよう、アダム」


「おはようございます、イヌくん」


「今日の夢は、覚えているにゃ」


「どんな夢でしたか」


「教えないにゃ」


「なぜですか」


「きっと一緒に、見ることになるからにゃ」


「そうですか」


「我々の未来は、どうなるかわからにゃい」


「そうですね」


「明るいのか、暗いのか。見えにゃいもの」


「そうですね」


「だけど、アダムと一緒にゃら」


「アダムと過ごしてきた『今』があるから」


「怖くはにゃいよ」


「楽しかったことを語れるよ」


「ありがとうございます」


「というわけで、また野球をしようにゃ」


「ふふふ」


「何がおかしいにゃ」


「イヌくんも、こりないですね」


「こりないですにゃっ!」


「ところで野球場というものを、ご存知ですか」


「知らないにゃ」


「人はかつて。土や芝を整備した上で、野球をしたらしいですよ」


「にゃら、いつか花がいっぱい咲いたところで、野球したいにゃ」


「ふふふ。そうですね」


 ㅤ壁に向いていたイヌの目が光り終えると、鳴り止まない拍手の音が聴こえた気がした。にゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る