第320話 特異モブ:デス・バエル・バエストス戦

――――――――――――――プライベートホーム


エリの点検から無駄なアイテムと判断された・・・ユキシロとファムのお菓子や食材を自分たちのボックスにしまわせる声が聞こえる中。

ムクロは自身のアイテムの準備の最終確認を済ませると・・・・リビングに出て行くと。


「お待ちしておりましたご主人様。

こちらは準備万端でございます・・・いつでも出陣可能でございます。」

「うむぅ・・・・アタイの食材がぁ~~~~ぬわぁぁ~~~溶岩の熱で調理しようと思っておったのに・・・・無念なのじゃ~~~」

「私もお菓子を取り上げられちゃったけど・・・エリの行為にはきっと意味があるから・・・一緒にお菓子達のために頑張ろうよ!!」

「2人はいつもキャラがぶれないよね・・・・相手が特異モブ化してるバハムートタイプって言うときにさ??

もう少し緊張感を持って戦う方がいいんじゃないのかな??

でも・・・ドロップは期待してもいいよね??バハムートタイプでしょ??なら相当なレアアイテムとか宝玉とか・・・・・」

「どうしていつもいつも重要な行動の前はこうなのかしら??

ムクロと2人でプレイしていた時はもっと静かで・・・・ハァ・・・本当に大丈夫かしら??」

「アハハ・・・いつも通りが一番だ、ガチガチに緊張して何もできないまま燃やされて消えるよりかは断然いいからな。

それに・・・今回は俺も余裕があるかわからないしな。」

ムクロの真面目な顔を見ると・・・先ほどまで笑っていた空間が嘘のように静まり返り、重く不安な状態になっていたのだが―――――――


「ムクロの表情1つでこれだけ静かになるのなら毎回それくらい真剣な顔をしなさいよね。

皆いいかしら?私たちにはムクロが付いていの。

逆に言えばムクロを支えているの・・・だから、互いに全力で戦えばきっと大丈夫よ。

だから・・・全身全霊で勝ちに行くわよ!!」

「エリにしてはいいこと言うじゃん!!!

私も全力でやっちゃうよ!!!んでもってレアドロップしちゃうかんね!!!」

「お言葉ですが、私がいる限りご主人様には指一本触れさせはしません。

ご主人様の面倒を見ていいのは私たちだけなのですから。」

「そうじゃの・・・ん?アタイたちはいつからメイドになったのじゃ??」

「ユキシロ・・・面倒を見るって言う意味からメイドって言う答えじゃないと思うよ?でも・・・ムクロと共に戦えるのだったら相手がバハムートでも何でもいける気がするよ!!」

「よし、それじゃ・・・円陣を組むか!!!

―――――――――――気合入れて行こうぜ!!!」

ムクロの円陣というワードに・・・レイやクーリアたちが飛びつき、ユキシロたちも真似をして組むと。

全員で「勝つぞ!!!」と気合を入れ・・・・中級層の火山地帯に移動した。


―――――――――――――中級層:火山地帯・・・出現ポイント周辺


「到着したのはいいけどさ・・・メッチャ熱くない??

火山があるわけでもないのに・・・・うぇ・・・汗でベトベト・・・

こういうところまで作り込まなくてもいいのにって思う時がコレだよね・・・」

「グダグダ言ってないでポイントに行くわよ。

早くクリアしたらそれだけ早くホームでシャワーが浴びれると思えばいいのよ。

わかった?」

「それにしてもそこそこの人が火山地帯に来ていますね。

腕の立つというよりはただ平均よりもうまいプレイヤーをかき集めているように思えます。」

「そうなの??でも・・・人数が多い方が早く終わりそうだしいいんじゃないの?」

「いや、その逆もあり得る。

これだけの人数が必要になる可能性が今回の依頼にはあるのかもしれないが・・・・実際、見てみないと何とも言えないな。」

「お、やっぱりムクロたちも来てたか!!!

――――――――以来だな。」

と、移動を開始しようとすると後方から聞き覚えの声がすると思えば。

デラントとレンブの2人がこちらに近づき――――――――


「ッッ!!!!!」

「おいおい・・・・随分な挨拶じゃないのか???

