第346話 中級層上部:霊獣の住まう神秘の森

――――――――――――――自宅


宿題を始めてから数十分・・・コトハと共に耀子のわからないところを教えると。

3人の宿題が完了し、耀子は終わったと言って空気の抜けた風船のようにぐったりとしていた。


「お疲れさん、さて・・・これからどうする??

グロリアでさっきの件についてレイ達と話すか?」

「そうね、だけど私は先に夕食を作るから2人は先にグロリアにログインしてて。

夕食ができ次第私も行くようにするから。」

「了解~そんじゃ、悠一とお先にログインするよ。

それじゃ悠一・・・部屋にいこっか??」

と、耀子が部屋に移動しようと言うと・・・コトハはここでするようにと強く言って引き留め。

2人はリビングからグロリアにログインし、ホームへと向かった。


「ただいま、レイはいるか??」

「お帰りなさいませご主人様、私はここに。」

「そこから出て来たって事は・・・ジャカルゥの世話??」

「うむ、アタイとファムだけじゃとジャカルゥたちが遊びと勘違いして収拾がつかなくなるのでのぉ。

そういう時にレイレイがいてくれたら大助かりなのじゃ。

レイレイの剛腕装甲でジャカルゥたちを誘導できて大助かりじゃった!!」

「私たちだけだといつも鬼ごっこみたいになって先に私たちが疲れちゃうもんね・・・・本当にジャカルゥたちは元気だよ。」

ファムやユキシロたちからジャカルゥ達が元気そうと聞くと。

ムクロたちも久々にジャカルゥたちのいる牧場へ顔を出すと・・・ブランがムクロに近寄ってきた。


「久しぶりだな、ブラン・・・元気にしてたか??」

「クエェェェ~~~」

「ブランも他のジャカルゥ達も元気そうだね。

それに、剛腕装甲っていろいろと便利だね。

最終的にはジャカルゥたちをソフトにキャッチするんでしょ??」

「そうですね、ですがそれは最終手段です。

遊びと勘違いしていなければジャカルゥたちはエサで誘導したり剛腕装甲で誘導すれば小屋に戻ってくれるので。」

レイとジャカルゥたちの事について話しながらそれとは別にイベント用にモブが多く集まりやすい場所を探しに行くとレイに尋ねると。

レイはリビングに戻って話そうと言ってムクロたちと移動するがブランたちも付いて行こうとしていたら。


「ハイハイ、それでは少しご主人様を借ります。

ブランも他のジャカルゥたちもお利口にしていてください。

そうすればユキシロたちがまた遊んでくれます。」

レイがそう言うと言葉が通じたのかブランたちは小屋に戻って行き。

ユキシロたちがどうして遊びと誤解されているのかがわかると、レイはこの事は秘密と言って2人の口を封じると。

ユキシロたちが座っているソファーまでやってきた。


「主殿ぉ~ブランたちはどうじゃった??

元気以外の言葉が出ないじゃろ??」

「あぁ・・・あはは・・・そうだな。

すごい元気でまたクエストに連れて行ってやらないとだな。」

「私もたまには遠くまで移動する際にジャカルゥに乗ってあげないとだね。

可愛いジャカルゥとのコミュニケーションも大切だし。」

「うんうん、そうじゃないと私が食べちゃうよ??

