ショートショート
@matsuoka
第1話 発明
R博士は画期的な発明をした。それは脳に直接情報を送り込むというものでこれが実用化されれば人々は勉強をする必要がなくなる。教科書や参考書が頭の中に入っているようなものだからだ。
R博士には野望があった。それは世界一の発明家になることだった。しかしR博士にはその才能がなかった。ある人が発明した物の改良や簡略化することの才能はあったが自ら新しい物を作り出すことができなかった。
しかしR博士はそのことに気づくことができず、自分の発明がいつも他人に先を越されていると感じていた。
R博士はこの発明によって世界中の若者が勉強しなくなり、新しく発明する者がいなくなるだろうと考えた。そうすればいずれ自身が認められるようになると思った。
「10年後には私は世界一の発明家になっているだろう。」
R博士は一人つぶやき、笑った。
10年後、R博士は未だ世界一の発明家になれずにいた。R博士は疑問に思った。なぜ発明を続ける人々が減らないのか。勉強をする人々は確実に減ったのになぜ自分よりも優れた人材があらわれるのか。
R博士はある時、知り合いの若い発明家に尋ねてみた。どうして発明ができるのか、とすると若い発明家は笑顔で答えた。
「R博士のおかげですよ。博士のおかげで子供の時から発明に使う時間が増えましたから。」
R博士は気付いた。そうか、私は天才たちが育つ手助けをしていただけなのか……
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