第434話 カエルの巨大肉焼き
――――――――――――――中級層:バーベキュー会場
ムクロのフリーなスペースを奪取したのはクーリアとエリエントで、ムクロの真後ろにレイがスタンバイすると言う謎の陣形が完成すると。
ユリハとミストはその近くにあった丸太に座って少し残念という表情をして見ており。
アヤカは早く焼けないかとジッとファムたちを見つめていると――――――――
「お待たせなのじゃ!!!食べたい人は並んで欲しいのじゃ!!!」
「いっぱいあるから沢山食べてね!!!」
「ムクロッちはここで待っててぇ~私が取ってきてあげるよ!!」
「そうですかならば私の分もお願いしますね。
ご主人様だけ特別扱いはしないですよね??」
「そう言う事なら私の分もとって来てちょうだい。
下ごしらえに力を使い過ぎて取りに行く気力がないの。」
「あはは・・・なんだかあっちはすごいことになってるね・・・・
それじゃ私たちもとって食べよっか。」
「そうだな!!こういう野外でのバーベキューはとてもいい!!
新鮮な空気に美味しい肉と仲間たちの笑顔!!最高だな!!
さぁ~気合を入れて沢山食べないとな!!」
「食べ過ぎて太らないようにしないとね。
調べてみたのだけどグロリアでのアバターの体重って現実とほぼ同じらしいわよ?」
アヤカの一言を聞いたユリハ達はなぜか硬直し・・・クーリアでさえも少しだけ腹回りを触って何かを確かめると。
大きく盛ってもらった肉の本数に後悔を覚えながら運びエリエントたちに肉を分けたのだが・・・・・
「あれ?クーリア・・・1本だけしか取ってないけどいいのか??
ホラ、俺のでよかったら分けてやるけど・・・いらないか??」
「えぇ!?いいの!?ぐぅ・・・でも・・・食べたら・・・食べたら・・・ふと・・・・・あぁ!!どうせ食べても現実に影響しないんだったらとことん食べてやんよ!!!
ムクロッち!!そのお肉はもらうよ!!!モシャモシャモシャモシャ!!!
ぐぅ~~~うめぇ~~ん」
「クーリアは本当に行儀が悪いですね。
こういう時くらい小奇麗に食べられないのですか?
ですがコレは・・・どうやって食べるのがいい食べ方なんでしょう・・・」
「レイも意外と几帳面ね。
こういう野外で食べるものは肉にガブっと噛みついて食べたらいいのよ。
昔ムクロとはいつも野営で食料を調達しては食べてたから私は慣れてるけど。
にしても今日のお肉は意外と柔らかいモブのお肉が多いわね。」
「それは・・・私とミストで草食系のモブを狙ってドロップしたからだと思うよ。
すごい見た目の肉食系とか魔獣っぽいのは何だか食べられるのか不安で・・・・あはは・・・」
「それに私たちがいいお肉を持って帰らないと何だかとんでもないバーベキューになりそうだったから少し力を入れて取って来たんだ。
アム・・・ん?これは・・・・少しスジばっていて硬い弾力・・・・
まさか・・・いや、だが・・・何のお肉だ??」
「あ、ミスト!!それはギガントオーガのお肉なのじゃ。
スジがあってアタイが食べようと思っておったのじゃが・・・・ぬぁ!?何をするのじゃ!!!食べ物を粗末にしてら駄目なのじゃ!!!」
「で、でも・・・誰でもアレのモノを食べてると想像したら気持ち悪くなるのもあるよ・・・
それにミストたちはあぁ言うモブのドロップ食材はNGだから食べられそうなものだけ入れてあげよっか。」
ミストの食べていた肉がエネミー系の食材と分かるとクーリアたちの方にも何かしらの肉が混ざっていないかと不安がよぎってクーリアが手を止めていると。
エリエントとムクロは何も躊躇することなくアムアムと串を取っては口に頬張って食べていた。
「ムクロッちだけじゃないけどさ?2人とも・・・いつか本当にお腹悪くしたりデバフがかかったりしちゃうよ?
