数の旅人

巨大数大好きbot

Class 0 and 1

第1話 0と1の狭間

『お目覚めですか?』

一人の女性が僕に語り掛ける。今までに会ったことのない人だ。その前に、ここはどこだ。僕は周りを見渡す。僕は白い部屋の中にいるようだ。部屋の隅にはカメラがついている。おそらく僕は今監視されているのだ。


そこまで考えると、その女性がまた口を開いた。

『あなたは異世界転生しました。ここは整界ツァールです。』

僕は戸惑った。まさか僕が異世界に行くとは思っていなかったからだ。

「僕は・・・どうすれば・・・元の世界に戻れますか?」

『それが、わからないのです。』

「では・・・僕は・・・いったい・・・」

『ただ、一つだけ方法があると信じられています。それは、この世界の端にたどり着くことです。』

「それは、どこにあるんですか?」

『わかりません。ただ、ずっと、ずっと遠くだということだけは確かです。』

「そこ以外に、この世界から出る方法はないんですか?」

『今のところは、これしか知られていません。』

「そうですか。だったら、僕は端に行きます。端にたどり着くには、どこに行けばいいですか?」

『見ればわかります』

そういって、女性は僕を部屋の外に案内した。


部屋を出ると、長い廊下が続いていた。さっきの部屋を左手に見て、前後に廊下が伸びている。前にも後ろにも、廊下は際限なく続いていくように見える。廊下の左側には部屋が、右側には窓が、廊下と同様にどこまでも続いている。

『さっきの部屋の扉を見てください。ここに0と書いてあります。これは部屋の番号です。つまり、私たちがさっきまでいたのが0の部屋です。』

「はい」

女性はさっきの部屋の扉に貼り付けられた看板を指さす。確かに、そこには0と書いてある。

『次にあちらを見てください。1と書いてありますね。あれが1の部屋です。』

女性は隣の部屋の看板を指さす。看板には1と書いてある。

『このように、整界ツァールには各整数に対応する部屋があると考えられています。しかし、部屋が存在する整数には上限があり、そこが世界の端だと信じられています。』

「端の先には、何があるんですか?」

『それは、行ってみないとわかりません。もしかしたら、元の世界に戻るための重要なカギがあるかもしれません。』

「では、何があるか実際に行って見てみましょう!」

『非常に長い旅になると思いますが、大丈夫ですか?』

「元の世界に戻れると信じて、行きます!」

『ではしばらくは私が案内しますね。』

「お願いします!」


こうして僕たちは、長い長い旅の最初の1歩を踏み出した。その歩幅は、1部屋の幅の12分の1であった。

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