第635話 絶体絶命な状況と行動

―――――――――――――――古代の遺跡後地



 治療を開始したミストは完全に癒え切っていない傷口に軟膏を塗りバンテージできつく縛り回復まで少し時間がかかると言って座り込み。

ファムも水分を補給しながら全然問題じゃないと返事をするとユキシロとヴァニスの偵察部隊が戻りガーゴイルたちの様子を伝えた。



「ただいま戻ったのじゃ。

ヴァニスと今度は上手く偵察ができた情報を伝えるのじゃ。

まず中ボスのガーゴイルとリザードマン各種は今だアタイたちに警戒をしておる様子もなく平然としてその場に漂っておる感じじゃった。」

「うん、それにガーゴイルもストームナイトがいなくなったことに関して気にしていないようでもあったわよ。

だからファムにストームナイトを引き連れさせて倒す作戦はいい結果だったという事ね。」

「えへへそれは良かったよ。

だけどその代償はミストの負傷を招いちゃったから完全に私たちが有利というわけじゃないから考え物だね。」

「私の事なら大丈夫だぞ。

これでもムクロの姉だからな・・・コレくらいの生傷でへばっていたと知られればムクロはきっと私に気を遣うだろうからカウントしなくて大丈夫だ。」

「ミストがこう言ってる事だから流れ的には私たちに流れが来ているしミストが回復しきればガーゴイルを叩いて最後のボスに引導を渡さないとね!!」

ユリハの言葉にミストはフフっと微笑みながら立ち上がると傷は大丈夫と宣言しファムもコンディションが普段通りになったと告げるとストーンガーゴイルの待つ場所へと駆け出した。



「ご主人様、ユリハ達が動き出しましたがミストが負傷してはいましたが完治したと思われ他の者はそれ程ダメージはないといった様子ですが・・・・

相手はスペルを駆使するリザードマンメイジに機動力共に高いリザードマンです。

この先の戦いはある意味正念場と言えましょう・・・」

「だけどきっとユリハ達は互いの力を信じて戦い抜くだろうさ。

俺と今までの戦いを一緒にしてきたユリハ達だ・・・こんな程度のモブの数もボスの質も考えればすべてを出し切っても倒すだろうな。」

ムクロはユリハ達に信頼した眼差しで応援すると・・・ユリハはさっそくリザードマンの不意を突いて攻撃し。

それに応じてリザードマンメイジがスペルの援護攻撃とバフを仕掛けて来ていた。



「スペルは私が防ぎつつ攻撃するから他のモブを頼むわよ!!!

ぐぎぃ・・・・くッ・・・さすがに数が多いとカスリダメージもあるのよね・・・・ケドこのくらいじゃ私は止まらないわよ!!!

この私を止めたかったら即死魔法クラスを持ってきなさいよね!!!」

「ぬぅ!?ヴァニスの言葉を聞いたのかガーゴイルの奴めが何やらスキルをチャージし始めたのじゃ!!!

何やら異様な光景じゃぞ・・・しっかりと注意されたしなのじゃ!!」

「そうだねあれだけ大きなスキを見せたスキルはきっと大きな威力だと思うから注意は必須だね。

それに下の地上部隊であるリザードマンの数がすごいから何とかしないと大変だよ。」

「ハァァァァァッ!!!ガーゴイルの位置は私たちでは到底攻撃が届かない位置だからファムに攻撃を仕掛けてもらいたいのだがファムはどうだ??やれそうか??」

「この場をみんなに任せる形になっちゃうけどそれでも大丈夫ならすぐにでもスキルを発動される前に攻撃するよ??

ハァァァァッ!!!!テイヤッ!!!!!」

ファムの言葉にミストたちは一斉に返事をするとファムは翼を展開し一気にガーゴイルに向かって突撃を行った。



「いっけぇぇぇぇぇえぇぇ!!!!

―――――――――――――ブレイクランスⅡ!!!!!」

「グギャァァ・・・・・ギャアァァス!!!!」

「ぬぉ!?あのガーゴイルはスキルを解除してファムの攻撃を待っておったのか!?

あの構えはもしかしてランスを掴もうとしておるのかのぉ??」

「まさかのカウンターか??ファムのスキルはすでに発動されてキャンセルも間に合わないだろうし・・・・ここは一か八か貫いてもらうしか・・・・」

ガーゴイルは掴むカウンターモーションに切り替えスキルと接触するとダメージを受けつつもファムのスキルを何とか耐え抜き。

そのまま掴んだランスとファムを地面に投げつけ・・・先ほどまでチャージしていたスキルを発動し叩き込んでいた。




「グギャァァァアァァァァァッ!!!!!!」

「まずいよ!!!!クイックスキルだよ!!!

あのままじゃファムはスキル攻撃に呑まれちゃうんじゃ・・・・・

このまま見捨てられないし私が駆け出して救助に・・・・」

「ユリハ、この距離だともう私たちも逃げなければ攻撃の余波に巻き込まれダメージを受けてしまう範囲だ。

だからココはファムの生命力に賭けて私たちは退避しよう。

これはきっとファムもそう願っている事だと思う。」

「全滅を取るような事はファムは願っていないはずなのじゃ。

じゃからアタイたちは退避し生き延びるのが賢明な判断なのじゃ。」

「私もそれがいいと思うわよ。

だけど・・・・フフどうしてかしらね??こうなってしまったのなら全滅してもいいと思ってる私がいるのはどういう事なのかな??

今までだとこんなとんでもない状況になると足がすくんで動けなかったけど今なら私の足が助けに行けと言っているような気がするの。

ムクロもきっと同じことを・・・・ううんだってそう思っている様ね。」

ヴァニスは退避するようにと言いながらもその場から誰一人して逃げていない状況を笑いながら呟くとユリハ達もヴァニスと同じような気持ちと答え全滅を覚悟でファムを助けに飛び出した。

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