フォレスト・ガンプ



フォレスト・ガンプ/一期一会(1994)アメリカ


d.ロバート・ゼメキス

t.エリック・ロス

c.ドラマ/ヒューマン/人生

原作.ウィンストン・グルーム


トム・ハンクス(フォレスト・ガンプ)

ロビン・ライト(ジェニー)

サリー・フィールド(フォレストの母親)

ゲイリー・シニーズ(ダン小隊長)

マイケルティ・ウィリアムソン(ババ)


……知能指数が一般より低いフォレストは、背骨が湾曲していて脚装具無しでは歩けない少年だった。しかし誰よりも優しく、純真すぎる心を持つ彼は誰も想像しなかったような壮絶で獲得するものが多く大きい人生を送ることになる。青年になった彼がバス停のベンチで半生を語るところから、物語が始まる。



新年一発目にとても素敵な映画を観ることができて良かった。とても面白かった。


以下、ネタバレあり。



冒頭で映るベンチに座る彼の汚れた靴。身なりは綺麗なのに靴だけがくたびれている理由は物語終盤にわかるんだけど……彼の愛情深さの象徴でもあると感じた。


少年時代、スクールバスで隣に座ることを認めてくれたジェニーの声掛けを"世界で一番優しい声"と呼ぶフォレスト。その一声にどれだけ救われたことか、想いを馳せると胸が熱くなる。


そして、石を投げて追いかけてくるいじめっ子。ジェニーの「走れ!」という声に従ってフォレストは走るが、彼は上手く走ることができない……と思いきや、どんどん脚装具が外れ、風のように速く走って逃げきったではないか。今まで歩行をサポートしていたはずの脚装具が足枷だったかのようで、それもジェニーが「走れ!」と叫んだから足枷が取れたようで……。その言葉がその後のフォレストの人生全体を走らせ続けたのだから、愛しい人の言葉は強力だ。


走れるようになった彼が走力を買われてスポーツ界に進出し、飛躍を重ねていく姿には高揚した。


「風に乗る生き方と運命、その両方が同時に起こっている。」


戦場でのフォレストの姿は言葉では上手く表せない。自分の命も危うい戦場で、親友(ババ)を助けに引き返すフォレスト。その過程で負傷した仲間を安全なところまで運んで。自分に同じことができるだろうか。勇敢、愛、優しさ、純粋、直向き、そういうものを膨大な熱量で持ち合わせていながら、本人は全く自覚的ではない。「放っておけない」と言って救う。

エビ捕り漁船の船長になる夢を持っていたババとの約束を果たすところも素敵。両足を失って生きながらえるくらいなら戦死したかったとフォレストを憎んでいたダン小隊長の海のシーンもとても良かった。


あと、スクールバスの枠構成。

ジェニーとフォレストが出会ったバスに二人の子どもが乗るシーン。ドライバーも当時と同じままで。

いつか子どもに大切なことを教えるとき、ババやダン小隊長、母親やジェニーと過ごした時間や三年間走り続けたことを話すんだろうな、そう思う。


「過去を捨ててから前に進む。」


当事者は大切なものや人を失っているかもしれないけれど、それを観る我々には得るものがある。何かに心を注いで懸命に生きる人の姿はどうしたって素敵で、そういうものが映画や小説の本質の一部かもしれない。


知能指数が低く、脚装具無しでは歩けなかったフォレストの人生がこんなに出来事に富むことになるとは誰も想像していなかっただろう。だけど、本人と母親だけは彼の人生に一切絶望しなかった。


「人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみるまでわからない。」



あと、ロバート・ゼメキスはBTFと同じ監督なんだって。やっと重なった……!



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