第23話 2人目は小学生!?

アリスおばさんが過労で倒れた。ついに姪のマリーアントワネット・萌子の出番がやって来た。



ここは学校の校庭。


「マリーアントワネット・萌子・ディスティニー・ナイト!」


アリスの姪のマリーアントワネット・萌子が運命の光に導かれ、剣と盾を持った運命の騎士ディスティニーナイトに変身する。


「やったー! 私も運命の騎士になれた!」


マリーアントワネット・萌子は喜ぶ。これで自分もカッコよく戦えると。


「マリモちゃん、決まってるです!」


運命の女神ディスティニーちゃんもマリモの騎士姿を褒めた。


「ありがとう。変な妖精のぬいぐるみちゃん。」


あくまでもマリーアントワネット・萌子には、運命の女神ディスティニーちゃんは変な妖精のぬいぐるみなのである。


「そんな子供が運命の騎士になったからって、不幸な運命を変えることができるのかしら?」


不幸の女神アンハッピネスちゃんはマリーアントワネット・萌子を子ども扱いする。


「なによ!? 私の方がアリスおばさんより強いもん!」


マリーアントワネット・萌子はアリスより強いと意地を張る。


「嫉妬のレヴィアタン、怠惰のベルフェゴール、子供を早くどけてちょうだいなのだ。」


不幸の女神アンハッピネス様は配下の悪魔に指示を出す。


「はい、アンハッピネス様。」


嫉妬のレヴィアタンは命令通り、マリーアントワネット・萌子に襲い掛かる。


「アリス様の姪ということは、アイン様にとっても姪。私には傷つけることはできないので、退場してもらいましょう。」


怠惰のベルフェゴールも、大好きなアリスの弟のアインの姪を気遣う。


「子供だからって、甘く見ないでよ!」


マリーアントワネット・萌子は剣に運命の光を集中する。


「くらえ! 森林伐採! 脱水症状! ディスティニー・ダブル・ブレイク!」


マリーアントワネット・萌子が運命を変える必殺技を放つ。その威力はアリスのディスティニー・ブレイクよりも強かった。


「ギャア!?」

「ギャア!?」


マリーアントワネット・萌子の放った運命の一撃は、嫉妬のレヴィアタンと怠惰のベルフェゴールの不幸な運命を切り裂いた。


「あれ!? 今まで嫉妬していたのに、嫉妬することで自分の出番がやってくる!? 嫉妬することはいいことだったんだ!?」


嫉妬のレヴィアタンは嫉妬を不幸だと思っていたが、それは自分の思い込みであったという認識に変わって、不幸から解放された。


「そうか!? 悪魔だから引け目を感じていたけど、堂々とアイン様と付き合えばいいんだ! 結婚しちゃうぞ!」


怠惰のベルフェゴールは、悪魔だから一歩下がっていたが、運命が変わり、これからはアインに猛アタックすることに決めた。


「やったー! すごいよー! マリモちゃん!」


運命の女神ディスティニーちゃんはマリモのがんばりを喜んだ。


「どうだ! 私はやればできる子よ!」


マリーアントワネット・萌子は調子にのってきた。


「まさか!? 子供が不幸な運命を吹き飛ばすとは!?」


不幸の女神アンハッピネスちゃんはビックリした。まだ小さな子供が悪魔たちの不幸な運命を変えるのを見て戸惑う。


「変な妖精のぬいぐるみのお姉ちゃんの変な妖精のぬいぐるみ! あなたの運命も私が変えてあげるわ!」


マリーアントワネット・萌子の次のターゲットは不幸の女神アンハッピネスちゃんだった。


「くらえ! 赤飯に塩! ディスティニー・ブレイク!」


マリーアントワネット・萌子の運命を変える必殺の一撃が、アンハッピネスちゃんを襲う。


「そうわさせん!」


憤怒のサタンが不幸の女神アンハッピネスをかばい、その体で運命を変える一撃、マリーアントワネット・萌子の放ったディスティニー・ブレイクに当たる。


「サタン!?」


アンハッピネスは自分をかばってディスティニー・ブレイクに当たったサタンに驚き心配する。


「やったー! これで悪魔は全て不幸から解き放てますね。」


運命の女神ディスティニーちゃんは悪魔を不幸から解放出来て喜んだ。


「やっぱりアリスおばさんより、私の方が主役よ!」


小学生のマリーアントワネット・萌子に怖いものはない。


「おい! おまえたち! 少し喜ぶのが早いんじゃないか?」


運命を変える一撃、ディスティニー・ブレイクをくらったはずの憤怒のサタンが普通に立っている。


「な、なに!?」


運命の女神ディスティニーちゃんは驚く。


「ディスティニー・ブレイクが効かない!?」


マリーアントワネット・萌子も驚いた。


「サタン!」


