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ちびまるフォイ

最凶の幼女 vs 最恐のロリコン

「ねぇ、お姉さん」


「あら? なにかしら、お父さんとお母さんは一緒じゃないの?」


「ひとりできたの」


「偉いわねぇ。それでなんの用かな?」


「ごーとーするの」


「は?」


銀行員は目を丸くしていた。

けれど、カウンターから見える銃口が本物だとわかると冷汗が流れた。


「ど、ど、どど、どうしてそんなもの持ってるのかな?」


「ごーとーだから。あのね、銀行にあるお金を全部いれてきて。

 少しでもボタンを押すそぶりを見せたらね、

 あなたはもちろん、みんな撃つから」


「ひ、ひええええ」


5歳~6歳で結成された幼女強盗団。

そんなものがあるのかとニュースを話半分に聞いていたが、

今身をもって体感することになるなんて。


別の幼女はテトテトとおぼつかない足取りで入口を封鎖した。

その愛らしい動作に誰もが警戒していない。


「みんなー動かないでー。この銀行は幼女強盗が支配したー」


「あらあら可愛いねぇ」


おじいちゃんおばあちゃんは遊びだと思って抵抗せずにノっている。


「こ、これが幼女強盗団……!」


手際のよさとは裏腹に、かかわった人間は誰一人本気だと思っていない。

あれよあれよと銀行の金が引き出されていく。


この銀行も終わりだと思ったとき、

外から拡声器を通した声がひびいてきた。


『幼女強盗団! この銀行は包囲されている!

 お前らの悪事もこれまでだ! 無駄な抵抗はやめて出てこい!』


しめた!誰が通報したのか警察がやってきていた。

幼女たちは慌てることなく話している。


「どうするの? あみちゃん」

「前に話した通りだよ」

「うん、わかった」


幼女たちは自分のランドセルにお金を詰めてごく普通に入口から出てきた。

あわせて、中から返答。


『わかったー。人質を小さい順に解放するねーー』


「おい! 出てきたぞ!」


ランドセルを背負った幼女が普通に出てきた。


「……あれは人質なのか? 犯人なのか?」

「わ、わからん……」

「おい行ってしまうぞ!」

「でも下手に触れて泣かしたらどうする!!」


大人がまごついている間に幼女はさっさと出て行ってしまった。

幼女強盗は大人の扱いに長けていた。


「どうすればいい……。このままじゃ、今回も幼女強盗にしてやられるぞ」


「署長、あの秘密部隊を使いましょう」

「使うのか……」

「それしかありません」


警察はしぶしぶ部隊を要請した。


「ロリコン部隊、着任しました!!」


「来たか……よろしく頼むぞ」


「はっ! 幼女は大好物であります!!」


ロリコン部隊は幼女相手でも容赦はしない。

というか、幼女だと容赦はしない。


今度、ランドセルで銀行から出てくる幼女がいれば

まっさきにボディチェックをするだろう。


他の警察ができなかった幼女を強引に取り押さえることもやってのける。

まさに秘密の精鋭部隊。


「あみちゃん、まずいよ。ロリコン部隊が来ちゃったよ」


「ここから出ることも、閉じこもり続けることもできないよぉ」


「お兄ちゃんって呼んで、油断させることできないかな」

「むしろご褒美になるよ」


幼女たちは戦々恐々。

ロリコン部隊の血走った眼と、どんな小さな動作も見逃さない監視力の前になすすべがない。


リーダーの1年3組のあみちゃんは銃を置いた。


「みんな、あきらめよう」


あみちゃんはスマホを手に取った。


 ・

 ・

 ・


「そうにゅ……突入!!」


相手の武装解除を確認したロリコン部隊は一気に銀行へとなだれ込んだ。

あっという間に幼女を取り押さえた。


「クリア!」

「クリア!」

「クリア!!」


難攻不落の銀行もまたたく間に無力化した。

幼女たちはいっせいに泣き出した。



「全員、逮捕しなさい!!!」



この事件はニュースで報道された。




『今日、発生した幼女への集団暴行事件の犯人が逮捕されました。

 犯人団は銀行にいた幼女を力づくでねじふせたところを、

 居合わせたPTAによって逮捕されました』


ニュースではコメンテータが顔をしかめていた。


「怖いですね、小さい女の子相手に大人が力づくなんて。

 しかも犯人は警察だそうじゃないですか」


「現場にいた子供からPTAへの通報がなかったらどうなっていたか……」

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