5人目の戦士は

「映像はここまでだ」 


 ディーノ社長がリモコンで部屋の明かりを付ける。


「参加しなければ人類抹殺。負けても人類抹殺。ほとんど脅迫だな」 


 五人の中で、最初に言葉を発したのはユウだった。 

 次に氷華ちゃんが冷静な考察を述べる。


「勝ったら襲うのをやめる、というのも怪しいですわね。あのマーザという男が約束を守るという保証もありませんし」

「……罠」 


 一言だけ発する空くん。たった一言だけど、的を射ていた。


「ど、どうしよう」 


 冷静な三人とは異なり、私はオロオロする。


「へっ、そんなの決まってるだろ!」 


 車田くんが叫ぶ。なんだかいつもより彼の声が大きい気がした。


「要はこの勝負に勝てば良いんだろ!」

「車田くんの言う通りだ」 


 社長さんが告げる。


「元々君達はエンダーと戦うために私が選んだ戦士だ。ゲームだろうとなかろうと、やってもらうことは変わらない。君達には参加してもらう。もちろん、負けることは許さない」

「勿論、わたくし達は勝つつもりです。ですが、問題が一つありますわ」

「問題!?」

「エンダーとの戦闘経験があるのは、わたくし、車田くん、ユウさん、空くんの四人だけ。ですが相手の指定した人数は五名。一人足りませわ」 


 車田君の疑問に氷華ちゃんが答える。


「それなら、私が――」

「ダメだ」 


 私が五人目になる、そう言い終わる前にユウに邪魔された。なんか最近、いつもユウにダメダメ言われている気がする。


「……また私の記憶を消すつもり?」 


 ユウを睨みながら、私は首の後ろを両手で保護する。また当て身を喰らうわけにはいかない。


「そんなつもりはない。だが、やはり、やつでを戦いに巻き込みたくは無い」

「わたくしも、ユウさんに賛成ですわ」 


 思わぬところに伏兵がいた。


「氷華ちゃん?」

「今回の戦いは、相手が指定してきたもの。敵は必ず、強力なエンダーを選手に登録してくるはず。そんな強敵相手に、戦いの経験がないやつでさんが戦うのは酷というものですわ」

「そういうことだ」 


 ユウが続ける。


「普通のエンダー退治なら、俺達が補助することもできる。だが、このゲームは一対一というルールが存在する。やつでを守りながら戦う、ということができない」

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