第699話 一段落した鍛錬と居残り組

――――――――――――――竜骨乱れる台座



 最後に放たれたハシャの一撃によってシジマの体力バーは消滅し強化された肉体は維持する機能が無くなったのか元の姿に戻り。

シジマは地面を強く殴りつけながら負けたことに悔しみ咆えているとその近くにハシャが現れ言葉を投げかけた。



「この戦いはワレの勝利だがもっと他の者と協力することでシジマ側の勝利も十分にあっただろう。

次戦う時は手間のかかる戦法ではなくどれだけ長く戦えるかを考えて戦略を立てるがいい。

他の者の力を奪いあげてこの結果なのだから他の方法を模索するのもまたこの世界の生き方だろう。」

「俺に次があるかわからねぇよ。

だが、この俺は雇われただけの小手調べ用の雑兵にすぎねぇし・・・もし次があるとすれば俺ではなく違うプレイヤーが俺を雇ったバックを通じて他のプレイヤーがあんたを狙うはずだ。

だからアンタはアンタで身を護る方が賢明だぜ。

なんせ俺を雇ったバックはかなり大きなギルドだからな。」

「ギルド??シジマを雇ってハシャの討伐に向かわせたのはギルドが関連しているのか??そのギルドの名前は公開できる内容なのか?」

ムクロはシジマにギルドの名前を問うとハシャはその必要はないと言い切り消えゆくシジマに対し他の事を聞くことなくその場を立ち去りだし。

ムクロもハシャがしたい様にすればいいと言って後を付いて行くとシジマはその場で光の柱となって消滅し消えていた。




「本当に良かったのか?ギルドの事も何も聞かなくてさ。

このままバックの大きさも知らないまま動いてたらいつかはそのギルド全体が動いてハシャを倒しにかかるかもしれないぞ??

おおよそそのギルドは大きな力と資金を蓄えていると考えていいから・・・名のあるギルドに違いないぞ。

プレイヤーの力もそれだけ質の高いものが揃っているだろうし・・・・」

「ワレの心配なら不要だ。

戦いに身を置くワレに大も小も戦いの差もランクもない。

ただ人数を相手にするも強きプレイヤーを相手にするも向かう敵は全て叩き斬り伏せるのみ。

それがどれだけ大きなギルドを相手にしようとだ。

それに相手が大きいギルドだと言うのであればそれだけ楽しみが大きくなるというもの。

強きプレイヤーがワレの首を狙おうと来るのであればそれで良し。

弱きプレイヤーが来るのであればその実力の差を魅せしめるのみ。」

ハシャの言葉はただ戦いに身を置くだけの戦闘狂と変わらない危険な言葉ではあったがムクロにはその言葉の中に自らの高みを目指そうとする鍛錬にも似たような意味合いにも取れ。

自身の決めた険しく長い道にどうこう言えずムクロはただ負けないように戦い抜くようにとだけ伝え戻ろうとしたとき、ハシャは大剣でムクロに攻撃を仕掛けて来ていた。




「やはりこの程度の不意打ちではダメージも与えられぬか。

これだけのものを前に手が出せぬのも悲しき事だな。

ただこの戦いが終わりを見せた頃にワレはもう一度ムクロに戦いを申し込むつもりだ。

――――――――その時は覚悟して相手をしてもらおうぞ。」

「相手か、そうだな。

ハシャが強くなったらその時は本気でやり合おう。

それまではこんな不意打ちは無しで頼むぞ?レイたちに見られたらそっちを止める方が大変だからな。」

ムクロは剣を弾き返してそう呟くとハシャは小さく笑いムクロに背を向けてNPC特有の移動方法で消え。

ハシャの気配が消えた事を感じたムクロもそろそろホームに戻りユリハ達の帰りを待つことにした。



―――――――――――プライベートホーム



「お帰りなさいませご主人様、エリによる全力鍛錬大会は順調に進み。

ひと段階し終わったところで以外はここへ戻っております。」

「どうやらそのようだが・・・こっぴどく鍛錬して来たって所だな。」

ホームに戻りレイに案内されたムクロが見た光景はユリハ達がボロボロになり疲れ果てた姿で・・・居残りと言うワードに戻って来ていないモノ達の事を考えると。

クーリアたちが居残り組だと安易に察しムクロはユリハの隣に座り大丈夫かと心配の声をかけるのであった。

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