俺は猫様

櫻庭 春彦

猫様。

俺は猫様。


この家のアイドルだ。


外の猫に冒険の話を聞くのと、暖かいところが大好きだ。


特に”ほっとかーぺっと”というやつは最高だ。いつでも暖かい。


ただしあいつには注意しなければならない。


一番に起きてきて朝飯をくれる”おとーさん”は、夕方かえってくるとすぐに俺の体にさわってくる。


このまえ、腹をもまれたから噛み付いてやった。痛そうな顔をして逃げていったぜ! すごいだろ!


しかし最近、そんな俺にピンチがやってきた。


ある日、帰ってきた”おかーさん”がちいさな猫を持っていたのだ。


「ミーミー」


その日から、俺の生活は変わってしまった。


飯はあとまわし、”おとーさん”も俺の体にはさわらない。


なによりちいさな猫...シャルは、勝ち誇った様な笑みでこちらを見てくるのだ。


それに、あいつが俺に突っかかってくるのに、怒られるのは俺だけ。


そしたら”おかーさん”に水をかけられてしまった。


そのときにはもうなぜ怒られたか覚えていない。


とにかく水をかけた”おかーさん”は嫌いだ。


...でもご飯くれる人だしなぁ。


...何で嫌いだったんだっけ...?


「もういいや!」


冒険譚を聞きに友猫のところへ俺ははしりだした。


俺もいつか人に話せる大冒険がしてみたい...かもしれない。


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