第435話 カエルの肉は美味
――――――――――――――中級層:バーベキュー会場
ミストがカエルの肉の焼き上がりをじっと見つめる中、エリエントはムクロを連れて串焼きを食べずに焼いているユキシロたちと交代してカエルの肉を焼き始め。
休憩に入った2人は焼き上がった串焼きを次から次へと食べ。
大量にあった串焼きがあっという間になくなっていた。
「ぬへぇ~~~ちと草食系のモブ肉が多くてすぐに食べ終えてしまったのじゃ。
これはカエル肉と残った串焼きで腹を満たすしかないようじゃの。」
「だねぇ~私も全然足りないからそうしよっかなぁ。」
「えぇ・・・あれだけ食べておいてまだ足りないの!?
マジで2人の胃袋がどこに繋がってるのか気になって来たよ・・・・
にしてもこのカエルの肉は匂いだけはすっごくいいのに見た目とカエルの肉って言うのが残念な情報だよね・・・・」
「そうか?食べた事のないモノを食べるって面白くないか?
そりゃ見た目とか味は大切だが・・・カエルならギリギリセーフだろ?」
「いや待てムクロ!!それはグロリアの世界だけだろ!?
現実でそんなことを考えたりしないだろ?私はさっきの発言にすごく不安を覚えたのだが!?」
「大丈夫だと思うわよ?さすがにムクロもエリエントも現実でそこまで危ないことは考えていないと思うし。
グロリアだけだと思うわ・・・・多分・・・」
「そりゃゲームだけに決まってるでしょ?
現実にカエルの料理なんて出されたらちょっと考えて下げてもらうもの。」
「一応食べられるかは考えるんだね・・・・あはは・・・
ん~~そろそろ感じ的には出来上がりかな??
カエルって聞くともっと緑色したお肉かと思ったけど赤いお肉なんだね。」
時間的に良く焼いたカエルの肉をその場で切り落とし。
薄くスライスして皿にのせ、それをレイがムクロたちの前に持ってくると。
ムクロは先に一口と言ってパクッと食べた。
「おぉ~~コレは美味い。
なんだろ・・・フレイムバードの肉に似た味と触感だ。
パサパサしている様でしっとりしているいい肉だ。
ユリハも食べてみないか?ほら、あ~ん。」
「えぇ!?ここで!?でも・・・ムクロ君のあ~んだし・・・でもカエルの・・・」
「だったら私が先に貰っちゃうよ!!!こんなチャンス譲れないッ!!
いただきま――――――――――」
「そうはさせません!!失礼してご主人様のあ~んは私がいただきました。
フムフム・・・言われてみれば中々美味にございます。
エリエントは何をしているのですか?」
「地面に怒りをぶつけているだけだから気にしないで・・・・
本当にムクロのバカッ!!!バカッ!!!」
「それじゃ私もひときれ貰って行くわね。
こういうのもゲームじゃないと楽しめないし・・・あむ!!
へぇ~カエルって思わなければかなり美味しいんじゃない?
見た目がアレなものは美味しいって言うけど事実の様ね。」
味を覚えたアヤカはさらに数切れもらって食べ始めると。
カエルのお肉を食べ損ねたクーリアの意識が戻り、レイに文句を言いながらもムクロに再びあ~んをするように駄々をこねていたが・・・
「クーリア・・・さっきのは良くないんじゃないかなぁ~
レイちゃんも私のあ~んを取ったらダメだと思うなぁ~~」
「うげげッ!?これは少しだけユリハってば怒ってない??」
「クーリアが横取りしようとするからですよ?
次からは気を付けますのでご主人様のあ~んをご堪能してください。」
「それは私もしてもらえるのかしら?
