均衡
その工房に、主はひとり。対して僕と同じヒトガタの機械は数体いた。皆はそれぞれに外界というものを理解し、創り主と同じことばを用い、また機械同士では音を伴わないことばを用いて対話とされるものを行ったが、幸いにしてヒトを死に至らしめるらしい「個性」なる機能を、僕らは持ちえなかった。主は殊に、僕を美しい最高傑作と褒め、愛で、頻繁に手入れをしたが、そのことについて他の個体が騒ぎ立てることはなかった。その差異について言及することは、世界に塵ほどの影響と齎さぬと、即ち「無意義」だと理解していたがゆえにである。
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