魔王様は人間と仲良くしたい

第1話

　約300年前に起きた歴史的大戦。

　ベリロウェルはその話を幼い時より当時魔界を統べていた魔王であり自分の祖父であるアモンから何度も聞かされていた。

　魔族には戦闘狂と呼べる、戦を愛すような者達が多い。普通の血気盛んな魔族ならどのようにして人族と戦い、どのようにして人族から魔界を守ったのかが気になるところだがベリロウェルは違った。

　ベリロウェルは、人族から仕掛けたきた戦を和平に持ち込んだアモンの手腕に感動し、強い力を持ちつつも極力血を流さずに済む結果に導いた祖父の人柄に惹かれていたのだ。

「おじいちゃん！もっと教えて！」

「ベルは本当にその話が好きだな… よし、もっと話してやろう。儂が魔王をしておった頃人族の国にはな…」

　幼きベリロウェルの興味津々な態度に祖父・アモンも満更ではない様子で当時のことを話す。これがベリロウェルの日常だった。

「ねえ、おじいちゃん」

「ん？どうしたベルよ」

「僕、おじいちゃんみたいに人間と共存できる世界を作れるように頑張るよ！」

　いつしか自分も祖父の後を継ぎ、本当に人族と魔族が手を取り合えるような世界を作ることを誓ったのだった。