第381話 調理会当日・・・

――――――――――――――プライベートルーム


アヤカの部屋に入ると、汚れた体をタオルで拭いていた下着姿のアヤカとブッキングしてしまい。

ムクロはそっと部屋をくるりと後退して出て行こうとした時。

アヤカの手がムクロの肩を掴み・・・ムクロの耳元でアヤカがそっとささやいた。


「叫ばれたくなかったらそのままの状態で待ってて。

――――――――――いいわね?ムクロ・・・・」

「あはは・・・は、はい・・・・」

ムクロをそのままにさせた状態でアヤカは服を着替えてムクロの肩をトントンといわせて正面を向かせると。

何の用件だったのか尋ねてきた。


「そ、その・・・明日の調理の件について話しがあるからアヤカを呼んでくるように頼まれてきたんだが。

その・・・悪かった・・・この通りだ。」

「何を急に謝ってるの?少し下着姿を見られたくらいで怒らないわ。

それじゃ、皆の所にいきましょ・・・」

ムクロは不発弾を抱えた気持ちになりながらアヤカと共にユリハ達の待つリビングに向かうと。

アヤカの衣装が変わっていることに気が付いたクーリアがいきなり尋ねてきた。


「ん?アヤカ・・・その服どうしたの?

さっきまで着ていた服と違うような・・・・」

「さっき銃のメンテをしてた時に汚れちゃったのよ。

で、明日はどういう予定で行くの?

それを聞いたらすぐにメンテをしたいのだけれど・・・・」

「そうだな、集合は10時辺りにして。

具材も必要なものがあれば買いだしてきてもらって構わない。

他に何か質問はあったら聞いて欲しい。」

「そうね・・・私は特にないわ。

今日の買い出しで大体のモノが作れそうだから。

そう言う事なら私は先に落ちるわね・・・おやすみ。」

「そそくさとエリが帰られてしまわれましたね。

それにしても現実での料理ですか・・・本当に羨ましい限りです。

それでは私もジャカルゥたちにエサでも与えてきますので失礼します。」

そう言ってレイもその場から立ち去り。

ユリハ達も今日は疲れたから落ちると言って解散したのだが。

アヤカとムクロだけがその場に残っており・・・ムクロはホッと胸を撫で下ろし。

自分もログアウトしようとした瞬間―――――――


「なに、帰ろうとしてるの?

ムクロはこれから私の部屋でメンテの補助をしてもらうわ。

と、言っても簡単な補助だから。」

「あはは・・・わかった。」

ムクロは先ほどの件の事があるため、強く拒否ができず・・・アヤカの部屋に2人が入ると、さっそく作業が始まった。


「ムクロ、そのパーツとってくれないかしら?

