珊瑚樹茄子

彼の瞳のように澄んだゼリー

少女の頬のように赤く瑞々しい果肉

母の手のように皺くちゃの表皮

忘れられても

冷たい底で腐らず待っていた


その熟れた赤い実は

どんな刃物も

柔らかく受け止める

その切り口は

優しかった

ずっと思い出してくれるのを

待っていたから

その味は

驚く程に甘かった

ずっとこの時を待っていたから


どうぞ

サラダでもソースでも

あなたの好みの味付けで

待ち続けた時間の甘さを

召し上がれ

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