第439話 雨の日に現れるモブ

――――――――――――――学校:昼休み


 午前中の授業を終えた悠一たちは昼食を屋上で食べようとしたのだが。

梅雨の時期と言う事もあり・・・屋上は雨で使えなくなっており。

屋上へ行く階段で昼食をすることなった。



「あぁぁ~~~最悪だぁ~~~雨とか本当についてない・・・

今日雨が降るとか聞いてないから傘持ってきてないんだけど・・・・」

「心配するな、この中で傘を持っているのは誰一人としていない。

この私ですら雨が降るなんて想像もしていなかったからな。

それよりも家に干したままの洗濯物の方がすごく心配だ。」

「それは大変ね、で・・・悠一は何を考えてるのかしら?

雨で私たちの制服がスケスケになったり下着の想像でもしてたのかしら?」

「え?いや・・・そう言うのじゃなくてさ。

単純にグロリアにも雨が降るフィールドがあるからどうしようかと思ってだな・・・」

「はぁ~悠一君は本当にいつもゲームの事で頭がいっぱいって感じだね。

でも・・・グロリアの世界の雨は体験したことがないけど何か変ったモブとかイベントとかあったりするの??」

由里のその言葉を待っていたかのように耀子はタコさんウィンナーを由里の方に向けながら雨の日にしか現れないモブやイベントについて語り。

そのどれが目的なのかと悠一に問うと・・・・



「そうだな、中級層のとある場所に行けば珍しいモブと出会えるんだが。

―――――――――どうだ?」

「何それ!?私の情報外のことなら私は是非ともそれを見てみたい!!!

由里に耀子たちはどう??私は賛成!!大賛成!!!」

「私は別に予定があるわけじゃないから行くのならついてくよ?」

「私も由里と同じ意見だ。

悠一が行くところならば私も付いて行く・・・そしてそのモブを倒すのみだ。

だが・・・悠一がそこまで言う珍しいモブはどんなものなのか想像できないな。

それはつまりアレか?と言う意味で考えていいのか?」

「だけど雨の中の移動は現実でもグロリアでも面倒ね。

服が体に張り付く仕様まであるのだから本当によくできているわよ・・・グロリアって。」

コトハは少し雨の中の移動が嫌なのか何かを思い出しながら語っていると。

悠一は昔にあったコトハの事について思い出していると――――――――



「あら、ごめんなさい・・・・何か悪い事を思い出してたみたいだったからついつい橋が飛び出してしまったわ。

この卵焼きはもらうわね??」

「あはは・・・どうぞ・・・・」

「ん?昔、雨の日に何かあったって事??

グロリアで一緒にプレイしてた2人の事だからそれなりに経験はしているんだろうけどさ?そういう2人だけの空間はナシでよろしくだよ?

今は私たちがいるんだからさぁ?ねぇ?由里?

あと私もコレも~らいッ!!!」

「あ、ズルイよ2人とも!?

