第335話 黒いアバターの巨大変異

――――――――――――中級層:隔離されたフィールド


黒いアバター試験体023はマージからの指示が途絶えたと認識すると。

自己で考え始め、目の前に剣をもって立つムクロを攻撃目標と捉え。

大きな唸り声をあげて、元のアバターが使っていた銃を取り出して攻撃を仕掛けてきた。


「・・・・・・・・・・・!!!!!」

「この黒いアバターは基礎体の武器が使えるのか・・・・・ぐあぁ・・・

クッ・・・なら、こっちも出し惜しみせずにやらせてもらう!!!

―――――――――クイックシフト!!!!」

「始まった!!!ムクロッちと黒いヤツとの戦いが・・・・

私は止められても行くよ・・・・だって・・・ムクロッちが消えるのも嫌だし。

何もできなかったなんてユリハ達に言いたくないしね。」

「誰が誰を止めるのよ??

いい??この場にいる全員・・・クーリアと同じ気持ちよ。

キャレット、コレは私たちの勝手な意思で貴方達とは関係ない事だから。

問題が発生しても私たちの責任で構わないわ。

その代わりここからは私たちが好きに行動させてもらうわね。」

キャレットは通信で武運を祈ると言うと。レイ達が集まって移動し。

話で言っていた緊急用の第二のプランを開始することになった。


「それじゃ、私も・・・・遠慮なく攻撃させてもらうわね!!!

――――――――目標をロック・・・攻撃を開始するわ。

――――――――――ブレイクショット!!!!」

「・・・・・・・・・・!!!!!!」

「この攻撃・・・第二プランか!!

アイツら・・・でも、この状況だと有難いぜ!!!

――――――――ブレイブダンス!!!!」

「ムクロッちは私たちに気が付いたみたいだよ!!!

それじゃ、私たちはムクロのバフと回復をしよっか!!!」

「言われなくてもそのつもりよ・・・・

――――――――キュアライト。」

「アタイたちは前線に出て主殿と共に攻撃を開始するのじゃ!!!」

「うん!!!迷惑にならない程度に頑張ろ!!!」

「そうですね、それでは私がお先に失礼します。」

「きゃッ!?剛腕装甲がすごい速さで・・・・え、あのアバター・・・あの攻撃を回避したの!?」

レイの不意を突いた剛腕装甲の攻撃を黒いアバターは攻撃が来るのを理解していたように回避し。

剛腕装甲を引き離すように殴り飛ばすと。

片方の剛腕装甲を掴んでムクロに叩きつけていた。


「ぐッ・・・・まさか・・・ウイルスで剛腕装甲の権利を奪ったのか!?

―――――――レイ!!!剛腕装甲を下げろ!!!コイツはウイルスで遠隔操作系の権利を奪う効果がある!!!!」

「そうですか・・・では、剛腕装甲ライト回収!!!

剛腕装甲レフトは自ら自爆し、自壊しなさい―――――――」

レイが左腕に当たる剛腕装甲に自爆を命じ、黒いアバターを巻き込みながら爆発するが――――――――


「ぬへぇ・・・凄まじい爆風じゃったが・・・これだとさすがにあの黒いアバターは・・・・」

「ううん・・・その黒いアバターはまだ両足を付けて立ってるよ。

体力は黄色バーになったけど・・・まだまだ未知の強さを感じる。

早く決着を付けないと―――――――」

「高貴な私は足手まといになっちゃうからクーリアたちのMP補給をするわ!!!

この私からアイテムを与えられるのだから感謝してよね!!」

「イヤイヤするのなら必要ないからさっさと帰りなさい。

この状況は皆が一体にならないと全滅する場よ?

少しはできる事を黙ってしなさい!!」

「エリ・・・それは少し言い過ぎだよ・・・

あんがとねヴァニス・・・MP回復助かる。

あと、できればでいいんだけどさ??

この状況をマッピングして通話で流してくれないかな??

地形の把握はすごく重要な情報だから。」

クーリアの言葉に救われたかのようにヴァニスはコクリと頷き、マップを展開しながらこの場の状況を事細かく説明し始めた。


「ムクロ!!そこはダメ!!!敵の仕掛けた罠があるわよ!!!

ユキシロとファムはもう少しムクロと黒いアバターとの距離を取って!!!

あと、アバターが何かを仕掛けようとしてるからみんな気をつけて!!!」

「ふふ、やればできるじゃない・・・・さぁ、ムクロ!!!

