現実が異世界で俺がチート能力者ってどういう了見ですか?
未柊
第1章
第1話『転生と美少女』
その日カシスは自宅のベットで寝ていた。
そう、ゆっくりと……ゆっくりと意識を体から切断し……寝r
ドサッ
そば誰かが倒れた音がしたのでカシスも驚き
「あふぇっ⁉︎」
と素っ頓狂な声を出して飛び起きた。
「貴方は……だ……れ…?…わ……たしを……たす……け……」
カシスが目の当たりにした光景。
それは……
1人の美少女が倒れている光景だった。
——時は少し遡る——
カシスが寝始めた同時刻。
「持ち堪えろ‼︎勝利は目前である‼︎」
女はこのような事を叫んでいたが戦況を見ればそれは間違っていると嫌でも気付く。
女の軍、二本の剣が交差し一本の杖が交差地点に垂直にある、そんな旗印の軍は
精霊の紋章が刻まれている旗印の軍に包囲されていた。
女の軍も大衆が数を減らし、ほぼ壊滅状態といって良いだろう。
はっきり言ってこの戦いは女たちの負けだった。
女もそれを薄々気付いていたのか、くっと小さく唸った。
「お嬢様‼︎お嬢様だけでもお逃げを‼︎」
女の近くにいた老人騎士が叫ぶ。戦闘に出るのだろう。
馬に乗り、剣を引き抜いている。
「嫌よ!死ぬならみんなと一緒に死ぬっ‼︎」
「なりませぬ‼︎」
女は涙を流しながら言った。しかし、老人騎士も行かせてはならぬと必死に止める。
「お嬢様が死んでしもうたら‼︎誰がこの国をっ……誰が皆を導くのです‼︎」
「でもっ……でもっ……」
老人騎士が言っていることは正しい。
しかし女はそれを聞こうとしない。
そして出撃の時刻になった。
老人騎士は女の目をじっと見て言った。
「お嬢様は必ず良い方と巡り会いましょうぞ。
例え世界が敵になろうとも、滅びようとも、その人のそばを離れませんよう……」
「ラスラ……わ、私も行くわ!」
女は急いで馬に乗り、老人騎士/ラスラと並ぼうとする。
しかし老人騎士/ラスラは言った。
「——これまで長き年月、お嬢様に仕え我等一同本当に幸せでございました。
もう会うことはないでしょう。さようならですお嬢様。
——お嬢様に神のご加護があらんことを」
その瞬間女が乗っていた馬が急に進行方向とは逆に走り出した。
老人騎士が馬の横腹を蹴っていた。
「ラスラ⁉︎嘘でしょ⁉︎ラスラァァァ‼︎」
そのとき女は見た。老人騎士が——泣いているのを。
——女を乗せた馬はしばらく暗い森を駆け抜け、其処で足を止めた。
女は顔をあげた。目の前には光を発する一つの宝石が落ちていた。
女は馬から降り、その宝石の近くまで行き、そして触れた。
その瞬間宝石がこれまでより強く光を発した。
「くっ……」
女はその光を見たとたん力を失ったかのように崩れ落ちた。
ドサッ
「あふぇっ⁉︎」
光の中から突然素っ頓狂な声が上がる。
女は自分でも意識しないうちに口走っていた。
「貴方は……だ……れ…?…わ……たしを……たす……け……」
女はここで意識を落とした。
この2人の出会いがこの先、この世界の未来をこんなにも大きく変えるなんて……
——今はまだ、誰も知らない話
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