第568話 新たなる武器

―――――――――――――プライベートホーム



 ムクロは背後の扉が開く音に気が付き、軟膏を塗りながら振り返るとエリエントはムクロの口を手で塞いでベッドに押し倒し静かにするよう呟くと・・・このやり取りを慣れていたムクロはコクリと頷きエリエントは塞いでいた手をそっと放した。



「急に入ってその・・・悪かったわね。

でも私はちゃんとノックもして確認したから文句を言われる筋合いはないわよ。

それにまだ軟膏を塗っていたの??」

「あぁ・・・文句はないんだけどさからどいてくれないか??

身動きができなくてその・・・早く軟膏を塗り終わりたいんだが・・・」

ムクロはまだ完全に塗り終わっていない事をエリエントに伝え、上からどかせると軟膏を塗りながら話の内容を問うとエリエントはハッと意識を元に戻しアイテムの補充をするために街へ買い出しに行かないかと答え。

ムクロは軟膏を塗り終えたのか服を着替えて現れエリエントに行くことを伝え共に部屋から出ると・・・・



「あれれぇ??どうしてムクロッちの部屋からエリが一緒に出て来てるのかにゃぁ??

コレは会議モノじゃないのかにゃぁ???」

「な、ムクロ・・・もしかしてエリに軟膏を塗らせていたとかそう言うのではないだろうな!?

いや、待て・・・エリの事だからムクロを呼ぶついでに何か話をしていたとかそう言うのではないか!?そうだろ!?」

「そうよ、少し話をしていただけよ。

クーリアの頭の中で考えているようなことは一切していないから安心しなさい。

さぁムクロも準備ができたようだからそろそろ向かわない??

時間も遅いからこの買い出しで私は落ちるつもりだから早い事に越したことはないわ。」

「それでは私たちはここでお別れでございます。

ユキシロとファムは睡眠によってキズを治癒することもできるのでそうさせています。

それと私もそろそろ身勝手ながら休息を取ろうかと思っておりますがよろしいでしょうか??」

レイの問いはムクロに投げかけられており、その言葉にムクロはレイに今日の件について礼を言ってからゆっくり休むようにと伝えユリハ達と共にまた明日と言って別れた。



「んん~~~あれだけの戦闘は久しぶりだったね。

あんまりいい気持の戦いじゃなかったけれど・・・この戦いもきっと私たちの力になるよね?」

「あぁもちろんだ。

経験を積み重ねることによって俺たちの潜在能力が刺激され、より強靭に強化されるのがこのアバターの仕組みだからな。」

「理解はしてるけど全然実感がわかんないんだよねぇ~~~

強くなるとかどうとかってさ・・・やっぱりムクロッちを見てると自分自身まだまだなんだなって思っちゃうしさ?皆もそうじゃないの??私はいっつもそんな感じだよ・・・・いつまでたっても届きそうにないって感じちゃうんだよねぇ~~~はぁぁ・・・・」

「ハッハッハ!!!クーリアにしては弱気な事も言うんだな。

だけどそうだな・・・ムクロを基本に見ていると私もまだまだ遠く足元にも及ばないと感じるしもちろんこのままいけば足手まといになるのではないかとも思う。

だから私たちはもっと過酷な状況に耐えられるよう鍛錬が必要なんだとも感じたんだ。

つまり今回の悲惨な経験はある意味で私たちのメンタル面や戦闘面で大きく影響したとも言えるからまた近く私はどれだけ変わったのか見極めにソロでクエストに向かうつもりだがアヤカやヴァニスはどう感じているのだ??」

「わ、私??そ・・・そうねぇ・・・あんまり自信はないけど少しだけちょこっとだけよ??ムクロに近づいたのかなって思っていたりもする。

でもよく考えてみると全てにおいて違いしかないのよね。

でも・・・何かが変わったともいえるの。

これも高貴な私の力って言うのかしら??」

「ん~私はそこまで変わったこともなければムクロとの差異はあるのだけれどまた違うと言ったところかしら。

だけどみんなは自分の目標をムクロにしていることがすごいと思うわ。

技量も知識も到底違うムクロを目標に今後どれだけ力をつけて行くのか楽しみね。

あと悪いけど先にガヘリスの所へ向かうわね。」

アヤカは茶化される前に話をガヘリスの件に変えて歩みだし・・・ガヘリスの工房に到着すると奥の部屋から金属を叩くような音が聞こえており。

アヤカたちはガヘリスの工房へ入って行くと・・・・・



「やぁやっと来たんだね。

アヤカに頼まれていた通り時間をかけて作り上げたところだよ。

さぁ見てくれ・・・オリジナルバレットシリーズの「バールデッド:R66」だ。」

「いいじゃない、この黒くて艶のあるボディに長い砲身と切り替えのできるアタッチメント。

どれも私の設計と注文通りよガヘリスその・・・ありがと。」

「アヤカが照れてお礼言ってるの初めて見たよ・・・・

って、違う違う・・・ガヘリスぅ~私の杖の調子が悪いんだよぉ~ちょっとメンテしてよぉ。」

「私も武器の切れ味が気になっていたからよかったら見てくれると助かります。」

「ユリハ達も武器の相談をするのなら私も相談をしておこうかな。

―――――――――――その、実は・・・・・・・・」

ミストたちも武器に少し違和感を感じると言ってガヘリスに武器を見てもらっている間にアヤカは新たなる武器を持って試し撃ちをするために工房を抜け出していたがムクロはそのアヤカを見ていたため後を付けるとアヤカはムクロが来ることを知っていたかのようにして待っていた。



「それじゃあのターゲットを狙い撃つからムクロは証言用に見てて。

まずは通常弾を装填・・・・ブレの調整をしないとだから少し待って。」

アヤカはスコープ等の調整を済ませ数発撃ち込み最終確認を済ませると、とうとう本番の射撃練習に移ると言って銃を構えターゲットとして置いていた木の板を狙い撃つと木の板のど真ん中を的確に撃ち抜いただけではなく立てかけていた岩をも貫通し粉砕する程の威力にアヤカ自身が驚いていた。



「ムクロ、ねぇ見た!!!この銃はすごいわよ!!!

ドロップするレジェンダリーなんて目じゃない程に会心の出来よ!!!

あ、えっと・・・コホン・・・だから私の言った事が嘘じゃないって事をちゃんと言ってよ??」

「アヤカの事をウソつき呼ばわりするヤツはいないと思うんだが・・・その場合になればサポートするが本当にすごい威力だったな。」

ムクロはサポートすると答え再びターゲットとなった木の板の破片と崩れた岩の破片を見ながらPVPには使われたくない武器だと思う反面、心の奥底では今のアヤカと新たな武器と戦ってみたいと言う好奇心が浮上しかけていた。

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