第646話 キャンプ場での役割分担

―――――――――――――――バス停前



 彩花の車が到着し中から本人が現れて朝の挨拶をしながら荷物を積み込み。

積み込みが完了したところで悠一が車の中へ入ろうとした瞬間・・・耀子は悠一の服のはしを掴み勝手に座らないでもらいたいと注意を受け悠一はどう言うわけかわからず外に出ると耀子は妙なテンションで座席を決めるためのじゃんけんをすることとなっていた。



「座席何てどこに座っても同じじゃないの??

それよりアイリスは自家用車で直接送ってもらうって聞いてたけど早く行かなくていいの??」

「だからすぐすむってば!!!

ほらみんな手を出して・・・勝った順番で席を取って座って座って!!!」

「なんだか耀子の思惑通りに動いているようだが悠一の隣は何としてでも死守せねば。」

「耀子もきっとそれを狙ってこんなことを・・・・だったら私も負けない!!!」

「ふわぁぁ・・・早くしてくれないか??」

眠たそうにする悠一の言葉に耀子は一斉にじゃんけんを開始し勝った順番から座ったのだが・・・・




「ぐあぁぁあぁこんな重要なイベントにどうして私はいつもいつもクジ運が悪いのさ!?コトハも納得いかないでしょ!!!抗議しよ抗議!!」

「私は別に気にしていないわよ。

それに悠一がフワフワしているのだから静かにしたらどうなの?それに運転の邪魔にも繋がるわよ?」

「運転は順調だからいいけれど・・・周りには家も何にもないし木が高くなってきたわね。

案内ではもうすぐで到着のようだけれど・・・・あったこの道ね。」

「悠一あと少しで到着と言っているからそろそろ目覚めてはどうだ??」

「ん?あぁ・・・少しだけ寝られて頭がスッキリしたかな。」

「もう今度からは夜更かしをし過ぎないよう注意しないとだよ??」

車の中で悠一の隣を取れなかった耀子が吼える中、車で途中休憩を挟みながら無事にキャンプ地に到着すると駐車場には高級車が止まっており。

その中からはやはりと言うべきかアイリスが下りてきていた。



「おはよう、少しだけ待ったけれど無事にみんなが到着して何よりです。

こうやって誰かと一緒にキャンプだなんて私・・・初めてで・・・」

「よっすアイリスおはよう!!!そんなに身構えなくてもさ?グロリアと同じようなテンションで来てくれちゃっていいんだよ??

それに私たちにはキャンプのプロフェッショナルである涼孤さんがいるしへっちゃらだよ。」

「私は別にプロでも何でもないのだが。

人並み以上には経験をしているからテントを張ったり炭に火を入れるのは任せてくれ。」

「それじゃから出ていくために荷物を持って移動するわよ。

ホラホラ自分の荷物を取り出して背負った背負った。」

車から取り出された荷物を背負っていると悠一の方に男が歩いて向かって来ており。

悠一が顔を上げるとその男性は悠一の手を握りながら昂った感情を抑えきられず涙を流して言葉を発した。



「おぉ・・・悠一様、アイリス様をこうやってキャンプにお誘いくださいまして本当にありがとうございます。

それと同時に悠一様は男の子ですのでハメを外した行動をしないように旦那様から言いつかっておられます。

さらに我々はこの駐車場で見守り薬として待機しておきますが我々の目を欺き忍び寄る悪漢がアイリス様や他の可憐なレディーたちを襲おうとした際にはコレをお使いください。」

「笛??この笛は何かを呼ぶための笛??って、アイリス??まだ話の途中なんだが・・・・」

「いいの!!もう執事はお父様に従順で私の言う事はあまり利かない石頭なの。

だからその笛も必要ないと思ったら返してくれていいから。

と言うわけで私は楽しんでくるので貴方達はここで話で言ってた悪漢が出ないか見張ってなさい!!!」

「えぇっと・・・アイリスの口調って執事との会話で形成されたようだね・・・・

なんだか生で聞くと新鮮だよね・・・・」

「それは本人もあまり触れられたくない事実だと思うからヘタにいじらない方がいいわよ。

っしょ・・・それじゃ涼孤さん道案内を任せてもいいかしら??」

「わかった、それでは私たちはこれで。

何かあった場合は遠慮なく頼らせてもらうとして楽しんできます。

それじゃキャンプの器具を受け取りにキャンプ小屋に向かおうか。」

予約していたものを受け取りに歩みを進めた涼孤について行くと最後の最後まで厳重に注意をするアイリスは最後尾になっており。

言い残したことが無いかと頭を目がらせたが距離が離れていく様を見るといてもたってもいられず後を追いかけ合流し。

それから少ししたところに小屋があり涼孤たちはその中へ入り器具とテントの張れる案内の紙を受け取り案内に従って歩くと川が見え・・・・今回のキャンプは川の近くにテントを張ることが採用されすぐにテント張りへと流れた。




「いいか?まずはここにフックを地面に深く突き刺し固定するだろ。

それからテントを引き上げバランスを取り固定したフックと合わせて中に床板を敷けば完成だ。」

「本当に涼孤さんは何でもできるんですね!!!

私も見よう見まねでテント張りに挑戦してみます!!」

「由里にできるのかにゃ??こういう時にドジっ子属性を解放すると悠一とにゃんにゃんできるという策をだにゃ・・・・」

「いいからグダグダと下らない事を言っていないで働きなさい。」

「コトハその・・・カレーの仕込みように使ってる包丁を向けるのはどうかと思うわよ・・・危ないから斬ることに集中しましょ。」

彩花とコトハたちは持ち寄った材料でカレーを作る予定で先に野菜の下ごしらえをしていたが由里達のテントを張る動きに視線が向いてしまい耀子は一向に野菜の下ごしらえができずにいた。

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