第7章 VS エンダー

エンダーの長、マーザ

 即日退院できた私は、皆と共にDCの社長室へと赴いた。ここに来るのは二度目だけど、やっぱり豪華で凄い所だ。


「全員揃っているようだな。……どうやら凩くんの記憶は戻ったようだな」 


 ここに私がいる理由を察したようだ。 

 私は、よくも記憶を消してくれましたね、という怒りの念を向けた。けど、社長さんには効果が無かったようだ。 


 私達は社長の前に整列する。


「先ほど、我が社に奇妙なメッセージビデオが配達された。内容を確認した結果、エンダーからの物と判明した」

「どんな内容だったんだ」 


 私達を代表してユウが社長さんに尋ねる。


「口で説明するより、実際に見てもらった方が早いだろう」 


 ディーノさんは何かのリモコンを操作する。天井からスクリーンが下りてきた。同時に社長室の照明が落とされる。 

 もう一度社長さんがリモコンを弄ると、スクリーンに映像が映し出された。 


 画面に現れたのは、黒いローブを来た者だった。男か女かはまだ判別がつかない。


『ごきげんよう。地球を守りし、戦士諸君。そして初めまして。我はマーザ。星の使徒――貴様達がエンダーと呼ぶ種の、長だ』 


 スピーカーから流れてきたのは、男の声だった。この黒ローブは男らしい。いや、エンダーだから雄、と言った方が適切なのかな。 


 エンダーの長。その単語を聞いて、ディーノ社長以外全員の顔が険しくなる。


「ついに親玉の登場か……」 


 と言うユウ。


『我は非常に驚いている。まさか我ら星の使徒が、たかだか地球の生物に倒させてしまうとは。認識を改めなければならないようだ。断言する、貴様達は強い。そして我は興味が湧いてきた。貴様達の強さが一体どれほどのものか。そこでだ、それを見極めるために、貴様達とゲームをしようと思う』


「ゲーム……!?」


 オウム返しをする車田君。


『簡単なゲームだ。お互いに五人の戦士を用意し、一人ずつ戦わせる。相手を倒したチームの勝利。先に三勝した方がゲームの勝利チームというわけだ』

「つまり、柔道や剣道の試合で用いられる、星取り戦形式ですわね」 


 氷華ちゃんが分かりやすくまとめてくれた。


『……うむ、ただ戦うだけでは面白くないな。……そういうのはどうだ? 貴様達が勝てば、我ら星の使徒は、もう二度と地球を襲わないと約束しよう』 


 その言葉に、私達はちょっとだけ喜んだ。この勝負に勝てば、地球を守れる。そう思った。 


 でもその喜びはすぐに破壊された。


『だが我らが勝った場合、地球上の人類を絶滅させる』 


 エンダーの親玉が言った言葉は衝撃的なものだった。 

 言葉が出なかった。何と言えば良いか、分からなかった。


『日時は三日後。場所は――』 


 私達の反応などお構いなしに、動画は再生される。


『――だ。……なお、勝負を拒否した場合、貴様達の不戦敗として、人類を滅亡させる。……貴様達とのゲーム、楽しみにしている』

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