不幸の女神アンハッピネスはサタンが無事で喜ぶ。


「誰にも私の運命を変えることはさせません。」


憤怒のサタンが不幸の女神アンハッピネスを安心させるように、力強く答える。


「なんですか!? あいつは!?」


運命の女神ディスティニーちゃんは憤怒のサタンが強すぎてビックリする。


「私に変えられない運命はない! 変わらないのなら、変わるまでやるだけよ!」


マリーアントワネット・萌子の方が、子供の好奇心か探求心かは分からないが、アリスより、よっぽど運命の騎士らしく、正義感と使命感に燃えている。


「かかってくるがいい、小さな運命の騎士よ。」


憤怒のサタンは身構えることもなく、余裕なのか、ただ立っていた。


「なめるな!? 世界平和! ディスティニー・ブレイク!」


マリーアントワネット・萌子は、世界の平和のために、人類を不幸な運命から救うために、必殺の一撃を放つ。


「憤怒のアンハッピネス。」


憤怒のサタンは、小声で闇のオーラを放つ。簡単にマリーアントワネット・萌子の放ったディスティニー・ブレイクを打ち消してしまう。


「そ、そんな!?」


マリーアントワネット・萌子は、渾身のディスティニー・ブレイクが打ち消され驚く。


「違うです!? 今までの悪魔たちとスケールが別次元です!?」


運命の女神ディスティニーちゃんは、憤怒のサタンの強さに恐怖を感じる。傲慢のルシファーが憤怒のサタンだけには歯向かわなかったのが分かる強さであった。


「もうやめておけ。子供とアンハッピネス様の妹を傷つけたくはない。」


憤怒のサタンは、マリーアントワネット・萌子と運命の女神ディスティニーちゃんと戦いたくないと言う。


「ムカつく! 運命の騎士ディスティニーナイトは弱くないもん!」


マリーアントワネット・萌子は、あくまでも強気である。どんなに憤怒のサタンが強くても戦うつもりである。


「それでは、アンハッピネスお姉ちゃんを不幸な運命から救うことができないです!?」


運命の女神ディスティニーちゃんは、お姉ちゃん思いの優しい妹です。


「どうしても戦うと言うのか・・・。なら私の手で戦いを終わらせてやろう。」


憤怒のサタンは、戦うことを止めようとしない小さな運命の騎士ディスティニーナイトとアンハッピネス様の妹と戦うことを決める。


「やめて! サタン!」


不幸の女神アンハッピネス様が憤怒のサタンを止めます。


「アンハッピネスお姉ちゃん!?」


運命の女神ディスティニーちゃんは、姉のアンハッピネスが憤怒のサタンを止めてくれたのが嬉しかった。


「もう、いいの。もういいのだ。サタン。」


不幸の女神アンハッピネス様はサタンに戦うのをやめるように促す。


「アンハッピネス様・・・。」


憤怒のサタンは、不幸の女神アンハッピネス様の命令には絶対に歯向かわない。


「実は・・・もう、私の運命は変わっているのだ。」


不幸の女神アンハッピネスちゃんは、突然のカミングアウトをする。


「運命が変わっているって、どういうこと?」


マリーアントワネット・萌子は、まだまだ小学生なので、不幸の女神アンハッピネスが言っている言葉の意味が分からない。


「アンハッピネスお姉ちゃん、一体どういうこと!?」


妹の運命の女神ディスティニーちゃんにも全く分からなかった。不幸の女神アンハッピネスは憤怒のサタンと寄り添いながら、真実を語り始める。


「私の幸せは、全てハッピーお姉ちゃんに奪われてしまい、私には楽しいことや、嬉しいことはやってこないと思っていたのだ。しかし、ある時、悪い悪魔にさらわれて、私は不幸な人生にまっしぐらだと思った。私は自暴自棄になり、悪魔たちを従える不幸の女神アンハッピネスとして君臨することになったのだ。」


不幸の女神アンハッピネスちゃんは、自分のこれまでの人生を語る。どれだけ過酷な人生を送って来たのか誰にも想像できないほど、幸せの無い世界は過酷なものだった。


「しかし、そんな私にも転機が訪れた。サタンとの出会いだ。悪魔なんて悪いやつだと最初は思っていたが、サタンは真の騎士のように凛々しくて、強くて、優しかった。私はサタンと恋に落ちたのだ。」


悪魔と変な妖精のぬいぐるみの女神の恋であった。不幸の女神アンハッピネスちゃんはもじもじしながら嬉しそうに語っている。


「するとどうなのだ。今まで不幸に包まれていた自分の人生の苦労が、サタンに出会うためにあったのだと思うことができた。今までの苦労がなければ、サタンに出会うことができなかった。私は幸せに出会うことができなかったと思えたのだ。今の私は幸せなのだ。」


