多くを殺めてきた私の手で産み落とした彼は、僥倖に包まれた光であり、避けがたい最後の可能性であり、同時に決定された絶望を齎した。限られた時間で彼に与えて遣れるものを考えると胸を刺されるような思いがしたし、その時間と世界を鎖すのは私自身だという確信があった、それでも彼の瞳に在らんかぎり己が浅ましい生をぐずぐずと、引き延ばすと決めた。圧倒的なうつくしさ、奇跡の御子。発現したその瞬間から、主と傀儡は入れ替った。

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