第539話 起こった事実と妄想
―――――――――――――――荒野フィールド
荒野フィールドでアンノウンと争った際に受けた傷を完全に癒やしたライザーは副団長に付き添われながら辺りを探索し、テントでキャレットに報告を入れるムクロの元へと戻ると。
今いるこの辺りには他にアンノウンらしき黒いNPC風なものはいないと伝え。
ライザーと副団長も自分たちのギルドに連絡を入れ始めていた。
「おう、コレで俺たちを付け回す厄介な野郎はもう敵対ギルドと殺人ギルドくらいだ。
お前達にはつらい目に合わせちまって悪かったな。」
「ムクロさん、ライザー団長はですね・・・この件が終わるまでは団長と行動する時以外はフリーフィールドやクエストに出かけてはいけないって決め事を作ったんです。
もしも自分の目の届いてない場所でやられたら情けないとか何とか言って。
だけどそれもムクロさんの協力があったから実現できた事・・・本当にありがとうございました。
礼儀の悪い団長に変わって副団長の私からお礼を言わせていただきます。」
「ライザーらしい行動だな。
でも・・・その気持ちはわからないでもない。
だから今後、自分たちだけで解決できそうにないトラブルがあったら声をかけてくれ。
―――――――――できる限りの協力をするからさ。」
ムクロはそう言って副団長と握手を交わし・・・ライザー達を置いて街へ帰還するポータルを使い始まりの都に戻るとすでに陽が傾いており。
このままプライベートホームに戻っても大丈夫かと不安な気持ちの中そっとホームの扉を開くと・・・・・
「ムクロ君♪こんなに遅くに戻って来て・・・何かあったのかなぁ??」
「あはは・・・いや、別に・・・何にもないけど・・・
それよりもみんなはいるのか??」
「もちろんでございます。
このご主人様専用メイドのレイはいつだってご主人様をお待ちしておりました。
ですが本日は全く姿を見せず本当の最後に現れるところから考えますと。
何かトラブルに巻き込まれたのではないでしょうか??」
「それしかないじゃん!!ムクロッちってばまた美少女とか困ってる人がいて見過ごせなかったとか・・・たまたま時間つぶしに出てたフィールドで食パンをくわえた女の子とバッタリ激突しちゃったなんて定番ラブコメがあってもなんらおかしくないよねッ!!!で、どうなのさ!?何かライバルが増えた的なことはないよね!?ねぇ!?」
「クーリアたちは少し落ち着いた方がいいかもしれないわね。
それで??ムクロはそんな裏で甘々なラブストーリーがあったりしたのかしら??
ナイフを押し付けて尋問まではしないつもりだけど・・・ことによれば少し痛いわよ??」
「コラコラ・・・ムクロをあまり追い込むんじゃない。
私には全てを話してくれるだろ??な??」
1人優しく振舞うミストにクーリアやレイがツッコミ・・・玄関でごちゃごちゃするのもアレだとムクロを連れてリビングに座らせると。
そこにはすでにヴァニスとアヤカも座ってお茶をしており・・・・
ムクロを見る目は何だか妙に冷ややかで初めて会った時以前にキツイ目をしていた。
「で、全てを話して欲しいとは言ったモノの。
ムクロのプライベート案件なのなら全てを聞くことで大変な事実を知る事にもなりかねないし。
ムクロの話せる範囲で私たちに語ってはくれないだろうか?
ここにいる者は全員ムクロが来ないことに心配し不安を感じ・・・ユキシロとファムに限っては街へと探しに出てしまっている始末だからな。」
「それは・・・悪かった・・・話してもいい内容なんだが。
そうだな・・・怒らないって約束してくれるのであれば話すけど・・・どうだ??」
「私はいつだってムクロ君の味方だから怒ったりなんてしないよ!!」
「あ、ユリハ自分だけそう言ってずるいよ!!私だってムクロッちの味方だよ?
でもさ?新たなライバルとかニュープレイヤー参上とか言ったら怒っちゃうかも。」
「そうね・・・甘い誘惑的な話じゃなければ私は怒らないけど。
話すのであれば覚悟して話すことをお勧めするわ。」
「私もユリハ達の意見と同じですのでお気になさらず全てを告白してください。
問題があればご主人様をキレイキレイするだけですので。」
「ズズズズズズーーーーーーーーチラッ・・・」
「ズーーーーーーーチラッ・・・」
ヴァニスとアヤカはこの状況でもお茶を飲みつつチラリと見つめ。
ムクロはユリハ達ならきっとわかってくれると信じ、ライザー達と荒野フィールドで戦ったアンノウンとの激戦を包み隠さず伝えると。
ユリハたちは笑顔のまま固まり、その中でエリエントはカップをバラバラに粉砕して立ち上がり。
ムクロに杖を押し付けながら他に言いたいことはないかと問うていた。
「フフフフ、本当にムクロって私たちの事をどう思ってるのかしらね??
ついこの前までアンノウンは共に戦う目標になったはずなのにもう独断で行動しちゃうなんて・・・・他に何か語る事はあるかしらね??ムクロ??」
「えっと・・・俺は別にアンノウンと知っていて向かったわけじゃないんだ。
ライザー達が困ってるって言ってさ見過ごせなかったんだ。
それにあの状況で俺が行かなかったらライザー達はやられていた。
もしもその結果でエリのようになったらって考えたらいてもたってもいられなかったんだ。」
「ムクロ君・・・そうだよね。
ムクロ君は大切なことをしたんだよ。
それにきっと私たちがムクロ君の状況になってたらどうしてたかだよね。
て他の皆を巻き込んででも協力してもらうか自分の力を信じて戦うか。
本当に難しい判断をムクロ君は決断したんだと思う。
だから私はライザーさんたちの為に立ち向かったムクロ君を尊敬するよ。
でも・・・私たちにひと言もなかったのはちょっぴり寂しいけどね。」
「んん~~あのアンノウンとかいうヤツ絡み案件は難しいね。
私だったら自分だけじゃ不安だから呼ぶ流れになっちゃうけどさ。
場合によればムクロッちみたいになっちゃうのかもね。
そう考えたら私も強く言えないかも。
こんなにモヤモヤするのなら聞くんじゃなかった!!!!」
「そうだな、だが・・・新たなライバルでモヤモヤしなくて良かったじゃないか。
私もムクロにとやかく言うことは何もない。
こうして無事に戻って来てくれたのだからな。」
「私は始めからご主人様なら世のため人のため友の為に動くと信じておりました。
ササッ・・・お茶をもう一杯いかがでしょう??」
ムクロの話した内容からさじ加減が難しい状況だと理解したユリハたちはムクロの関わった内容にそれ以上詮索することなく終わり。
その代わりと言ってクーリアは参加したい人だけでクエストに行かないかという流れになり。
ヴァニスやアヤカもその話には食いつき・・・どのクエストに行くのかという話になった。
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