なんと不幸の女神アンハッピネス様は、周りには不幸不幸と言いながら、実は悪魔の憤怒のサタンと幸せに暮らしていたのだった。


「私もアンハッピネス様の側にいれて幸せです。」


憤怒のサタン。彼は決して怒っていなかった。どちらかというと幸せのサタンだった。


「詐欺だ!? 俺たち悪魔を騙していたんだな!?」


他の悪魔たちからブーイングが怒る。


「すまん。みんな。」


憤怒のサタンが他の悪魔たちに謝る。


「いいよ。俺たちも不幸な悪魔的運命を変えてもらったから。」

「そうそう。これからはみんなで幸せな運命を生きて行こう。」


他の悪魔たちは不幸の女神アンハッピネスと憤怒のサタンを許した。


「ありがとう、みんな。」


不幸の女神アンハッピネス様は他の悪魔たちに感謝する。すると不幸の女神アンハッピネス様の闇のオーラに包まれていた姿が銀色に輝きを放ち、アンハッピネスを包み込み光を放つ。


「私の名前は、幸せの女神ハッピネス。みんなを幸せに導く女神です。」


光が消えると、不幸の女神は幸せの女神へと生まれ変わった。これでもう不幸な女神ではなくなったのだ。


「良かったですね、アンハ・・・ハッピネス様。」


憤怒のサタンは生まれ変わったハッピネスちゃんを見つめる。


「ありがとう、サタン。いつも側にいてくれて。私が生まれ変わることができたのはあなたのおかげです。」


幸せの女神ハッピネスちゃんはサタンを見つめ返す。2人は抱きしめ合い、やっと訪れた幸せを分かち合っているのである。


「あれ? 何か忘れているような・・・。」


運命の女神ディスティニーちゃんは、姉のハッピネス化に感動しながらも、何か忘れているのではないかと思うが思い出せない。



ここは天界。


「あ・・・アリス・・・。」


傲慢のルシファーは天使たちに捕まった。天使ミカエルに剣で刺された傷は治療もされていない。ルシファーは天界の牢屋に閉じ込められているが、まさに虫の息であった。


「困るんだよね。」


牢屋の前に天使が4人いる。ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルである。


「悪魔が人間と仲良くされちゃあ。悪魔に苦しめられている人間を救済するのが天使なんだから。本当に困っちゃう。」


天使ミカエルは天使の意義を言っている。人間のアリスと目の前の囚われの悪魔、傲慢のルシファーが仲良く恋愛ごっこをされて、天使として、大天使として困るのだ。


「本当、ミカエルは自分が好きね。」


天使ガブリエルがミカエルに呆れている。ガブリエルはミカエルほど天使には執着していない。どちらかというとミステリアスな感じである。


「僕も戦えればいいよ! 悪魔たちをカッコよく倒すんだ!」


天使ウリエルはナルシストというより、ただ自分がカッコよくありたいという感じだった。自分の力に絶対の自信を持っている。


「みんな、天使なんだから、もっと平和にいきましょうよ!?」


天使ラファエルは戦いを好まない。平和主義者だが天使の平和を願う心は、時に最強の破壊力を誇る危険な存在である。


「悪魔たちは、囚われた仲間を助けに来るかな?」


天使ウリエルが全員に問いかける。


「来ないんじゃない。」


天使ガブリエルが答える。


「どうして?」


天使ウリエルが理由を聞く。


「だって、悪魔だもの。」


天使ガブリエルの答えは的を得ていた。


「ハハハハハッー!」


天使たちは悪魔をバカにして笑い転げた。


「確かにそうだ。悪魔が仲間思いのはずがないや。」


天使ウリエルも納得した。


「それにしても、幸福の女神のハッピー様もなんとかならないかな。ハッピーでございますばかり言って、うるさいんだけど。」


天使ウリエルは次の話題を言う。動くスピーカー内臓の変な妖精のぬいぐるみにしか思っていなかった。


「そういうな。俺たち天使はハッピー様の幸福の元に強靭な力を得ている。好きなことぐらいは言わせておこう。」


天使ミカエルは幸福の女神のハッピーちゃんを都合の良い変な妖精のぬいぐるみぐらいにしか考えていなかった。


「そうよ。私たちの女神なんだから、大切にしないとね。」


天使ガブリエルが1番怖かった。変な妖精のぬいぐるみをなんと考えているのか分からなかった。目に見えない心の中というのは怖いものである。


「そうよ! 私はハッピー様はマスコットキャラクターとしてカワイイと思うわ。」


天使ラファエルだけは、素直に幸福の女神のハッピーちゃんのことをカワイイ変な妖精のぬいぐるみと思っていた。


「なんにせよ、悪魔が来なくても、人間は来るな。」


天使ミカエルは言う。


「そうね。悪魔と恋仲みたいだしね。」


天使ガブリエルもアリスが来ることを予想している。


「ということは、僕の光と炎の出番だね。」


天使ウリエルは楽しそうである。


「みんなで仲良くすればいいのに。」


天使ラファエルはウリエルに呆れている。本当の純粋な天使であった。


「おもしろいことを思いついた。この悪魔にある仕掛けをしよう。」


天使ミカエルは不敵なことを思いついたのだった。


つづく。

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