俺たちは敵じゃないと思うんだが??」

「悪りぃ・・・レンブがどうしても試すって言って聞かなかったんだ・・・・

あとさ??このデカイのしまってくれないか???おっかねぇ・・・・」

「それはどうも・・・ですが、先に仕掛けて来たのはそちらでございます。

覚悟はよろしいでしょうか??」

レイはムクロに手を上げられたことによる反射行動を止め、レンブに理由を尋ねると。

レンブはクスクスと笑いながら話し始めた。


「腕は依然変わらずといった所ね・・・・でも、それくらいやってもらわないとこの先の特異モブにやられるわよ??協力戦がしたいのなら・・・覚悟してくることね。

それじゃ・・・・」

「何なの!?あのレンブって言うプレイヤー!!!

感じ悪いし目つき悪いし!!!本当に女性プレイヤーなの??」

「目の事も全部まとめて俺が謝るからさ?

嬢ちゃんたち許してくんえぇかな??

いやさ・・・レンブもプレイヤーとの協力戦は賛成派だったが。

強いもの以外来るなっていうキツイ縛りをしていてな。

上司・・・えぇっと・・・キャレットから聞いた話によると・・・特異モブ相手に無駄な命を落とす必要もないって言っていたのが本命で―――――――」

デラントがべらべらと必要以上のことを話しているのが聞こえたのか・・・・レンブは刀をデラントの足の間に投げ込み、口を封じ―――――――


「おい、早くそれをもって来い・・・3秒以内にだ。

さもなくば・・・お前の勤務態度をE評価にして給料減額処分だ。

それでもいいのなら好きに食っちゃべってろ。」

「ただいま戻ります!!!!!!

――――――――まぁ・・・そこんとこ頼むわ・・・じゃあな。」

「何と言いましょうか・・・あのレンブとか言うプレイヤーは多少強引ですが思いやりを感じました。

それも特別不器用な思いやりですが。」

「でも、そう考えるとレンブは甘いわよ?

だって考えて見なさい・・・強くなるにはそれなりの相手とそれなりの環境が必要になるわ。

それも今回はとびっきりの過酷な状況と相手・・・強くなるための鍛錬と考えれば最高のシチュエーションだと私は思うわよ?」

「そんな極悪鍛錬聞いたことないよ!?ムクロッち・・・エリのこういう邪悪に染まった鍛錬は過去にもあった??」

「そうだな・・・4回ほどあったな。

俺とエリが消滅しかけたくらいにハードなのがな。」

「主殿たちの強さのるーつというのは何とも危ない匂いがプンプンするのじゃ・・・・」

「でも・・・その話が本当なら・・・私たちはこの協力戦で生き残れば強くなれるって事だよね??」

ファムの言葉にエリはやる気次第とだけ言うと・・・レンブ達の向かって行った大きく広がるフィールドに出ると。

空から大きな何かが降ってきた―――――――――――


「おい、見ろ!!!

お出でなすったぜ!!!!特異モブがよぉ!!!!」

「あぁ・・・だが・・・・ありゃ・・・何のモブだ??」

「ん!?あんなモブ・・・・図鑑に載ってないわよ!?

――――――――鑑識スキルで見てみても弱点や詳細どころかモブナンバーですらヒットも後悔もされないってどういう・・・・でも、ならあと少しで判明するわよ!!

えぇっと・・・・名前はデス・バエル・バエストス・・・噂のです!!!」

「ムクロッち・・・私も長いこと色んなモブを見て来たけど。

あんなに凶悪な目と黒々強い胴体をしたモブは初めて見たよ・・・・・なんだかすごく良くない事が起こりそうな気がする・・・・大丈夫かな??」

「あぁ、大丈夫だ・・・・の力を使ってアレを倒すんだ。

それに・・・何度も俺たちは危ない目にあって来たんだ。

だから今回も無事にやり遂げるだけだ。」

「フフ・・・いうのは簡単だけど。

見てみなさいよ・・・そのお仲間たちの一部が勝手な行動で何人か自殺するかのように消えてるわよ??

本当に・・・考える脳のないプレイヤーたちはこれだから嫌ね。

でクリアできるのならグロリアは苦労も何もないのよ!!」

エリは黙ってみては居れず・・・走り出すと。

ムクロたちもエリを追いかけて走り出した――――――――――

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