これだけの仲間が動いているのだから負けるようなことはしないでよ!!!」

「むぅ・・・指示されると少しやり辛いのじゃ・・・でも、あの黒いのが何かを仕掛けてこようとしているのは確かなのじゃ。

少し距離をとるのじゃ。」

「だね、それじゃ・・・私たちは少し距離をとって様子を見るからアヤカは遠距離攻撃よろしく!!」

「はいはい、それじゃどんどん狙っていくよ!!!

―――――――――ファイッ!!!」

アヤカはムクロたちが黒いアバターの範囲攻撃を予測して攻撃をかわすと同時に特製の弾を撃ち込んでダメージを入れると。

黒いアバターはアヤカに突撃してきたが・・・


「チッチッチ!!甘い!!!甘いよ!!それを私たちが呼んでいなかったと思ってるのかな!!!

エリやっちゃうよ!!!例のあれ!!!」

「仕方ないわね・・・それじゃ合わせなさい。

――――――――――バックブロウウインド!!!!」

「・・・・・・・・!?!?」

エリとクーリアの同時に放った強烈な逆風に黒いアバターは後方に飛ばされるが、空中で態勢を整えて再度突撃を試みるが。

地上で待つファムとユキシロの連携の取れた攻撃に対応するのがやっとという感じであったのだが―――――――――


「ファム!!!この黒いアバターの様子が変なのじゃ!!!下がって様子を見るのじゃ!!」

「でも、まだムクロが戦って・・・・わかった、下がるよ。」

「―――――――ゼイアァァァアアァァ!!!!!」

ムクロは得体の知れない黒いアバターの異変に退くことなく攻撃を続けていたのだが。

その体はさらに一回り大きくなり、中ボスクラスの体格となっていた。


「おい、マージとかいう改造野郎!!!このアバターはどうなってんだ!!!

お前はウチの仲間に何を仕込んだんだ!!!」

「君に話したところで到底理解できるとは思えないのだが・・・

そうだな、私は彼に進化するウイルスを与えただけ。

そしてそれをコントロールする私の脳波もすでに適応できない、いや。

自分で成長させる域に入っているのだ、アレは・・・・実に見事だと思わないかね?あれが人の限界のない知が生む力の象徴なのだ・・・そしてあの進化の先に我々は到底かなうはずがないのが答えだ。

コレで理解してもらえたかね??」

「バカも程々にしろ。

何が進化だ、コレは人を使い人を洗脳するための人体実験であり・・・お前は自己満足のために多くの犠牲を出したサイコ野郎だ。

それに、ムクロならばお前の限界を軽く超えるだろう。

アイツはそういう男らしいからな。」

遠くで見ていたキャレットたちはムクロたちの武運を祈る事しかできず。

ただ立ち尽くしてみていると・・・巨大化した黒いアバターが先ほどよりも早い動きでムクロに攻撃を仕掛けていた。


「ぐあぁぁ!!!スペルと同時攻撃・・・・クーリア!!!もっと回復だ!!

エリはバフをありったけかけてくれ!!!

ファムとユキシロはタイミングを見計らって攻撃に参加して来てくれ。」

「わ、わかった!!!

―――――――キュアライト!!!!!」

「どれだけバフを消費すれば気が済むのよ・・・・

でも、ウダウダ言ってられないわね。

私も全力でバフをかけてあげるわ!!!

――――――――トリプルステータスアップ!!!ブレイブアップ!!!クイックアップ!!!ディフェンシブシールド!!!オールガード!!!リミテッドブースト!!」

「すごいバフがかけられておるのじゃ・・・アタイたちも気合を入れなおして突撃するのじゃ!!!」

「うん!3人でやっちゃおう!!!」

「そう言うと思って観察してるけど・・・すごい速さでマップの処理が追い付かないわ・・・くっ・・・・全然予想がつかない・・・・

そうね、私の勘だと・・・あと4,3、2・・・・今よ!!!」

「そんじゃ、私もとっておきの・・・・

――――――――――グアリアム貫通弾よ!!!

――――――――――――――いっけぇぇぇぇ!!!!」

アヤカの放つ銃弾に胸を貫かれた黒いアバターは動きを止めると・・・そのスキを突いてファムとユキシロが攻撃に参加し。

3人でコンビネーションアクセスを決め・・・なんとか黒いアバターの残り体力を削り取って倒すと。

ムクロたちは疲れ果ててその場に倒れてしまった―――――――――

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