白と黒

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序章 二重人格

二重人格

 ジキル博士とハイド氏。ロバート=ルイス=スティーヴンソンによって百年以上前に、この世に生み出された、有名な小説である。

 まだ内容を知らない人には申し訳ない。ネタバレになってしまうけど、この小説は多重人格を題材としていて、ジキルとハイドは同一人物なのである。つまり、博士は解離性同一性障害、簡単に言えば二重人格だったのだ。

 初めてこの小説を読んだ時、僕はあまりの面白さに感銘を受けた。こんな素晴らしい物語を作り出すことができる人物がいるなんて、とても驚いた。


 だけど、驚きと同時に僕はある考えが浮かんだ。

 ロバート氏がこのような作品を生み出すことができたのは、彼自身が多重人格なのではないのかと。 作者が多重人格で、自身と自身の中にいる別の人格をモデルにしたから、あのような名作ができたのではないのかと。

 同じ理由で、遊戯王の高橋和希先生や仮面ライダー電王の脚本家さんも多重人格者だと思っている。 もちろん、これらは僕の想像、ただの妄想でしかない。確証のない、机上の空論だ。普通は誰も思わないだろう。そもそも百年も前に死んだロバート先生が二重人格であることを確かめる方法もない。


 それなのに何故、そんな考えに至ったかというと……。


「(なに朝っぱらから、難しいこと考えてんだ、史郎?)」

「(勝手に僕の思考読まないでよ、クロちゃん)」


 僕自身が普通ではないからだ。

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