第336話 進化の道での決着
――――――――――――中級層:隔離されたフィールド
黒いアバターの光が消え・・・膝をついて動かなくなると。
それを見ていたマージは驚くことはなく・・・ただ茫然としてムクロたちを見つめ。
デラントとキャレットはムクロたちに「よくやった」と伝えると。
マージを連れてクーリアたちと共に移動してきた。
「あはは・・・俺も結構ボロボロになったが・・・何とか倒せたな。」
「うん!!!本当にすごいハードな戦いだったね・・・でも、私たちやったんだよね!!コレで特異モブの汚染もウイルスの心配もないんだよね!!!」
「ウイルスに関してはマージの持っているはずの抗体であるワクチンを解析してグロリア中にパッチとして流せばきっと大丈夫よ。
どうせ、非常用と言いながら持っているのでしょ??」
「・・・・・・・・・・・どうしてだ・・・どうしてお前たちは進化の邪魔をする??
この先にはより高い次元の現実とこの世界があったと言うのに。
力が皆、等しく与えられ・・・進化し続ける存在にどうしてなりたいと思わないのだ。」
「それは、私が言うのもなんですがNPCの代表として言わせていただきます。
この世界は幻想が作り出した現実とは異なる世界ですが。
私たちはこの世界で確実に生きています。
その日々は尊きものであり、有限です。
ですから私たちは少しでも誰かよりも強く誰かよりも高く目指すために生きているのです。
その世界をあなたは踏みにじり、自分の押し付ける進化という言葉で固めようとした、だから私たちはその計画を阻止しただけの事でございます。
更に言いますと・・・
――――――進化とは他者から勧められてするものではありません。
――――――――自らが選び進んだ先にあるモノが自分自身の進化なのです。」
レイが淡々と答えると、マージは今だに納得していないと言った様子でキャレットたちに連行されていき。
黒いアバターは維持をすることができずに崩壊し。
モブと同じように光の柱となって消滅した。
「ご主人様、お疲れさまでした。
こちらは腕一本で済みましたが・・・本当に大きく言っておいてご主人様のお役に立てず申し訳ありませんでした。」
「いや、レイもみんなも期待以上に良く動いてくれて・・・ありがとな。」
「だけど、コレで特異モブ件は一件落着ね。
ユリハ達にもこのことを報告してあげたらどうかしら??
きっと喜ぶんじゃない??」
「うむ、少しでも早く2人に伝えるのがよかろうなのじゃ。」
「すごく心配していると思うしね。
あ~あ、戦い終わったらお腹が空いちゃったよ・・・
ねぇユキシロ・・・今から少し街で何か食べない??」
「アンタたち・・・戦闘が終わったらすぐに食事ってすごいわね。
それと、私もこれ以上必要ないみたいだしログアウトしてレポートでも作ろうかしらね。」
「それじゃ、私も習い事のレッスンがあるから失礼するわね。
また、近く遊んであげるから・・・その・・・楽しみにしておきなさい!!」
ヴァニス達はそう言ってポータルで帰還すると。
残ったレイとムクロたちはひとまずルームに戻ることにした。
「で、レイの剛腕装甲って・・・この戦いの最中に自爆させて全損したけどさ。
それってどうやって元に戻すんだ??」
「剛腕装甲でございますか??
それなら心配には及びません・・・私たち天使の装備は使用者が生きてさえいれば時間で再生可能でございます。
ですから・・・・コレでどうでしょうか??」
「え、もう再生してんの!?鍛冶屋で調整する必要がないとか最高じゃん!!
