上陸。5人の対戦相手

 船は私達を下すと、すぐに出向し本土へと帰った。黒服さんはエンダーのことは知っているけど、能力者ではない。島にいては戦いの足手まといになる。だから一度帰ってもらった。もちろん、連絡すれば、ちゃんと迎えに来てくれる。


「誰もいませんわね……」 


 上陸と同時に攻撃してくるというユウの心配は、取り越し苦労だった。 

 私は周辺を見回す。海岸には誰もいない。 


 でも代わりにある物を見つけた。


「っ! あれ見て!」 


 木が倒れていた。一本だけなら騒いだりしない、何本も倒れている。しかも倒れ方が不自然だった。 

 倒木が島の中央、森の奥まで続いているのだ。


「この木の倒れ方、明らかに何者かの手によるものだな」

「エンダーの仕業か!」

「十中八九な」 


 膝を折って倒木を見つめるユウ。


「さながら、エンダーによって作られた、獣道ならぬエンダー道ですわね。これを辿って来い、ということなのでしょう」

「行こう」 


 私達はエンダーが待つであろう、島の奥へと歩き出した。 


 森の景色はしばらく続いた。途中で珍しい小動物や鳥を見つけた。……エンダーとの戦いが無ければ、皆で楽しくハイキングできたのかな。 


 やがて、開けた場所に出た。


「ここは、盆地か?」 


 この地は、まるでカップアイスクリームをスプーンですくったかのように、凹んでいた。直径五十メートルはある丸い凹み。


「おかしいですわね、DCで地図を拝見しましたが、ここは湖のはず。……!! 水が干上がっているのですわ!」 


 氷華ちゃんが叫ぶ。


「これもエンダーの仕業か」 


 こんなことをして、エンダーは何をしたいのだろう。環境破壊が趣味なのだろうか。


「おい、向こう側に誰かいるぞ!」 


 車田くんが凹みの向こう側を、枯れた湖の向こう岸を指す。 


 そこには、何者かがいた。 

 一、二、三、四、五。 五人はそれぞれ赤、青、紫、緑、白のローブを来ていた。 


 きっとあれがマーザが用意した五人の対戦相手だ。

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