次鋒、吹雪氷華
「これはこれは、初戦を取られてしまいましたか」
向こう岸の敵が話しかけてくる。
「……どういうつもりだ? 場外したにも関わらず攻撃を続行するとは」
「卑怯だぞ! 場外だったのに攻撃しやがって!」
ユウと車田くんが抗議する。私と氷華ちゃんも怒っていた。勝負は完全に空くんの場外勝ちだった。なのに相手は攻撃を続行した、これは明らかなルール違反だ。
「はて? 何のことでしょうか?」
なんと相手は白を切ってきた。自分達は場外負けしたところを見てないという。なんというやつらだ。
「白々しさもここまでくると感心しますわね」
「さて、次鋒戦と行きましょうか」
もう次の試合を始めようとしていた。話をするつもりは無いらしい。
「今の試合で、分かったことがある」
ユウが腕を組みながら話す。
「敵にとって勝ち負けなんてどうでもいい。俺達を殺せさえすればいいんだ。」
そんな! と私は叫ぶ。
「それじゃあ、ルールなんて無いも同然じゃない! こんな試合、する意味ないよ!」
「だろうな。……だがこちらがルールに背いたことをすれば、奴らは鬼の首を取ったかのごとく、人類を抹殺するだろうな」
「そんな……」
「とにかく、今は勝つしかない。しかも場外や気絶ではなく、相手を殺しての勝利だ」
相手を確実に仕留める。私以外の四人が今までやってきたことをするだけ。
「でしたら、わたくしが次鋒を担当しますわ」
氷華ちゃんが立候補してきた。
「大丈夫か? 敵はおそらく、お前が水系能力者だと知っているぞ」
「ご安心ください、負けるつもりはありませんわ。それとユウさん」
「なんだ」
「以前も言ったでしょう。私のことはH2O使いと呼んでくださいな。やつでさん、すみませんが帽子を預かってくださいますか?」
私は氷華ちゃんの被っていた麦わら帽子を受け取った。
氷華ちゃんはフィールドへを向かう。
次の敵は青色のローブを着たエンダーだった。ローブを外すと、中から腰の曲がった立派な髭のおじいさんが出てきた。
「ホッホ、よろしくの、氷華ちゃん」
「ええ、よろしくお願いしますわ。……わたくしの名前を知っているということは、やはりわたくし達のことは事前に調査済ということですか」
「当然じゃ。敵を倒すためにはまず敵を知らんといかん。マッハの馬鹿は己を過信して、敵を侮った。故に負けたんじゃ」
「マッハ? ……ああ、さっき常盤くんに倒されたエンダーのことですか」
「マッハは馬鹿じゃったが、どこか憎めない奴じゃった。……敵は取らせてもらうぞい」
「申し訳ありませんが、わたくしも負けるつもりはありませんわ」
「ホッホ。……バトル開始じゃ!」
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