お題箱 より

『孤独な旅に出た先に見つけたもの。』

踏み出した足についた

赤土をじりじりと

床板に擦り付けては拙い字で

わたしだ、と


一歩踏み出す度に膝蓋骨しつがいこつ

怯え 震え 帰ろと怒る

かつて床板に書いた文字は

だれかに、嗚呼


何にも無いと思い込んでいた

氷雨にさえわたしは満ちる

受容れるうつわが無かったのだと

わたしは、だれかに


もうわたしは帰れない

もうわたしは変われない

じりじりと焦がす懐かしさに

気づかされてしまって、嗚呼

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る