第24話 なんで、皆さんがいらっしゃるのですか?

そして盆休み兼夏休みに突入って……

「なんで、皆さんがいらっしゃるのですか?」

羽田第一ターミナルの南ウイングにある出発ロビーには秘書課の2人と藤堂が居た。

「あら、奇遇ね。これから3人で沖縄にバカンスしに行くの」

「あっ、そうなんですか」

双葉さんが平然とのたまった。突っ込まずに放置する。


灼熱の太陽!

抜けるような空!

白い入道雲!

七色に輝く海!

緑茂る南の島!

ここは沖縄本島より更に南の宮南島

そして、隣には麗しき恋人が……

「凛子さん、行きますか」

「で、でも……」

「なんで、皆さんがいらっしゃるのですか?」

羽田のターミナルと同じ言葉・同じ口調で聞いてみた。

そこには羽田に居た3人が立っていた。

「実はね、本島の方は野神君達と同じホテルが取れたのだけど、どうしても宮南島の宿泊先を押えられなかったのよ」

羽田のターミナルと同じ口調で双葉さんが返してきた。

「…………」

「それでね……」

「好きな所でビバークしてくださいね。この島は毒蛇のハブも居ませんし。お勧めは人の居ないビーチです。蚊もあまり寄って来ませんし、海でトイレも済ませる事が出来るんで。あっ、そうそう防虫スプレーを持っているんで進呈します」

双葉さんに真顔でスプレーを差し出した。

突っ込み所が満載で突っ込む気にもなれなく放置を……

「って、何で藤堂が助手席に乗っているんだ?」

「知らん」

「はぁ~、てっきり『小町』と旅行だと思っていたのに」

「何でお前がそんな事を言う?」

「見た。見つけた。見かけた。どれでしょう」

「…………」

藤堂はそれ以上何も言わず外を見ていた。

ルームミラーを見るとワイワイと楽しそうに秘書課の3人はお喋りに花を咲かせ、窓の外を流れる景色に声を上げていた。


市街地を抜けキビ畑の道を進むと20分もかからずに来美島に渡る長い橋に差し掛かった。

橋の中ほどで車を止めると後部座席の3人が飛び出した。

「うわぁ、綺麗!」

「こんな海が日本にもあったのね」

「色んな青が輝いている」

コバルトブルー、エメラルドグリーン、マリンブルーや空を映したような水色そして砂浜の白、島の緑が鮮やかに光り輝いている。

「ふぅ~ ただいま」

車を降りて欄干に凭れて呟いた。

「凄く、綺麗だね」

俺の腕を取り一ノ瀬さんの瞳が島の太陽を反射してキラキラと輝いていた。

「そうだね」

何も言わず寄り添ってくれる。これ以上を望めば罰が当たりそうな気がした。

「行こうか」

「うん」

「行きますよ!」

声をかけると双葉さんと御手洗さんが顔を見合わせて、直ぐに笑顔で車に乗りこんだ。

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