第318話 昼までの自由

―――――――――――プライベートホーム


ムクロたちがホームに戻って来ると・・・リビングではファムとユキシロが屋台で買って来た食べ物が並べてあり。

ムクロたちを発見すると、ユキシロはムクロたちをソファーに座らせ。

屋台の新作と言う食べ物をひとつずつ手渡してきた。


「その・・・良く行く屋台の人から新作が出たって聞いて、全部買って来たんだけど・・・私たちだけじゃ美味しいかどうか判断できないから手伝って欲しいの。」

「ウム、アタイは全部美味しく感じたのじゃ。

じゃが・・・ファムがそうじゃないと言ってのぉ・・・と、言う事で主殿たちに味見をしてもらおうと思うのじゃ!!」

「で、私たちにこの得体の知れない新作を食べろと言うわけですか。

それにしても何ですかコレは・・・

イカ焼きのように見えますが・・・・」

「私の方は焼きトウモロコシの様だけど・・・・何かが違うわね。

クーリアとムクロの方は何が入っていたの?」

「俺の方は焼きそばみたいだが・・・具材が見た事ないモノが入っているな。

グロリア版の焼きそばか・・・・」

「えっと・・・何であたしのは中身の分からないタコ焼きなの??

中身が見えない分すっごく恐ろしいんだけど―――――――」

クーリアの驚きの発言に誰も持っているものと交換をしようとはせずに各自食べ始め。

ムクロたちの食べたモノはどれも以上でも以下でもなく普通であり。

一番恐れていたクーリアのたこ焼きは・・・6個中の1つをかじると中からチョコレートが飛び出し。

2つ目以降からは想像もつかないフレーバーが混ぜられており・・・たこ焼きでクーリアはダウンしていた。


「ぬぅ・・・ロシアンたこ焼きだけは駄目じゃったのぉ。

のう・・・クーリア・・・大丈夫かのぉ??」

「うぅぅぅ・・・よくもこんなたこ焼き爆弾を食わせたわね・・・・

何だか予想しない味にやられた・・・無念――――――」

「あぁ~完全にやられちゃってるね。

でも、ムクロたちの食べた焼きそばとかは大丈夫って事が分かったから。

なるべくそっちを買うようにしようかな。」

「クーリアの状態から見るとそれがいいわね。

でも、私たちのは私たちので辺りとも言えないから止めておいてもいいと思うわ。」

「だな、それじゃ・・・俺はそろそろログアウトするかな。」

「わかりました、ではご主人様・・・お休みなさいませ。」

ムクロが落ちると言うと、クーリアとエリもログアウトすると言って追いかけるようにログアウトすると。

2人はササっと移動してムクロの部屋の前にやって来ていた。


「で、これからどうすんの??勝手に入ったら悠一に怒らないかな??」

「無茶をしなければ大丈夫じゃないかしら?

それに・・・今日くらいはきっと―――――――」

「あぁ・・・そっちは時差で朝なんだな。

ん?今日のグロリアであった事??そうだな・・・ユキシロたちが不思議な食べ物を買ってきてさ?」

部屋に入ろうとした2人は・・・入る前に由里と会話する悠一の声が聞こえ。

話を扉越しに聞いていると――――――


「あぁ・・・2人なら問題ない。

いつも通りだ・・・・あはは・・・ん?変わった事??そんなに変わったことも何もない・・・ケド?」

「この流れから察するに・・・由里は悠一に探りを入れてるね・・・・

大丈夫かな?私たちの事を話したりしないかな?」

「きっとその辺は大丈夫。

私たちの存在がバレて一番面倒なことになるのは悠一の方だから。

それに・・・悠一は私たちを売ったりはしないわ。

―――――――――絶対にね。」

コトハは耀子にそう言うと、悠一は2人の事を由里に話すことなく会話を数分間したあと・・・通話を終了し。

2人が部屋に入ると・・・・すでに悠一はベッドで寝ており。

スヤスヤと寝息を立てていた。


「まったく・・・悠一は私たちの事なんて考えずに寝ているようね。

それとも信用して寝ているのかしら??」

「きっと悠一は寂しくなかったから寝れたんだと思うよ・・・

さぁ~て、私たちも下で寝よっか?