うぅ・・・私は我慢するとして・・・雨の日でも楽しめるグロリアって本当にすごいね。

早く放課後が来ないか楽しみだよ。」

耀子とコトハの行動を真似しようとしたが、悠一の弁当箱におかずがほとんど残っておらず・・・とるのを止めると。

悠一は代わりにと由里の弁当箱から1品貰って食べて食事を終わらせて弁当箱をしまい時間があまりないことに気が付いた由里や姉さんは教室に戻ることを提案し。

悠一たちもその案にのって教室へと戻って行った。



午後の授業を終えた悠一たちは学校で傘を借りて下校し。

自分たちの家に戻り、悠一は姉さんと洗濯物を取り込み終えると。

すぐにシャワーを浴び・・・由里達と待ち合わせたホームへと向かった。



「ただいまぁ~~ユリハたちはいるか?」

「あ、ムクロ君!!私たちはここにいるよ。

ムクロ君たちが来るまで雨にぬれずに行動する方法を考えてたの。」

「そうそう、エリが水に濡れて何かあった事だけは分かったけど。

エリのこの反応からして相当な事があったと思うんだよねぇ・・・だからそうならないためにもしっかりとした対策をと思ってさ。

色々用意してみたんだけど・・・・コレで大丈夫かな?」

「私も今までグロリアで生活していましたが・・・この世界に雨という現象があるのですね。

ご主人様からいただいた本や現実だけの現象かと思いましたが・・・・

この際ですから私もご一緒してもよろしいですか?」

ムクロはクーリアの揃えたアイテムに目を配りながらレイの同行を許可しているとホームへヴァニスがやってきた。



「ちょっと!!昨日はしてたみたいだけどどうして私を誘ってくれなかったわけなのよ!!

楽しい事があるのなら私にも連絡してって言ってたのに・・・・」

「わ、悪い・・・昨日は唐突に決まってから呼びようがなくってな。

だが今回はちゃんと誘ったから許してくれないか?」

「あはは・・・私もムクロ君と同じように何も言ってなかったから謝るよ・・・ヴァニスごめんね。

だけどこれだけは分かって欲しいの・・・私たちは別にヴァニスをのけ者にしようなんて思っていないんだよ?」

「ユリハの言う通りよ。

私たちがヴァニスを本当に無視しているのなら今日の事も伝えていないはずでしょ?

だけどそれでもヴァニスの気が収まらないのなら私がかか割に土下座でもして謝るけどどうかしら?」

「ちょッ!?エリ!?ヴァニス・・・このエリはマジで言ってるから早く大丈夫って言った方がいいよ!!!そうじゃないと取り返しのつかないことになっちゃうよ!!!」

クーリアの言葉にヴァニスはさすがにそこまでさせるつもりはないと必死に謝ると、エリエントは膝をつく前に立ち上がりヴァニスにすぐクエストに出られる準備をするよう語り・・・クーリアの持って来た雨具を装備してムクロたちは雨の降るフィールドのクエストに向かった。



「うわぁ~~本当に雨が降ってるね。

それにこの雨具もしっかりと機能してるしこれだと雨の心配はしなくて良さそうだね。」

「そりゃそうでしょ~何て言っても私が揃えたアイテムだよ??

雨の対策だけじゃなくてデザインにも凝った・・・・って、ちょっと聞いてる!?」

「そんなどうでもいい話はいいから先に行くわよ。

雨は時間との戦いなんだからこんなところで時間を使っていられないわ。」

「そのモブはどのあたりまで行けば出会えるのだ?

そこそこの奥地にまで移動していると思うのだが・・・・」

「私もそのことについて考えていました。

マップ上ではそろそろ限界地点に到達するのですが・・・何が飛び出すのか期待でございますね。」

「私、言われるがまま来てるだけなんだけど一体何をしようとしてるの??

それに雨も少しだけど強くなってきてるような気がするのだけれど・・・・」

ヴァニスの不安な声にムクロは足を止めてたのではなく。

見ている先に目的のモブがいることを伝えると同時にモブの説明を始めた。



「あのモブは雨の日にしか現れない希少モブのウィザードマジシャンだ。

見た目はてるてる坊主に見えるがそのステータスはそこそこ高いから気をつけてくれ。」

「マジシャンって言う名前がついてるくらいだから特異攻撃はスペルかな??

だけどあの見た目でどんな攻撃をしてくるんだろ・・・・」

「基本的な攻撃はスペルで大体合っているわ。

だけどアレは物理も高いから気をつけた方がいいわよ。

何せ戦う際に見た目がするからあのマジシャンの事を知ってるプレイヤーは近づこうとしないわね。」

「そうなのか・・・ならどんな風になるのかその辺りも期待というわけだな。

で、ユキシロの声が聞こえないのだが・・・・どこにいるんだ?」

「あれれ??さっきまで私と一緒にいたんだけど・・・あ・・・あれってマズいんじゃない???」

ファムが気が付いたころにはユキシロはマジシャンの近くに移動しており。

ムクロたちが言葉をかける前にユキシロは攻撃を仕掛けていた―――――――――

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