いいなぁ~~~私もそう言う手間のかからない武器が欲しいなぁ~~」
「バカを言わないことね。
武器は手間をかけて調整と強化をするからこそいいんじゃない。
何でも効率だけを考えて使用するのも考え物って言う事ね。
それじゃ、お昼と夕食の用意でもしてこようかしら。
クーリアはどうするの??このままここに残るのかしら??」
エリの発言にクーリアも夕食を一緒に作ると言って2人はログアウトし。
ムクロはレイとお茶を飲んでいると、キャレットとユリハたちからメールが届き。キャレットのメールの内容は、マージの居場所を接続端末と接続しているログインコードで割り出し。
本人の体を拘束して搬送することができたらしく・・・マージ本人の所持するPCや端末情報を調べた結果。
ワクチンコードを無事に発見し、そのコードを女神と本部のエンジニアに送り。
グロリア内での特異モブの発生とウイルスの脅威は無くなると書いてあり・・・
そのメールの最後には・・・今回の特異モブとウイルスの件はやはり表向きには公表できないことと・・・ムクロたちのGPS追跡を終了し、いつもの生活を楽しんで欲しいとのことであった。
その内容はクーリアやエリエントたちにも送られているとも書いてあり・・・次にムクロはユリハとミストのメールを読むと。
無事に何事もなく終わって何よりと言う事と、これで気にすることなく修学旅行を楽しむことができると書いてあり。
ムクロは2人に日本に戻ってきたらハードになると書いてメールを送り、ムクロも何か手伝う事があるかと思い。
ログアウトして台所に向かうと・・・・
「耀子、そこのコショウをとってくれるかしら??」
「アイヨ~んしょんしょ・・・ヨシ!!耀子ちゃん特性サラダの完成って・・・悠一!!いつからそこに!?」
「今来たばかりだが・・・何か手伝うことないかなって思ってさ??
この様子だと何もなさそうだな。」
テーブルをみると、悠一がグロリアでメールのやり取りをしていた間に2人は夕食と昼食のオムライスを作り上げており。
呼びに行く手間が省けたと言って昼食をとることとなった。
「それじゃ、最後の仕上げをしよっか!!!
コトハはちゃんとできる??恥ずかしいのなら私だけでやるけど??」
「そ、そそそそんなわけあるはずないでしょ!!
ホラ、やるわよ・・・・悠一の名前をケチャップで書いて・・・
お、おぉぉ美味しく・・な~れ・・・美味しくな~れ・・・ぐろりあきゅん!!」
「・・・・・・・・・」
悠一は2人の・・・グロリア版メイド喫茶の掛け声を言いながら決めポーズを見ると、悠一は言葉ができずにただ2人を見ていると――――――
「ちょ、ちょっとは・・・何か言いなさいよ・・・こっちは少し恥ずかしいんだから・・・」
「だからコトハは無茶したらダメだって言ったのに・・・・
私は少しグロリアのイベントでメイド喫茶のバイトをしたことがあるからいいけど・・・どだった??」
「ん?・・・メイド喫茶ってそういうのをするのか??
えっと、ありがとな・・・んじゃいただきます。」
2人にありがとうと言うと、コトハと耀子も席に着き。
オムライスをパクパクと食べ・・・先ほどのメイド喫茶の話になっていた。
「そんじゃさ??悠一って現実にあるメイド喫茶も知らないの??
この辺だと・・・商店街にメイド喫茶もえもえもんもんって言う喫茶店があるよ。」
「ここにもそう言った店があったのか。
ずっとここに住んでいたのに知らないモノだな・・・」
「私も・・・現実でもグロリアの中でもメイド喫茶に行った事がないわ。
だって、あの中ってすごい混沌としているって聞いたわ。
高い声でお出迎えするメイドに鼻の下を伸ばす客層・・・・
その辺はどうなの??」
コトハの鋭すぎる発言に耀子は指を立ててチッチッチと言うと。
最近のメイド喫茶のシステムと客層を淡々と語り始め。
――――――――――――――メイド喫茶について20分ほど語り・・・・
「よし、それじゃこれからメイド喫茶に行かない??
どうせやる事もなくて暇なんでしょ??」
「まぁ・・・2人のおかげで夕食もできているし・・・俺は構わないけど。
その・・・コトハはどうだ?メイド喫茶。」
「そ、そうね・・・何事も経験って言うモノね。
それに耀子の説明が正しければ少しはマシなのかもしれないし。
見てみるだけ見てみましょうか。」
コトハは少し嬉しそうな顔をしながら皿を洗い始め・・・悠一と共に皿を洗い終わると、耀子の案内の元・・・人生初のメイド喫茶に足を運ぶこととなった。
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