それともユリハ達だけの特別な処置なのかしらねぇ??どうなの??」
こうなった以上ムクロはして欲しいヤツ全員にあ~んをすると言い出し。
食べるか迷っていたミストもその言葉を聞いて決心がつき、カエルの肉をスライスしていたファムやユキシロも「あ~ん」をして欲しいと切っていたナイフを置いて飛び出してきており。
本当にその場にいたほぼ全員がムクロの「あ~ん」を要望し、長蛇の列ができていた。
「ほら、あ~ん・・・クーリア、食べたらチェンジだろ?後ろのエリと交代だ。」
「えぇ~あとひと口ィ~~ムクロッちも女の子にあ~んして楽しいっしょ?」
「ムクロの言う通りよ。
ルールをさっき決めた所じゃない・・・1人1回あーんをしてもらったら終わりって言うルールをね。
だから今度は私の番よ・・・ほらムクロ・・・私の口にあ~んをしてくれないかしら?」
「カエルでも平気カエルでも平気・・・・ムクロのあ~んが待っているんだ・・・」
「ぬぅ・・・ミストは主殿絡みになると我を失うのをしばしば見るのじゃが・・・今回の件はニガテかは知らぬが相当無理をしているように見えるのじゃ。」
「でも、ムクロからのあ~んをしてもらえるのなら誰だって苦手なモノの1つや2つは我慢するんじゃないかな?ユリハはどう思う??」
「え?私!?ん~カエルのお肉はいまいちピンとこないけど・・・ムクロ君から食べさせてもらえるのなら・・・うん、食べちゃうよね・・・あはは。」
「本当にムクロはモテモテねぇ。
私は自分で食べられるからいいのだけど・・・レイはこうなる事を知っていてやったの?」
「いえ、私はただご主人様のあ~んをただ食べただけでこうなることまではさすがに万能なメイドである私ですら想像も予想もできません。
ですがユリハ達が喜ぶのであればそれはいい事なのではないでしょうか。」
外野にいたレイとアヤカは1人また1人とムクロからあ~んをされていくモノを見ており。
最後の1人であるユリハに食べさせ終えた時点でムクロは自分の分を取りに移動し、ユキシロとファムからスライスされたカエル肉を受け取った。
「主殿ご苦労じゃったの・・・にしてもこのカエル肉は中々美味しいのぉ。
見た目は本当に好き好みがあると言っても味は格別じゃ。」
「あのミストでさえ美味しいって言ったくらいだからね。
クーリアも最初はびくびくしてたけど結局は食べてたし。」
「あぁ、ミストにしては珍しくゲテモノをよく食べたなと俺も驚いてる。
クーリアも最後にはおかわりが欲しいって言うくらいだったからな。
よし、それじゃ早速俺も食べるとするかな。」
ムクロはスライスをもって誰もいないコテージ付近の階段に座ると。
カエル肉をパクパクと食べ始めていた。
「ッ!?んんッ!?!?」
「ご主人様どうぞ・・・・もう少し落ち着いてお食べになられてはどうですか?
誰も横取りに来たりしませんよ?」
ムクロは肉を飲み込もうとした際に喉に詰まりかけたが、階段のスキ間にいたレイから飲み物を受け取って飲み干してからどうしてそんな所にいるのかとムクロは尋ねた。
「私がどうしてここにいるのか??ですか・・・・
そうですね・・・私は最近ご主人様から離れて生活する事が多かったので少しでも一緒にいられるようにこうしているだけでございます。」
「いや、えぇっと・・・そんな階段の下よりも横に座ったらどうだ?
クモの巣とかで髪の毛が大変な事になってるぞ・・・」
ムクロは隣に座ったレイの髪に纏わりついたクモの巣を取り除き、再びカエルの肉を食べながらレイに謝罪した。
「イベントの間・・・あんまり顔を出せなくて悪かったな。
でもこれからはこうやってユリハたちと一緒に外に出られるしさ?
楽しい事をしていこうな。」
「はい・・・ご主人様・・・その言葉に救われます。
今後ともこのメイドのレイに何なりとお申し付けください。」
「で、レイは何でムクロッちの手を握ってんのさ??」
どさくさに紛れてレイはムクロの手を両手で握り返しており。
その一部始終を見ていたクーリアがそれ以上好き勝手にさせないぞと言わんばかりに注意しにやって来ていた―――――――――――
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