ルール確認は大事
「ようこそ、地球の戦士諸君」
誰がは分からないけど五人の内の一人が、私達に向かって話しかけてきた。
「大きい声ですわね、反対岸のここまで届くなんて」
氷華ちゃんが変なところで感心している。
「車田、出番だ。俺達の言葉を、お前の声で代弁してくれ」
「声のでかさ勝負か! 任せろ!!」
車田くんが大きく深呼吸をして、肺に空気を溜める。
「何がようこそだ。船に攻撃しておいて」
「何がようこそだ! 船に攻撃しやがって!!」
車田くんの声はいつも以上に大きく、鼓膜が破れるかと思った。私は反射的に耳を塞いでしまう。
「あれはただの挨拶ですよ。我々星の使徒流のね。まあ、本音を言わせてもらえば、あのまま死んでくれた方が、こちらも時間の無駄な戦いをしなくて済みましたがね」
「あまり私達をなめないでくださいな。あの程度の攻撃、簡単に対処できますわ」
「俺達をなめんなよ! あんな攻撃、全然効かねーよ!」
車田くんが氷華ちゃんの言葉を代弁する。全然再現できていないけど。
「そのようですね。……無駄話もこの辺にして、そろそろ始めましょうか」
「ちょっと待て。その前にルールを確認させてもらう」
「待ちやがれ! その前にルール確認だ!」
「『相手を倒した方の勝ち』というルールだが、勝敗はどう決める? 相手を殺したら勝ちなのか、気絶した方の負けなのか、または場外負けもあるのか。その辺を細かく決めないで、戦うことはできんぞ」
「ルールは天下一武道会と同じでいいか!?」
「……おい」
ユウが車田くんを横目で睨む。私と氷華ちゃんは呆れた目で見ていた。空くんはいつもの無表情。
「……天下一武道会が何なのかは存じませんが、そうですね……。まず対戦フィールドは、この干からびた湖の中ということで。勝敗が着く前に湖を出たら、場外負け。その他のルールは、あなた達が参加したNEXというゲーム。それと同じにしましょう」
NEXと同じってことは……。
私はスマホのメモ機能に保存しておいた、NEXの詳細を開く。
「相手を殺害、もしくは気絶させた方の勝利ですわね。……もっとも、NEXの場合は異空間フィールドでの話でしたが、今回は違う。死んだらそこで終わりですわ」
死んだらそこで終わり。氷華ちゃんの言葉に身震いしてしまう。
そうだ、これは人類の存亡をかけた戦いだ。それを改めて実感する。
「分かった、そのルールでいい」
「分かった! そのルールでいいぞ!」
ルールはこれで確定した。いよいよ始まる。人類の未来を掛けた、侵略者との戦いが。
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