で、それ・・・・エネミー系のお肉?それとも大丈夫な系?」
「それは食べてみないとわからないと思うわよ?
それに食べられるって言う事はデバフが付かないって言う事よ。
毒でも盛られていた場合はアイテム名に紫のマークか文字自体に付くから見落とすことはないわ。
ムクロもすごい勢いで食べてるからクーリアたちも勢いで食べたらどうかしら?
気にせず食べれば案外何でも食べられるものよ?」
「アムアムアム・・・・今日のバーベキューは特にウマイ。
このリザードマンの肉は脂の乗り方と言い味と言い絶品だ。」
「うぅぅ・・・ムクロがこうして食べていると私も食べたいという欲が抑えられなくなってくる・・・だが、もしまたハズレを取ってしまったと考えると手が出ないのだが・・・・・」
「そう言うと思いまして先ほど焼きたての串焼きを取って参りました。
これは私のスキャンから草食系のお肉だと考えられるので安全かつ清潔に食べられるかと。」
レイは気を利かしてか食べられる肉だけが付いた串をユリハ達の前に差し出し。
2人は顔を見合わせて1本ずつ串を取り頬張って食べた。
「ハフハフ、コレは美味だ。
それにとても柔らかくて食べやすい。」
「うん!!これなら何本でも食べられるね!!!
ムクロ君もこっちの串焼き食べて見ない??ほら、あ~ん。」
「そんなに言うのなら・・・・あむあむ。
言われてみれば焼き加減と言い肉の柔らかさと言い・・・草食系の肉の方がいいな。
でも、俺はリザードマンとかどこでも集められるお肉の方が食べ慣れてるからどっちも好きだけどな。
ん?クーリアはどうしたんだ??エリも・・・もごッ!?」
「ユリハぁ~~抜け駆けは駄目なんじゃないのかなぁ??
あ~んとか見せつけちゃってんのかな??でも私のあ~んもムクロッちは喜んでしてくれてるし??これでフェアだよね??」
「そうね、そう言う事だったら私もムクロにあ~んを強制的にやらせてもらうわよ。
さぁムクロ口を開けなさい!!!何、もごもごしているのかしら?
私の串焼きが食べられないって言うの??
ほら!!つべこべ言わずに食べなさい!!!」
「主殿の口に2本も串焼きが刺さっておるのじゃ・・・・大丈夫かのぉ・・・」
「ムクロならきっと食べきれるよ!!!
さぁ、私たちの楽しみにしていたアレでも焼いちゃう?」
2人はムクロを心配しつつもカエルの巨大肉をとりだして網の上に置くと。
串焼きを焼いている時よりも火の勢いが強く・・・轟々と音を立てて燃え始めていた。
「あぁ・・・酷い目にあった・・・ん?この焼けているいい匂いは何だ?」
「アレよ、さっき2人が狩ってきたカエルの巨大肉を焼いているの。
それにしてもあれは美味しいのかしら?私もあの大きさのものは食べたことがないからひと口味見をしてみたいといった所かしら。」
「うむ、わかっておるのじゃ!!
みんなの分をを切り分けて配る予定じゃから気にせずに待っていると良いのじゃ!!」
「にしても・・・すごい火だけどコゲないかなぁ?
ユキシロ、そろそろ裏返さない??」
「へぇ~いい色して焼けてるじゃない。
コレがカエルだなんて・・・言わなければすごく美味しそうに見えるのだけれど。
カエルと聞かされるとなんだか気が重くなるわね。」
「うん・・・でも匂いは本当にいいね!!
あれかな?食欲をそそられる香りって言うのかな?」
ユリハは指をくるくると回しながら語るが、その隣で串焼きを食べていたミストはジッとカエルの肉が美味しそうな匂いを出していることに疑問を浮かべながら目を放さずに睨みつけていた―――――――――――
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