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採用通知第一号はあの娘だった。


進路相談室で黄昏ていると、廊下をあの娘が通った。

普段から綺麗にしている黒髪がやけに写っていた。堪らなくイトオシイと思えるその髪は、夕日を浴びて艶めいている。


たった一瞬の事が頭から離れない。






あの娘から遅れること1ヶ月。

私は就職した。

半年もたずに職を変え、季節が何度か巡り

あの頃が何年前だったか思い出せずにいる。


抽象的過ぎる残像で頭が埋まってしまった。


消える事が無い思い出が虚無感をより一層強くさせた。


虚しさがいつも私といるように、

あの娘が幸せと思える何かと共に居る事を心から願うばかりである。

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