言葉の力

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第1語 運命の出会い

「ふははははははっ!!はっはっはっはっは‼」


深夜、東京スカイツリーの頂上で、

一人の黒ずくめの男が高らかに笑っていた


「実に美しい!!!!!いい景色だ、やはりトウキョーは素晴らしい!!」


そう言いながら男は、頂上から飛び降りた


「死‥‥‥死か。」


そうして頂上から落下した黒づくめの男は、グチャッという音をたて‥‥‥潰れてしまったかと思われたが‥‥‥男は生きていた。悠然と、そして平然と


「やはり俺は不死身だ‥‥‥ふふっ、ははははははは!!」


「いいぞ‼俺はこの力で世界を支配してやるぞ!!」


「はーっはっはっは!!はーっはっはっはーーーーーー!!!


夜の東京に‥‥‥一人の男の笑い声が高らかに響いた‥‥‥


ーーーー


「はっ、はっ、はっ、はっ」


「やば~い、遅刻遅刻ぅ!!」


ありきたりな事を呟きながら、ありきたりに遅刻しそうになっている彼女の名は『白木コトハ』

彼女は、能力者育成学園・『都立言の神学園』に通う女子高校生、すなわちJKである


「はっ、あんなところに不自然な曲がり角が!」


コトハの視線の先には、転校生が飛び出してきてぶつかってしまいそうな曲がり角があった


「ここは!!『能』!!!『猪突猛進』!」


彼女の能力、『猪突猛進』は目的地を思い浮かべると、全ての障害物を無視してその場所まで行けるというものであった‥‥‥だが


「うおぉっ!」


「きゃあああぁぁぁ!?」


コトハは、思いきり男とぶつかってしまった‥‥‥


「いってぇ」


「いたたたた~、あれ?君なんでぶつかったの!?私の『能』でぶつかんないはずなのに」


コトハは尻餅をついている男をみながらそう言った。すると男は立ち上がりながら


「あ・た・り・ま・え・だ。俺は全ての『能』の力を超越しているんだからな」


と、少し中二病めいた台詞を発した


「超越‥‥‥ってどういうこと?それが私の『能』が効かなかった理由なの?」


だが、彼女はそこまで頭が良いわけではなかったので1ミリの疑問も持たず男に質問した


「俺の『能』は『天下無双』。全ての人間、全ての『能』を越えた能力だ」


男は恥ずかし気もなくそう言った。

だがその言葉にはえもいわれぬ説得力があった


「あ、あなたって凄いのね!じゃあやっぱり『先天性』なの?」


コトハの言う『先天性』とは、生まれつき能力を所持している人間のことである


「ああそうだ、俺の能力は『先天性』だ。だが俺の『天下無双』は、

弱いとか強いとかそういう次元を越えている」


「やっぱり凄いわあなた!それにその制服うちの学校のでしょ?やっぱり転校生か~、名前なんての?」


コトハは男を質問攻めにしたが、男は高圧的な態度でニヤッとしながらコトハの問いに答えた


「そうだ、俺も『言の神学園』の生徒だ。俺の名前は‥‥‥そうだな‥‥ケイスケとでも呼べ。そういえば、お前は遅刻しそうなんじゃなかったのか?」


コトハはケイスケの一言を聞いて、

はっ!!という顔で腕時計を見て叫んだ


「ああ!!またセンセーに怒られるぅぅぅー!!!」


嘆いているコトハを見て、ケイスケは笑いながらこう言った


「ふんっ、ギャーギャーギャーギャーと愉快な奴だ、しょうがない。

運んでやる、乗れ」


「へ?」


コトハはケイスケのあまりにも常識はずれな一言に驚き、思わず間抜けな声をだしてしまった


「おぶってやるから乗れと言ってるんだ。時間がないんだから早くしろ」


そう言いながらケイスケはすぐにしゃがんでコトハをおぶる準備をした


「うぅ、でもぉ」


「何を悩む必要がある。遅れたくないんだろう?」


「しょうがないかぁ‥‥分かったわ、じゃあ、乗せて」


そう言ってコトハはケイスケにおぶさった