違う違う・・・ソレよソレ。」

「どれだ?コレか?それともこっちのちっちゃいヤツか?」

ムクロはアヤカのソレがどれを指しているのかわからずに手当たり次第に取っていると。

アヤカは自身で指定したモノを掴んで見せた。


「どう考えてもこれでしょ。

モブを狩る時はあれだけ集中してるのにこういう時は本当に何なのかしらね。

それとも何か悩み事?さっきの件だったら言わないでおいてあげるから安心しなさい。」

「そうか・・・それだったらいいんだが・・・あと、俺は銃のメンテをしたことがないから何が何やらでわからなくてな。

たぶん俺たちの中で銃のメンテができるのはアヤカだけだと思うし。

このさき何かあったら頼らせてもらってもいいか?」

ムクロの問いにアヤカは恥ずかしそうに了承すると。

空気を換えるようにムクロの前にあるパーツを指示し、ムクロが掴んだので合っていたらしくムクロはアヤカに手渡した。


「でも、ムクロなら教えたら覚えそうなんだけど・・・

みっちり教えてあげようか?グロリアの銃の規格は私のプレイしていたゲームの銃よりも難しい規格でもないし。」

「あはは・・・俺はパソコンの中身をいじる程度しかできないから教えてもらうにしてもそこまで期待はするなよ?」

と、ムクロが語ると・・・早速アヤカは今メンテをしている銃の特徴から規格の組み方を一通り教えるが。

やはりムクロには少し難しかったのか、覚えきることができず。

今後の銃の大きなメンテナンスはアヤカが行う事に決まり。

銃のメンテが完了すると、アヤカとムクロはそのままログアウトして現実に戻ると。

ブロッサムにはいくつかのメールが来ており・・・・

差出人は由里やコトハたちであり、そのメールを読んで返信をすると。

悠一はベッドに横になって眠りについた。


そして、翌日。

姉さんと悠一がすぐに向かってくる予定のコトハと耀子を待っていると・・・

家の中にインターホンが鳴り響き、噂をしていた2人が現れ。

耀子の手にはレジ袋が握られており。

何を買って来たのか尋ねると・・・・


「それはね~~じゃ~ん!!!少し遅れた理由はこの・・・・

店舗限定アイスクリームの大人買いをしてきたからだよ!!!

これをみんなで食事後に食べようかなって思ってコトハに無理言って買いに行ったんだ~」

「ホント、予告も無しに連れまわすモノだから無駄な体力を使って大変だったわよ。

で、こっちは飲み物を買って来たわ。」

「ほら、玄関で話してないで奥に行くと言い。

まだ由里達が来てないからそれまでグロリアの事について話さないか?」

姉さんの言葉に悠一は2人をリビングに招き入れ、コトハの買ってきてくれたジュースを飲みながら現状の状態とこれから起こるウェーブ戦での点数をどのように集めるかを話していると。

やはり次回もライザー達のギルド連合と協力するのがいいのではないかと言う流れになると。

そのことも含めてグロリアで集まって話し合いをすることを決めると。

気の抜けた耀子が大の字になって寝転がり・・・ブロッサムを触り始めた。


「あ~本当にやる事沢山だよねぇ~もうちょっと楽かと思ったけど案外モブの強さで点数も結構変わるし。

中級層のモブでも効率が良くないとあんまりポイントも稼げないし・・・・

本当に頭の使うイベントだよ・・・まったく・・・・」

「だけど・・・私はこの一体感は好きよ。

負けるのは嫌だけど勝った時の喜びは大きいと思うわ。

だから私は最後までやれるだけのことをやるだけ。

悠一もそうでしょ?」

「あぁ、勿論だ。

最後の最後まで諦めるつもりはない。

それに、俺は由里をランキングで追い越さないといけないからな。」

「ふふ、それはきっと由里も同じ意見だろうな。

何せあっちの狩場で気合が妙に入っているのは耀だからな。」

由里だけではなくコトハや耀子も気合が入っていると姉さんが語ると。

2人はそれは秘密にしてほしかったのか・・・それ以上話さないように姉さんにジェスチャーをすると。

丁度いい具合に由里と彩花がやって来た。


「遅くなってごめんね・・・彩花さんと落ち合うのに手間取っちゃって。」

「わたしからも謝るわね・・・大学生にもなって遅れるなんてほんと私って駄目ね・・・」

「いや、2人とも気にしなくて大丈夫だ。

彩花も大学が大変なのにグロリアも徹夜してまで頑張ってくれてるんだ・・・こっちからは文句も何も言えないからな。」

「ほう・・・どうして悠一は彩花が深夜にグロリアをプレイしていると知っているのだ??

まさか・・・2人でして・・・楽しんでるとかそう言うのではないだろうな?」

「へぇ・・・悠一ぃ・・・深夜にしないっていう約束はどうなったのかな??

そこんとこ私たちとちゃんとお話ししよっか?」

「そうね、コレは久々に腰を落ち着かせて話さないといけない案件ね。

でしょ??」

彩花は悠一をぎろりと睨みつけながらため息をついて悠一の隣に座ると。

深夜にあったやり取りを語り始めた――――――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る