常盤空は秘密主義

「……というか、直接空くんに聞いた方が早いんじゃない?」 


 ふと、私は思いついたことを三人に言ってみる。 

 単純だが、これが一番早い、答え合わせだ。四人であーだこーだ話し合うより、よっぽど早い。私は推理ものでは早く答えを知りたい派だ。


「じゃあ、やつでが聞いて来い」

「え、私が?」

「言いだした者が実行するのはお約束というらしい」 


 どこのお約束よそれ。


「頑張ってください、やつでさん」

「空の秘密を暴き出せ!」 


 氷華ちゃんも車田くんもユウに加担する。こうなったら私に拒否権は無くなる。


「もう」 


 私は少し文句をたれながら、空くんがいる船頭に歩み寄る。


「ねえ、空くん」 


 私は気さくに空くんに話しかける。


「……」 


 相変わらずの無言無表情な態度の空くん。


「えっと、ね、聞きたいことがあるんだけど……」

「……」 


 なんかペースが乱される。けど私だって答えが知りたい。意を決して、ズバリ聞いてみる。


「空くんの能力って、一体何なの?」

「……秘密」 


 唯一答えを知っている子が、教えてくれなかった。


「そんな釣れないこと言わないでさ、教えてよー」 


 私は馴れ馴れしく、空くんの肩を揉んで、ご機嫌を取ってみる。 


 けど空くんは……。


「……敵に知られるかもしれない。だから言わない」 


 とのことだった。 

 私はその言葉にびっくりして、小さな肩を揉んでいた手を止めてしまう。


「敵って……私は仲間だよ?」

「……お姉さんが百パーセント仲間とは言い切れない。エンダーのスパイかも知れないし、今は仲間でも後で裏切るかもしれない。どこかで盗聴されているかもしれない。向こうのお兄さん、お姉さんにも同じことが言える。だから言わない」

「そ、そんなこと私しないよ! 他の皆だって!!」 


 私は必死に否定する。盗聴はともかく、私達は裏切りはもちろん、スパイなんて絶対しない。 


 だけど空くんはそれからウンともスンとも言わなくなった。 


 無言な空気に耐え切れなくなった私は、仕方なく三人のもとに戻ることにした。

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