「では行くぞ、しっかり捕まっていろよ。落としてもしらんからな」


「う、うん。ちょっと恥ずかしいけど‥‥」


コトハが喋っている途中でケイスケはグッと足に力を込めた


「では」


「いくぞっ!!!!!」


ケイスケがそう叫びながら、ものすごいスピードで駆け出した


「いやぁぁぁぁ!!!あんたどうなってんのよぉぉぉ!!??」


コトハが悲鳴にも似た叫び声をあげると、ケイスケが短くこう続けた


「ふんっ!!!さっきも言っただろう、俺は全てを超越している!!これしきのことは屁でもないわッッ!!」


コトハにケイスケの声が聞こえたかどうかは定かではないが、またコトハは叫び声をあげた


「たぁぁぁすぅぅけぇぇぇてぇえぇ!!!!」


「耳元で騒ぐんじゃない!阿呆か!!」


「だッッってぇぇぇ」


二人でギャーギャー叫びながら走っていると、いつの間にか学校についていた


「ふぅ、ついたぞ。学校というには随分デカイな」


「はぁ、はぁ、はぁ。死ぬかと思ったぁぁぁぁぁ!」


「だからイチイチ騒ぐな。これからはもっと驚くことに成るんだからな」


コトハが叫んだ後、なにやらケイスケが意味深な台詞を吐いたが、それはコトハの耳には入らなかった‥‥‥


「騒ぐなって‥‥‥こっちはあんなに乱暴に運ばれるとは思わなかったよ~」


「まぁ間に合ったんだ。あまり文句を言うな」


「はぁ‥‥。でもありがとね、おかげで間に合ったし」


コトハがそう言うと、ケイスケが「どうやらそうでもないようだ」

と呟いたのでコトハが校門の方に目を向けると


「白木コトハァ!!貴様は何回遅刻すれば気がすむんだ!!早く校舎に入れ!!」


「ふぇ?」


そこには激怒する生活指導の先生がいたので、コトハは思わず間抜けな声をだしてしまった


「そこの貴様もだ!!恐らく転校生だろうが早く校舎に入れ!!!」


「む、この俺に無礼な口を」


「いいから!早く行こ!」


このままケイスケを放っておくと面倒臭いことになると思ったのか、コトハがケイスケを校舎まで引きずっていった


「むぅ、だがあいつは」


「いいの!センセーってのはそういうもんなのよ!」



コトハはあまりにも常識知らずなケイスケに対して少しイライラしていた


『もうなんなのよこの子!さっきは凄いと思ったけど常識知らなすぎない!?』


「おい、もう校舎だぞ」


「あ、ホントだ。じゃあ職員室まで案内してあげる、あなたも一年生でしょ?」


「ああ、俺も一年だ」


「じゃあクラスも一緒かもしれないね~。」


「どうでもいいがな」


「えぇ~」


二人はそんな下らない会話をしながら、職員室まで歩いていった‥‥


これが‥‥‥最狂の男『王城京介』と、平凡な女子高生『白木コトハ』

のファーストコンタクトであった‥‥‥果たしてこの出会いは偶然か、必然か‥‥‥


to be continued‥‥‥

ーーーー


『能』:一人に一つだけ与えられる『四字熟語』の力を使うことができる。2018年に初めてこの能力を使える人間が現れたが、現在ではほとんどの人間に発現している。

与えられる『四字熟語』は、発現者の性格に起因する。


白木コトハ:『能』は『猪突猛進』。性格はおてんばでおっちょこちょいだが、何事にもまっすぐな気持ちで取り組むことができるという一面も持っている。

容姿としては、スタイルが良く、顔も整っているので所謂美少女という感じである。

能は後天性であり、そこまで優れているわけではない


能力者育成学園:2018年から急遽全国に建設された『先天性』『後天性』に関係なく、能力が発現した

子供達を育成する学校。

教師もすべて能力者。























































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