昇降口の幸運
脳内会話をしている内に、学校前に着いた。三階建ての白い校舎。この学校も見慣れたな。通学中の他の生徒達が校門を通って、白い建物の昇降口に吸い込まれていく。
僕は喚くスズメバチを無視して、眼鏡のズレを直しながら校門をくぐる。校内には生徒が多くいた。駄弁りながら歩く恋人達、ぶつぶつと参考書を読みながら歩く秀才君。朝練中の運動部員もちらほら。風紀委員は鋭い目を光らせながら、登校する生徒の服装をチェックしている。
僕はその中に混じりながら、校舎に入る。制服の乱れが無かった僕は、風紀委員から標的にされることもなかった。
昇降口に入ると、うるさい脳内アブラゼミが気にならなくなるくらいの幸運な事が起きた。 僕は嬉しくて思わずスキップしそうになるのを我慢し、自然な態度でその幸運に歩み寄る。
「おはよう、逢原さん」
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