こんな状態の悠一と一緒に寝たらそれこそなんて怒られるかわからないし。

由里にばれてでもしたらじゃなくて私たちも怒られそうだし・・・・」

コトハは耀子の意見に同意し・・・茶の間に設置した布団に潜り込み。

明日はもう少しイベントを増やそうと互いに意見交換をしてから眠りについた。


そして、翌朝・・・・いつもなら姉さんが隣で寝ているか朝食の準備ができたと言う目覚ましで朝がスタートするのだが。

ハワイに行ってしまっている姉さんと役割を変わるかのように家に泊まっている耀子が悠一を起こしにやってきた。


「悠一ぃ~~~おっはよぉ~~~おきろぉ~~朝だぞ~~」

「お、重い・・・耀子・・・朝は良いんだが・・・もう少し優しく起こしてくれないか??」

「何を言ってるの?少しハードくらいに起こさないと悠一は起きないでしょ?

涼孤さんがそう言ってたわよ?

休みの日は悠一は少し強めじゃないと起きないってね?」

悠一は苦笑いすると・・・耀子とコトハは下に降りて行き。

こうなったらと・・・悠一は身支度を済ませて台所に向かうと・・・2人はすでに席に座っており。

3人そろった所で朝食を始め・・・今日の休みに何をするのかという話になった。


「俺は別にやる事はないな・・・2人はどうなんだ?」

「そうね、私も特にやりたいこともしなくちゃいけない事もないわね。

あると言えば今日の昼と夕食に何を作ろうかと悩んでいるくらいかしら?」

「私はなら何でもいいよ?

それと、私は悠一たちの洗濯物をしちゃうから・・・洗うモノがあったら出しといてね?」

耀子の言葉に悠一とコトハは適当に返事をすると。

今日の献立が決まらないからと・・・コトハは悠一をスーパーに買い物をしに行こうと誘い。

その誘いは断れないぞと言わんばかりの目力で語っており。

それならと耀子も洗濯が終わり次第一緒に買い物に行くと言ってササっと食べ終えて洗濯かごをもって庭で洗濯を干し始めていた。


「耀子は朝から元気よね・・・悠一にダイブを決めたりとか。

本当に耀子は楽しんでるわね。」

「そう言うコトハは楽しくないか?

やっぱ・・・負担になってるのなら家に戻っても――――――」

悠一がそう言うと・・・コトハは必死に否定しながら言い直し。

コトハ自身もこの生活は楽しいと言って朝食を食べ終えて片付けに入り出し。

悠一もコトハの片付けに協力して済ませると。

背後には耀子がまた写真を撮っていたような構えで立っており。

コトハに注意されながら用意をして、悠一と共にスーパーへと買い出しに向かって行った。


「で、本当にお昼と夕食は何がいい??」

「俺はそうだな・・・昼はここの弁当で夕食はコトハの作りたいものでもいいんだが・・・・どうだ?」

「そうだね・・・それだと昼の手間がなくなる分遊べるよね・・・夕食までは時間があるし・・・・コトハはどう思う??」

耀子と悠一の提案にコトハもため息をつきながらそれでいいと言って弁当コーナーで弁当を選び。

メインの夕食の食材をコトハが適当に買って会計を済ませると。

家に帰りながらこれから戻ってから何をするのか話ていると―――――


「私は少しだけ情報収集するよ。

この時間あたりから情報交換のサイトとかが動き始めるからね。

2人はどうするの??」

「私は夕食の仕込みでもしておこうかしら。

何事も早めに手を打っておいてそんはしないから・・・」

「それじゃ、家に戻ったら昼まで自由行動って事で・・・・」

昼までの間だけだが自由に行動ができるようになり・・・悠一は少しだけラクになったと感じながら家に戻ると。

すぐに自分の部屋に消え・・・ブロッサムを起動させていた――――――――――

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