って、ウソウソ・・・・ん?みんなどうしたの??」

ファムの発言は嘘とは言いにくい発言だったと・・・レイ達が感じると。

クーリアやユキシロたちは食べないように厳重注意するとファムも必死に食べないと言い返していたがみんなの不安はぬぐい切れてはいなかった。

そして、ファムの話から今回の目玉でもあるウェーブイベント発生の情報や。

先日言っていたムクロのポイントが使えなくなった場合を対策したプランを提案すると。

レイ達もポイントが集まりやすそうな場所を幾つか探していたと言ってムクロたちに見えるように展開して説明が始まった。


「まずはこの・・・中級層の砂漠です。

敵はスペルでも物理でも倒しやすいのですが足場と天候に左右されるケースが否めません。

この砂漠は最終考案と考えておいてください。

で、メインの代わりになりうる場所ですが・・・中級層の上層。

あまたの霊獣モブたちが生息する神秘の森がお勧めできる場所であると提案します。」

「そうね・・・あそこなら迂闊に誰も近づかないわね。」

「ん?どうしてなのじゃ???ナニかそこにあるのかのぉ??」

「中級層上層部はすぐ近くに上級層のつなぎ目があるんだ。

つまり・・・そこさえ抜けられたら上層部入りなんだが。

そこにいる霊獣モブが上級層レベルに強いんだ。

それに動きも中級層とは比較できないくらいにキレがある。

だから上層部に行くヤツはPTを組んだり装備を整えていくのがそれだ。」

「でもさ??それだと私たちもヤバいんじゃない???

噂だと体力はそこまで高くないらしいけど・・・・安全面は大丈夫なの??」

クーリアは不安を隠せずに質問すると、エリはクスクスと笑いなが現れ。

やり用はいくらでもあると断言し、霊獣に対しての立ち回りと作戦の説明をすると。

ユキシロやファムたちもなるほどと納得していたのだが・・・・


「どうしたのかしら??ムクロはこの作戦は気に入らない??」

「いや、そうじゃないんだ。

ただ・・・俺達と同じようなことを考えているヤツがいないか心配でさ??

人数がいれば俺たちと同じようなことを考えるヤツは山ほどいると思うんだ。

だから上級層付近から逆になるこの地点だとどうだ??」

ムクロが指をさす場所はポータルや上級層の出入り口付近から遠く。

こんなにも奥深くまで踏み込むプレイヤーがいるのかと思うほど奥を指すと。

さすがのレイやコトハも呆れたように否定した。


「それはさすがにご主人様・・・無茶にございます。

ご主人様は平気だと思われますが私たちがいることをお忘れですか??」

「それにムクロ・・・今はレベルが低いと言う事も忘れたらダメよ?

今の状態でダメージを受ければどうなるか・・・・」

「うげぇ、そのポイントはそんなにヤバい所なのか・・・まだ行った事のない場所に行くのってワクワクするけど今回は少し怖いかも・・・・」

「ふむ、アタイは主殿の言った意味が分かったのじゃ。

移動手段は・・・ジャカルゥじゃな。」

「そっか!!!ジャカルゥ達ならモブを寄せ付けずに移動ができるもんね!!

それに脚も早いからもしもの場合は逃げることもできるし。

ジャカルゥがいれば大丈夫じゃない?」

ユキシロとファムがムクロの方を見るとムクロはグーサインを出し。

レイとエリにジャカルゥを使って移動し奥地でポイントを回収してからジャカルゥでポータルまで戻れば問題ないと伝えると。

2人はそれなら大丈夫と想定し、ムクロの提案を受け入れたが。

の場合は状況によってはすぐに街へ帰還することも考えるようにとだけ言うと。

2人は紅茶を飲みながらやれやれとした顔をしていた。


「2人とも、いや・・・みんなには無理をさせるかもしれない。

だから、助けが必要になったらすぐに俺を読んで欲しい。

できる限り手助けするからさ。」

「ヌフぅ・・・そう言われるとアタイたちもまだまだと言う事じゃの。

うぬ、ファム!!!そう言う事らしいのじゃ!!少しトレーニングに行くのじゃ!!!付き合って欲しいのじゃ!!」

「え、あ・・・うん!!!私も強くなりたいしいいよ!!」

「2人は本当にたくましいと言うか・・・ムクロッちに負けられないって言う闘志が現れてるよねぇ~」

「そうですね。

ですが先ほどのご主人様の言葉を聞くとそれだけのモブがそこに生息していると言う事でしょう。

私も剛腕装甲がどこまで通用するのか・・・本当に楽しみです。」

「その巨大なエモノならどんなモブであろうと通用すると思うのだけれど。

むしろそれだけ巨大な武器があって負けるようなら私たちの武器じゃ到底かなわないわ。

―――――――――――を除いてね。」

エリは紅茶を飲みながらムクロを睨みつけると、ムクロは苦笑いして紅茶を口に含み。

ボソッとムクロはお腹が空いたと言うと、クーリアたちは笑い出し。

夕食を食べると言って3人はログアウトし、現実に戻った――――――――

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