リカオン Episode 0

@zatou_7

第1話 目覚め

風の音が聞こえる

微睡みの中で風の音だけが響く

自分が誰でどこで今何をしているのかも分からない

フワフワとした心地でいると段々と草木の揺れる音も聞こえ

風に乗った大地の香りもして意識がハッキリしてきた

リカオン「んっ・・・ここは・・・」

??「おっ、起きたな・・・どうだ?大丈夫か?」

ぼんやりする頭を抱えながら声のするほうを見るとフレンズがいた

モノクロ調で短髪、頭に羽があるからきっと鳥のフレンズだろう

リカオン「貴方は?」

オウギワシ「・・・あ、私か・・・オウギワシだぜ!よろしくな」

リカオン「私は」

と自分の名を名乗ろうとしたところでオウギワシの言葉が遮った

オウギワシ「リカオンだろ?知ってるさ」

リカオン「?、何故私の名を?」

オウギワシ「いいじゃねえかそんなこと、あ、腹減ってねえか?ジャパリまんあるぞ?食うか?」

何故か私の名前を知っているこのオウギワシというフレンズ・・・私が目覚める前からその場に居たようだし私の名前も知っていた、何者だろうか?

はにかむような顔でジャパリまんを突き出してきたオウギワシ

奇妙な感じはするが不思議と嫌な感じはせず私はそのまま受け取ってジャパリまんを頬張った

リカオン「モグモグ・・・ところでなんでここに?」

オウギワシ「えっ!?あっ・・・まあこの辺をパトロールしてたら丁度サンドスターの固まりがキラキラしてるのが見たからまたサンドスターが動物に当ってフレンズが産まれたなって思って見てたんだよ」

リカオン「そうですか・・・じゃあなんで私の名前を?」

オウギワシ「・・・たまたま知ってたんだって気にするなよ!こまけぇこと気にするなよ!」

リカオン「はぁ・・・まあいいですけど」

腑に落ちないがこれ以上追求しても仕方がなさそうなので言われたとおり気にしないことにした

リカオン「オウギワシさんは何をしてるんですか?」

オウギワシ「ハンターだよ、空からセルリアンを探して・・・この拳で・・・砕く!」

リカオン「なるほど、強そうな腕してますしね・・・鳥のフレンズなのに拳で・・・オウギワシさんって変わってますね」

オウギワシ「ふふっ、そうでもねえよ」

リカオン「???」

何故かクスリと笑ったオウギワシにリカオンは軽く困惑した


サンドスターがキラキラと地面で輝く夜の草原をどこへ行くでもなく二人で歩き始めた

オウギワシ「ところでお前はこれからどうするんだ?」

リカオン「さぁ・・・まだ分からないです」

オウギワシ「新しい縄張りでも探すか?」

リカオン「・・・ハンター」

オウギワシ「え?」

リカオンがポツリと呟いた言葉にオウギワシが反応する

リカオン「折角お会いしたのも何かの縁ですしオウギワシさんのお手伝いさせてください」

オウギワシは顔をしかめてリカオンを猛禽類の鋭い目で見つめた

オウギワシ「何故・・・そう思った?」

リカオン「何故と言われると困るんですが、産まれて間もないですけどなんかハンターって聞くと何となく心を揺さぶられて・・・動物の頃の習性ですかね?」

オウギワシ「ハンターは危険な仕事だぞ?それでもやるのか?サバンナ辺りでナワバリ作ってのんびりしててもいいじゃないか!」

オウギワシはリカオンの肩を掴んで語気を強めた

リカオン「そうですね、それもいいかもしれないですけど・・・改めて考えるとやっぱり自分はハンターになるべきなのかもって、わからないけどあんまりのんびり一箇所に留まるってガラじゃないんです、第六感?じゃないけどそんな気がして・・・」

オウギワシ「そうか・・・ふっ」

肩を掴んでいた手を放してまた前を向いて歩き始めたオウギワシの顔はどこか憂いのある表情をしていた

オウギワシ「やっぱり・・・そうか」

リカオン「え?」

オウギワシ「いやなに、なんとなくそんな気がしてたんだ」

リカオン「そ、そうなんですか?」

オウギワシ「よっしゃ!それじゃあ明日からトレーニングだ!ねぐらまでダッシュだぜ!ついてこいよ!」

さっきまでとは違ったさっぱりした表情でオウギワシは駆け出す

リカオンがその後ろに食らいついていった

リカオン「お、オウギワシさん、鳥のフレンズなのに走るの早いですね!」

オウギワシ「ハッハッハ!まあな!それとなリカオン!」

リカオン「はい!」

オウギワシ「”さん”は要らないぜ!それと私にはそんなかしこまらなくていいからよ!はっはっは!」

リカオン「オーダー了解!」


二人のフレンズが明日へ向かって走り出した

リカオンはハンターになるという目標をこの時持ったのだ

まだ漠然とした物だが明日の為のはじめの一歩である

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